BRIDGE

タグ James Dyson Award

James Dyson Award 2017国内審査上位5作品が発表——今年のSXSWでも話題を集めたロボット義足「SuKnee(サニー)」が最優秀賞を獲得

SHARE:

James Dyson Award(JDA)は、個性ある掃除機や空気清浄機メーカーとして知られる Dyson が提携する James Dyson Foundation(JDF)が年に一度、世界23カ国で展開するアワードだ。問題発見と問題解決を革新的なアイデアで表現することをテーマとし、エンジニアリングを専攻する現役学生や卒業生を対象に実施している。国際最優秀賞受賞者には3万ポンド(約450万円)、…

James Dyson Award(JDA)は、個性ある掃除機や空気清浄機メーカーとして知られる Dyson が提携する James Dyson Foundation(JDF)が年に一度、世界23カ国で展開するアワードだ。問題発見と問題解決を革新的なアイデアで表現することをテーマとし、エンジニアリングを専攻する現役学生や卒業生を対象に実施している。国際最優秀賞受賞者には3万ポンド(約450万円)、受賞者を輩出した学部には5,000ポンド(約75万円)、国内最優秀賞受賞者には2,000ポンド(約30万円)が贈られる。

6日、都内で JDA 2017 の国内表彰式が行われ、国内上位5作品の作者が集まり、プロトタイプとともに作品が披露された。JDA 2017 では、デザインエンジニアの緒方壽人氏(takram)とフリージャーナリストの林信行氏が審査員を務めた。

以下に、国内上位5作品を紹介したい。

【国際TOP20/国内最優秀賞作品】SuKnee by Xiaojun Sun(孫小軍)氏、菅井文仁氏(東京大学大学院情報理工学研究科)、佐藤翔一氏(東京大学生産技術研究所研究員)

読者の中には、このチームが「BionicM」として、今年3月の SXSW で Interactive Innovation Awards の学生部門賞を受賞したことを記憶している人もいるだろう。

義足を利用する障害者の99%は(独自動力を持たない)パッシブな義足を装着しているが、「SuKnee(サニー)」は義足をロボット技術と融合し、装着者の歩行に合わせて制御を行うことで、より自然な動きができ疲れない義足を実現している。障害者のみならず、健常者向けのエンパワーメントデバイス、ファッション性の高い義足としての可能性も追求するという。

【国内準優秀賞作品】Digital Garden by Ben Berwick 氏(東京大学大学院工学研究科修了)

Ben Berwick 氏は出身地であるオーストラリアに帰国中とのことで授賞式への参加はならなかったが、窓に取り付け可能なソーラーパネル「Digital Garden」で準優秀賞を受賞した。都心には集合住宅が多くソーラーパネルを設置する余地がないことから、折り紙工学を応用し、太陽光が跳ね返るごとに発電できるしくみを考案した。

一般的なソーラーパネルと違い光を完全には遮断しないので、部屋の中に光を取り込みながら発電できるメリットがある。現時点では構想段階のようで、プロトタイプの完成が期待される作品だ。

【国際TOP20/国内審査3位作品】Cuboard by 寺嶋瑞仁氏、上脇優人氏、冨田青氏、Juan Padron 氏(長岡技術科学大学工学部電子情報工学課程 および 大学院工学研究科機会創造工学専攻、CuboRex 所属)

雪国の新潟にある長岡技術科学大学に通う寺嶋氏らは、積雪した状態で実質的に車以外の移動手段がなく、学生にはなかなか車が購入できないことを問題に提起。人が乗って移動でき、雪上を走行でき、一人でも持てる重量・サイズの電動クローラユニットを備えたスケートボード「Cuboard(キューボード)」を開発した。

インホイールモーターのコンセプトをクローラ機構に実装しており、また、クラッチやとトルクリミッタなどの機能も実装している。雪ゾリや手押し車などにも応用が可能とのことだ。

【国内審査4位作品】Telewheelchair by 橋爪智氏、高澤和希氏、鈴木一平氏(筑波大学デジタルネイチャー研究室)

Telewheelchair は、車椅子に 360度カメラ(リコー THETA)を備え、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着した操作者が車椅子を遠隔操作できるプラットフォームだ。高齢化社会を迎え介護者の人材不足が叫ばれる中、介護者が必ずしも車椅子につかなくても、遠隔で介護ができるしくみを実現する。

人間知能(VR による遠隔操作)にとどまらず、複数台車椅子の集中管理時に、人にとっての死角の補填や注意力分散を補うため、カメラの映像をもとに人工知能の支援で安全も確保する。人間検出(YOLO)、環境検出(SLAM)ができるのが特徴。

【国内審査5位作品】ReverseCAVE by 石井晃氏、鶴田真也氏、鈴木一平氏、中前秀太氏、皆川達也氏(筑波大学デジタルネイチャー研究室)

一般的なバーチャルリアリティ(VR)は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着した人だけが体験を楽しむことができ、周囲にいる人には何が起きているかわからない。近くに電話をしている人がいると、一方の声しか聞こえないために何が起きているのかわからず、周りの人にモヤモヤ感がたまるのと同じ効果で、VR においても HMD を装着していない周りの人にとってモヤモヤ感がたまるのだそう。

ReverseCAVE では蚊帳を使って半透明のスクリーンを作り、そこにプロジェクターを使って VR 映像を投影することで、周りの人も HMD 装着者と同じ体験をシェアできるようにする。SIGGRAPH Asia 2017 Bangkok に出展。


今回は、4位と5位の両方にメディアアーティストの落合陽一氏が筑波大学で主宰するデジタルネイチャー研究室から2つのプロジェクトが入賞することととなった。審査にあたった林信行氏は、例年と異なり社会問題と真面目に向き合った作品だけでなく、今年はエンターテイメント性のある作品も一部、入賞したことを指摘した。

来年以降も JDA は開催される予定だが、今後は大学の垣根を超えて革新的なイノベーションがその場で生まれるワークショップの開催など、さまざまな新しい提案をしていきたいとしている。JDA 2018 の募集テーマ、参加者条件はこれまでと同じで、2018年3月〜7月の間に募集を受け付ける予定だ。

James Dyson Award 2016国内審査上位5作品が発表——高齢者の外出のハードルを下げる〝魔法の杖〟「Communication Stick」が最優秀賞を獲得

SHARE:

James Dyson Award(JDA)は、個性ある掃除機や空気清浄機メーカーとして知られる Dyson が提携する James Dyson Foundation(JDF)が年に一度、世界22カ国で展開するアワードだ。問題発見と問題解決を革新的なアイデアで表現することをテーマとし、エンジニアリングを専攻する現役学生や卒業生を対象に実施している。国際最優秀賞受賞者には3万ポンド(約540万円)、…

jda-2016-japan-top5winners-judges
前列左から:田川欣哉氏(審査員)、三枝友仁氏(最優秀賞作品作者)、山田泰之氏(準優秀賞作品作者)、林信行氏(審査員) 後列左から:島影圭佑氏(国内審査3位作品作者)、川島直己氏(国内審査4位作品作者)、篠田幸雄氏(国内審査5位作品作者)

James Dyson Award(JDA)は、個性ある掃除機や空気清浄機メーカーとして知られる Dyson が提携する James Dyson Foundation(JDF)が年に一度、世界22カ国で展開するアワードだ。問題発見と問題解決を革新的なアイデアで表現することをテーマとし、エンジニアリングを専攻する現役学生や卒業生を対象に実施している。国際最優秀賞受賞者には3万ポンド(約540万円)、受賞者を輩出した学部には5,000ポンド(約89万円)、国内最優秀賞受賞者には2,000ポンド(約36万円)が贈られる。

8日、都内で JDA 2016 の国内表彰式が行われ、国内上位5作品の作者が集まり、プロトタイプとともに作品が披露された。JDA 2016 では、JDA 2013 の国際準優秀賞を受賞した筋電スタートアップの exiii がオフィシャルアンパサダーを務め、デザインエンジニアの田川欣哉氏(takram)とフリージャーナリストの林信行氏が審査員を務めた。

以下に、国内上位5作品を紹介したい。

【国内最優秀賞作品(国際トップ20入賞)】Communication Stick by 三枝友仁氏(プロダクトデザイナー、桑沢デザイン研究所デザイン専攻科プロダクトデザインコース卒業)

jda-2016-japan-communicaion-stick-1

Communication Stick は、通信機能と転倒検知機能を兼ね備えた〝魔法の杖〟だ。会議施設で生活を送る被介護者と介護スタッフにとって、迷子と転倒の不安が被介護者の単独での外出を妨げる原因となっている。このハードルを下げるため、Communication Stick には、音声入力・認識によるメール送信機能、メール受信時の自動読み上げ機能、転倒を重力センサーで検知し現在地とともに介護スタッフにメールする機能などが備わっている。

jda-2016-japan-communication-stick-2

【国内準優秀賞作品】TasKi by 山田泰之氏(中央大学理工学部精密機械工学科助教、慶應大学大学院理工学研究科開放環境科学専攻)

jda-2016-japan-taski

ぶどう畑での果実収穫などで、農家が長時間腕を上げたまま作業する際の負担を緩和するため、腕への必要最低限のアシスト力を提供するアイテム。バネやヒンジといったプリミティブな機構要素の組み合わせで実現され、バッテリーを使わず、1.2キログラムと軽量に作られていることが特徴。受賞した山田氏は昨年の JDA 2015 でも、快適な歩行とファッションを両立するハイヒール「YaCHAIKA」で国内準優秀賞を受賞している。

【国内審査3位作品】OTON GLASS by 島影圭佑氏(情報科学芸術大学院大学メディア表現研究科修了、OTON GLASS 代表取締役)

jda-2016-japan-oton-glass-2

父親が失読症に陥ったことを発端に開発を始めた OTON GLASS は、その後、文字を読むことが困難なディスレクシアの人々や弱視の人々の協力を得た開発により、9台目のプロトタイプが完成するに至った。OTON GLASS に備わったカメラでユーザの目が見ているものを視覚情報として捉え、それを文字認識し音声読み上げることで、ユーザは見ているものの意味を理解しやすくなる。非日本語話者向けの翻訳読み上げ機能、画像を遠隔転送し人に文字を読み上げてもらう JINRIKI GLASS なども開発している。

<関連記事>

jda-2016-japan-oton-glass-1

【国内審査4位作品】Design for sound – Sound Microscope by 川島直己氏(東京造形大学造形学部デザイン学科卒業)

jda-2016-japan-sound-microscope-2

視覚の世界では、小さくて見えないものを拡大して見る顕微鏡があるが、聴覚の世界では、可聴域外の音を音のまま人間が知覚できる音に変換して聞けるツールが存在しない。Sound Microscope はその名の通り〝音の顕微鏡で〟マイクで拾った可聴域外の音の中から聞きたい音を選び、デジタル変換を介して人が聞こえる可聴域内の音として捉えることができる。

jda-2016-japan-sound-microscope-1

【国内審査5位作品】color2vibs by 篠田幸雄氏(情報科学芸術大学院大学メディア表現研究科)

jda-2016-japan-color2vibs-1

視覚障がい者が触っているものの色調の違いを、指先に感じられる識別ツール。色彩センサーで捉えた色を光の三原色(RGB)に分解し、ツールで触れている場所の色の構成要素を RGB それぞれの強さとして指に振動で伝える。障がい者の子供達を教えている特殊学校や特殊学級で使われる教には教員によるハンドメイドが多いためノウハウが体系的に継承されにくい。デジタルファブリケーションでこの問題を解決するとともに、color2vibs のようなツールの活用で、健常者が使う教材を障がい者の教育に取り入れることを目指している。

jda-2016-japan-color2vibs-2