ノーコードアプリは「会話して作る」時代にーーCreatio が CRM 向け Copilot を発表

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Credit: VentureBeat made with OpenAI DALL-E 3 via ChatGPT Plus

ボストンに本社を置き、11年の歴史を持つソフトウェア企業の Creatio は、同名の顧客関係管理(CRM)システムと、ユーザーがドラッグ&ドロップで CRM アプリを自作できる「ノーコード」アプローチで知られているスタートアップだ。同社はここ数カ月間、ビジネス向け生成型 AI の導入に先駆的に取り組んできた

そして今日(訳註:原文掲載日は3月12日)、同社はこの新興技術をさらに強力に取り入れ、Creatio Copilot の発売を発表した。これは、ユーザーやカスタマーが CRM に保存したデータを簡単に閲覧し、特定の顧客名や最後のやり取りなどの特定のデータを指示に応じて取り出し、カスタムアプリを構築し、視覚化、チャート、予測、分析をオンデマンドで生成する仮想アシスタントであり、かつ、CRM アプリビルダーといったものに仕上がっている。

「我々は Creatio Copilot をプラットフォームのあらゆる側面に組み込んでいる」と、Creatio の Andie Dovgan 最高成長責任者は、VentureBeat との独占ビデオインタビューで次のように述べている。

「Creatio のノーコード設定や AI 支援の開発から、エンドユーザーの自動化まで、Copilot をエコシステム全体に組み込み、構築しました。生成 AI を使って、営業担当者が商談分析の際や、顧客との次のステップを計画する際に、どのように生産性を高められるかを考えました」。

Copilot Studioでは、顧客が必要に応じて生成 AI モデルを選択し、展開できる

Creatio Copilot の革新の中心となるのが、Copilot Studio である。この専用のワークスペースでは、ユーザーは様々な AI 基盤モデルから選択し、新しいユースケースに展開し、新しいカスタムアプリを作成し、既存のアプリを「プラグ・アンド・プレイ」のアプローチを用いてその場で適応させることができる。

Creatio Copilot Studioのアプリ選択メニュー。画像提供:Creatio

Creatio Copilot Studio では、ユーザーは OpenAI の GPT-3.5 などの主要モデルや、Meta の Llama 2 などのオープンソースのライバルモデルに接続できる。クローズドモデルの場合、ユーザーはあらかじめOpenAI にアカウントを設定し、そのクレデンシャルを使って Creatio からログインし、接続する必要がある。

一方、Dovgan 氏によると、Creatio は顧客の CRM データを SOC 2、ISO、HIPPA の認証を受けた「データ保護レイヤー」に保存しているという。

すぐに使えるアプリと機能

すでに自社で機能を持っていて、Copilot Studio で CRM やワークフロー用のカスタムアプリを開発したくない場合は、問題ない。

「当社のお客様の中には、営業、サービス、マーケティングなど、ノーコードで利用できる既存のソリューションを活用している方も多い」とDovgan氏は述べる。「それが、純粋なプラットフォームだけでなく、すぐに使える機能も備えているソリューションの特徴となっています」。

Creatio Copilot Studioのアプリセレクタービュー。画像提供:Creatio

営業担当者は、インテリジェントな顧客スコアリング、顧客とのやり取りの要約とトーキングポイント、リアルタイムのコーチングのヒントなどの機能を通じて、Creatio Copilot のメリットを享受できる。

例えば、Chart Summary という機能では、「Creatio のダッシュボードや予測モジュールを開いて、『今月または四半期の目標達成の可能性を教えてください』と指示することができる」とDovgan氏は説明する。「そうすると、Copilot がその概要を教えてくれます。その後、『今期の成否を左右する3つの重要な案件を提案してください』と質問を続けるわけです」。¥

マーケターは、このツールを活用して、最適なキャンペーンフローを設計し、反応の良いオーディエンスを選択することができる。また、カスタマーサービス担当者は、ケース分析を自動化し、パーソナライズされた回答を生成することができる。

このようなテーラーメイドのアプローチにより、ビジネスの各部門がAIとノーコード技術のメリットを最大限に活用できることが保証される。

追加料金なし

Creatio Copilot は、既存のユーザーに追加料金なしで、ユーザー数の制限なく提供されており、同社のアクセシビリティとスケーラビリティへの取り組みを強調している。

Dovgan 氏は VentureBeat に対し、Creatio のビジネス全体と同様に、新しい Creatio Copilot は「CRM トライアングル」の3つの重要な機能、つまり営業、マーケティング、カスタマーサービスを対象としていると述べた。

しかし、同社の CRM やノーコード、既存の生成型AIソリューション(2023年秋の Quantum アップデートなど、ユーザーがアプリの説明を入力するとアプリが生成される)を、業界を問わず、多くの他のタイプの役割の人々が採用していると指摘した。一例として、メディア企業が Creatio をプロジェクト管理に使用しているとも教えてくれた。

Creatio は世界100カ国以上で数千の顧客と700のパートナーを抱えており、Hershey’s Ice Cream、Virgin Media/O2、Pacific Western など、銀行、金融、ヘルスケア、小売など様々な業界の顧客がいる。

新たに発表された Salesforce の Einstein 1 Studio のような巨大な競合相手に立ち向かう中で、Creatio の提案は説得力がある。AI とノーコード技術をシームレスに統合してビジネスの効率を改善し、アプリ開発を民主化し、企業のニーズに合った方法で最新技術を導入するためのツールを提供するのである。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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