EU 議会が AI 法を正式に採択ーー画期的な規制の「5月施行」可能性高まる

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Image Credit : freestocks.org

規則案が提案されてから約3年後の今日(訳註:原文掲載日は3月13日)、欧州議会の議員らは AI 法を承認した。高リスク AI システム、人間と対話する AI の透明性、規制対象製品の AI システムに関する包括的な規制の最初の最終承認であり、予想より1カ月早くの実施となった。

EU議会の最終承認を必要としていたこの法案は、今年5月に発効する可能性が高い。AI 法の共同リーダーであるイタリアの議員 Brando Benifei 氏は記者会見で、これを「歴史的な日」と表現した。

米国企業は EU AI 法規制に備える必要がある

専門家らは、この知らせは米国企業にとって重要であり、AI 採用計画を進めつつ、EU AI 法に確実に準拠する必要があると述べている。KPMG の米国 AI・デジタルイノベーション副議長の Steve Chase 氏は次のように述べた。

「EU AI 法は、欧州市場だけでなく、世界の AI の状況や米国企業にも大きな影響を与えるだろう。米国企業は、生成 AI で価値を生み出す道を止めることなく、EU AI 法と今後の規制に確実に準拠するための適切な防護策を講じる必要がある」。

さらにForrester のプリンシパルアナリスト、Enza Iannopollo 氏は次のように付け加えた。「好むと好まざるとにかかわらず、この規制により、EUは信頼できる AI、AI リスクの軽減、責任ある AI の『事実上の』基準を確立する。他のすべての地域はそれを追いかけるしかない」。EU が投票を1カ月前倒ししたことも、急速に進展するこの分野を認識していることの表れだと彼女は述べた。

規則の域外適用、「多額の」罰金、AI バリューチェーン全体にわたる要件の普及により、AI を使用しているほとんどのグローバル企業はこの法案に準拠しなければならない。その一部の要件は今年後半に施行される予定だ。

「やるべきことは多く、時間は少ない」と彼女は説明した。「組織は『AI コンプライアンスチーム』を結成して始める必要がある。要件を効果的に満たすには、IT やデータサイエンスから法務やリスク管理に至るまで、チーム間の緊密な連携と、経営幹部の手厚いサポートが必要となる」。

IBM と Salesforce が EU AI 法についてコメント

OpenAI、Google、Anthropic などのファウンデーションモデル企業は EU AI 法の欧州議会承認についてコメントを発表していないが、他のテクノロジー企業のリーダーたちは支持を表明している。

IBM のバイスプレジデント兼最高プライバシー・信頼責任者の Christina Montgomery 氏は声明の中で、EU を支持した。

「リスクベースのアプローチは、IBM の倫理的な AI プラクティスへのコミットメントと一致しており、オープンで信頼できる AI エコシステムの構築に貢献するだろう。IBM は、私たちのクライアントや他のステークホルダーが EU AI 法や世界中の今後の法律を順守できるよう、watsonx.governance の製品を含む私たちのテクノロジーと専門知識を惜しみなく提供する用意がある。これにより、私たち全員が責任ある AI の素晴らしい可能性を引き出すことができる」。

Salesforce のグローバル政府担当エグゼクティブバイスプレジデント、Eric Loeb 氏はブログ記事の中で次のように述べた。

「私たちは、EU AI 法のようなリスクベースのフレームワークを作成し、倫理的で信頼できる AI へのコミットメントを推進し、マルチステークホルダーのグループを招集することで、規制当局は大きなプラスの影響を与えることができると信じている。Salesforce は EU 機関がこの分野でリーダーシップを発揮したことを支持する」。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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