病理学画像データを AI で解析「Proscia」が4,600万ドル調達

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Credit: VentureBeat made with Midjourney

デジタル病理学ソフトウェアで先行する Proscia は今日(訳註:原文掲載は3月13日)、シリーズ C の資金調達ラウンドの追加で900万ドルを調達し、ラウンド総額を4,600万ドルにしたと発表した。この資金調達は、Proscia のソフトウェアプラットフォームが最近 FDA 承認を取得し、米国の診断市場での展開を拡大できるようになったことを受けたものである。

シリーズCのエクステンションラウンドは、Highline Capital Management と Triangle Peak Partners が主導し、Alpha Intelligence Capital、Scale Venture Partners、Hitachi Ventures などの既存の投資家も参加した。調達資金は、Proscia の商業的成長を加速させ、ライフサイエンスと診断ラボ向けの AI を活用したアプリケーションをさらに開発するために使用される予定だ。

Proscia の共同創設者兼 CEO の David West 氏は、VentureBeat とのインタビューで次のように述べている。

「この規制当局の承認は非常に嬉しいニュースです。世界が本当に必要としているこのタイミングで、米国市場で当社の診断製品を販売できるようになるのですから。この資金調達により、デジタル病理学のデータと AI の力を活用することで、がんなどの疾患の診断と治療方法を変革するという当社のミッションを加速できるでしょう」。

デジタル病理学と AI の力を解き放つ

Proscia のソフトウェアプラットフォームはすでに上位20社の製薬会社のうち14社で使用されており、大量の病理学画像データを活用して医薬品の発見と開発を加速させることに貢献している。FDA 承認により、Proscia は世界的な病理医不足とがん発生率の上昇という高まる課題に対処しながら、デジタル病理学ソリューションを診断ラボにもたらすことができるようになった。

West 氏は VentureBeat に次のように語った。

「病理学データは、非常にインフラ集約型です。他の医療データよりも桁違いに大きいデータ量の話をしています。だからこそ、Nvidia のような GPU を必要とするライフサイエンス分野での AI について盛んに語る企業が見られるのです。当社は AWS や Azure などのクラウドプロバイダーと協力して、エンタープライズ全体でスケールを簡単に実現できるようにしています」。

Proscia のオープンプラットフォームアプローチにより、同社とそのパートナーおよび顧客は、特定の疾患やユースケースを対象とした AI アプリケーションを開発・展開することができる。West 氏は次のように述べた。

「これは、OpenAI が ChatGPT アプリマーケットを持っているのと同じようなものです。当社のやり方と似たモデルです」。

デジタル病理学の変革をリードする

今後5~7年でデジタル病理学の採用率が100%に達すると予想される中、Proscia はこの変革をリードする立場にある。同社の AI アプリケーションは、品質管理や腫瘍の特定などのタスクを自動化し、病理医がより効率的に働き、より高度な分析に集中できるようにする。

West 氏は次のように述べた。

「ある意味、シリコンバレーは病理学を無視してきたと思います。取り扱うデータが多く規制の厳しい難しい分野です。しかし、それは非常に大きな市場であり、本当にインパクトのある分野でもあります。病理学には素晴らしいソフトウェアが必要だと考えているからこそ、当社は存在しているのです」。

最新の資金調達と FDA 承認により、Proscia は究極的に患者の治療成績を改善できるデータ主導型の AI 駆動型病理学の新時代を切り開く準備が整った。デジタル病理学と AI の融合が加速する中、Proscia のオープンプラットフォームアプローチとエンタープライズ規模のソリューションは、急速に進化するヘルスケアテクノロジーの状況において注目すべき企業となっている。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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