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アジアで一番のスタートアップ・ハブはどの都市か、福岡・ソウル・台北・香港の論客が徹底討論〜 #ASIABEAT 2016 アモイから

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本稿は、ASIABEAT 2016(亜洲創業大賽)の取材の一部である。 アイルランド・ダブリンで、毎年3万人以上の参加者を集めてきたスタートアップ・カンファレンス WebSummit が、今年から開催地をポルトガル・リスボンに移す。「ダブリンには、3万人を収容できるだけのホテルが無いから」とか、「アイルランドで国際イベントを開催すると、入国にビザが必要になる国が多いので国外からの参加者が大変だから…

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本稿は、ASIABEAT 2016(亜洲創業大賽)の取材の一部である。

アイルランド・ダブリンで、毎年3万人以上の参加者を集めてきたスタートアップ・カンファレンス WebSummit が、今年から開催地をポルトガル・リスボンに移す。「ダブリンには、3万人を収容できるだけのホテルが無いから」とか、「アイルランドで国際イベントを開催すると、入国にビザが必要になる国が多いので国外からの参加者が大変だから」とか、関係者周辺からはいろんな理由を耳にしたが、どうやら、リスボンの政府がお金を払って、WebSummit を誘致したというのが真相らしい。

リスボン政府は WebSummit に年間130万ユーロを少なくとも3年間、つまり、最低でも約5億円相当を WebSummit 側に支払うといわれている。ヨーロッパの主要都市がこぞってスタートアップハブとして名を上げる中で、すでにブランド力のあるイベントを誘致してスタートアップ・ハブを作ろうという発想はお役所的という批判を浴びているが、仮に5億円でスタートアップ・ハブの種まきができるのであれば、それはお買い得な買い物と言えるだろうし、生まれたスタートアップから生まれる税収や雇用を考えれば、回収が難しい金額でもない。

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今回、ASIABEAT なるイベントを仕掛けたアモイという街も、台湾や香港に飛行機で1時間かからずに行けるという地の利を生かして、国際的なスタートアップ・ハブになろうとしている。北京や上海に比べ、海外から来る人々にオープンな印象を受けるのは、シンガポールをはじめとする、多くの華僑の故郷がこの地であることからもわかるように、国の外に対して目を向けるアモイ人の気質が影響しているのかもしれない。

3月にアモイで開催された ASIABEAT の中で、アジアの主要都市の投資家や起業家を招いての、都市比較のパネル・ディスカッションがあったので紹介したい。このセッションのパネリストは、

  • 福岡:橋本正徳氏(ヌーラボ 共同創業者兼 CEO)
  • ロンドン:Tak Lo 氏(Venture Partner of Mind Fund
  • ソウル:Sungjae Hwang(황성재)氏(CCO of FuturePlay
  • 台北:Kevin Chen(陳仲璘)氏(Partner of Pinehurst Advisors
  • 香港:Casey Lau 氏(Co-founder of StartupHK

また、モデレータは、フィンランド発のスタートアップ・カンファレンス SLUSH の CSO である Martin Talvari 氏 が務めた。

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Tak Lo 氏

以前は Techstars London のディレクターを務め、現在は香港を拠点に Mind Fund を運営する Tak Lo 氏は、ロンドンと香港の両方の街の顔を知る人物だ。その立場から次のように述べた。

ロンドンには、2つの街としての顔がある。金融の街、そして、人材の街だ。デベロッパーというべきか、テックタレントというべきか、呼び方はともあれ、彼らをすぐに集められる。興味深いのは、経済が失敗した地域から人が集まってきていることで、スペイン人やポルトガル人のデベロッパーが、比較的安い賃金で雇用できる。それに、ロシアや中東の資本が多くやってきているのもロンドンの特徴。そういうお金は、香港にはやってきていないね。

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左から:Sungjae Hwang(황성재)氏、Kevin Chen(陳仲璘)氏、Casey Lau 氏

香港に対するやや挑発的な投げかけに、香港のスタートアップ・コミュニティ StartupHK の共同創業者で、Softlayer のスタートアップ支援プログラム Catalyst Program でコミュニティ・デベロップメントを担当する Casey Lau 氏は、香港の特徴を次のように説明し〝反撃〟した。

ロンドンに比べれば香港は小さな街だし、他のアジアの国に比べても小さい。しかし、成長力は大きいし、起業家精神も強いといえるだろう。香港の一つの利点はスタートアップ・シティーであることで、国際的であること。香港人、韓国人、日本人だけでなく、北アメリカ、ヨーロッパ、アジアから人が来ている。香港を拠点にアジアを飛び回るのは容易だからだ。

香港の市場として見ている起業家はいない。香港を活動拠点として使っているだけだ。そして、昨年からは、ヨーロッパを拠点とするスタートアップ・カンファレンス WebSummit が RISE として、香港で開催されるようになったけど、RISE も香港のカンファレンスというよりは、香港で開催されたグローバルなカンファレンスだ。香港を中国だと思ってやってくる欧米人も多いけど、中国でビジネスするのと香港でビジネスするのは明らかに違う。香港に来るだけじゃなくて、そこからアジアへ、上海へ、北京へ行って、スタートアップを始める人にもっと会いたいね。

モデレータを務めた Martin Talvari 氏は、過去3年間で82カ国に行ったという。その結果、各都市別にインターネット速度、生活費、ヘルスケア、言語、政府へのアクセス、渋滞の頻度、ビザなどの情報を集めた表を作成した(下の写真はその一部)。

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生活のしやすさという点からは、台北はアジアで上位に評価されるのだという。Kevin Chan 氏が台北の利便性をアピールした。

台北はテック・スペースとして知られており、これまでに多くの企業がよいプロダクトを出してきた。優秀なエンジニアも多い。生活に関して言えば、香港やロンドンよりは生活費が安くて住む。空港へのアクセスも便利で、上海へは1時間で飛べる。台湾政府はエンジェル投資を提供しており、これはほぼ助成金のような感じだ。台北に会社を作れば、3万ドルから30万ドルの助成金が得られる。これまでに200社が申請して、資金を獲得した。台湾政府は台北で事業を始めたい起業家にもビザを供給している。もちろん台北には困難なことも多くあるが、むしろ、多くのチャンスがあると言っていいだろう。

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左から:Martin Talvari 氏(モデレータ)、橋本正徳氏

福岡に本拠を置くヌーラボの橋本正徳氏は、福岡の特徴として、空港からの市内へのアクセスが圧倒的に近く、住居やオフィスの賃料も東京に比べ、圧倒的に安くて済むことを指摘した。

韓国から参加した Sungjae Hwang 氏は、ソウルの良さを次のようにアピールした。

とにかく、インターネット速度は速いと言える。コーヒーショップの多さも、他の都市と比べて最高レベル。そして、ソウルの中心部には、美容整形外科が多いことで有名なわけだが(笑)、政府が開設したスタートアップのためのスペースが20以上もある。他の都市と比べても、ソウルのコストは安いだろう。特に言えるのは、特許を出願するのにかかるコストから1万ドル〜2万ドルと安いこと。これはアメリカの約3分の1のコストで、知的所有権や技術を少ない金額で守りたいスタートアップにとっては、理想的と言える。

モデレータの Talvari 氏が6人のパネリストに、もし今住んでいる都市に住めなくなったら、どこに住みたいかと質問したところ、サンフランシスコ、シアトル、インドネシア、ロンドン、パリなど、それぞれ口々に声を上げる中、Casey Lau 氏が興味深い指摘をした。

アジアはどこに行ってもお金があると思う。お金が最も重要だという Tak Lo 氏の考えには異議を言わざるを得ない。もっとも重要なのは人だ。だから、もし香港を去らなきゃいけないときは、サンフランシスコに行こうと思う。それはシリコンバレーに行きたいからでも、ライフスタイルを好んでいるからでもない。エコーチャンバー(訳注:同じ考えや思想を持った人が共鳴していくコミュニティ)があるからだ。これが一番大丈夫だと思う。つまり、アイデアを試すエコシステムがあり、人々をつなぎ、やりたいことが真っ先にやれる。香港以外で資金調達した多くの香港スタートアップも、結局、香港に戻ってくるのは、そこに人がいるからなんだ。

筆者も多くの人から「どの街が、スタートアップ・ハブとして一番面白いですか?」という質問をよく受けるが、その答えは東京でもなければ、シリコンバレーでもない。すべての街には、ユニークなアドバンテージがあるからだ。しいて言うなら、世界のどこへでも、いつでも出かけていけるだけの機敏性を確保しておく、ということだろうか。

名前は失念したが、とある有名な投資家兼起業家は「スタートアップの CEO ともなれば、起業から数年後には、業務の多くを他のメンバーに任せ、CEO 自らは世界中に営業や提携に出かけるのが仕事」と言っていたし、ソフトバンクの孫正義会長も、出張先であれ「自分の今いる場所が本社」と言っていた。国境を越えて、いろんな拠点でビジネスができる WeWork のようなサービスが存在する今日、起業家に街に立ち寄ってもらうことを意図した「アントレプレナー・ツーリズム」のような発想が出てきてもよいのかもしれない。

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日本語版インターフェイスの立ち上げのために、2015年にチームごと東京に滞在して開発をしていた VoiceBunny のメンバー。関連記事はこちら

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ユニークな戦略で展開する、アジアの7つのスタートアップ・アクセラレータ〜 #ASIABEAT 2016 アモイから

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本稿は、ASIABEAT 2016(亜洲創業大賽)の取材の一部である。 中国という国は、すべてにおいて桁違いの国である。スタートアップのニュースに出てくる統計を見てみると、概ね、日本のスタートアップと比べて、ユーザの数や売上金額が一桁は違う。広い国土と膨大な人口がなせる技だ。コンサルティング会社の Zero2IPO Group(清科集団)の調査によれば、2015年に中国政府系のファンドがスタートア…

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本稿は、ASIABEAT 2016(亜洲創業大賽)の取材の一部である。

中国という国は、すべてにおいて桁違いの国である。スタートアップのニュースに出てくる統計を見てみると、概ね、日本のスタートアップと比べて、ユーザの数や売上金額が一桁は違う。広い国土と膨大な人口がなせる技だ。コンサルティング会社の Zero2IPO Group(清科集団)の調査によれば、2015年に中国政府系のファンドがスタートアップに投資した資金の総額は15兆人民元(約260兆円)。中国の名目 GDP の約2割に達する数字だ。中央政府から流れた資金は、中国の VC や地方政府を通じて、スタートアップ投資へと流れ込んでいる。中国各地の都市で、雨後の筍のようにスタートアップ・ハブが生まれている背景には、そういう事情があるのだろう。

海を挟んで台湾からもほど近い、中国南部のアモイの街で、17日~18日の2日間、スタートアップ・カンファレンス「ASIABEAT 2016(亜洲創業大賽)」が開催された。日中台韓のメディアなどが手を組み、東アジアのスタートアップ・シーンの活性化に狙いを定めたこのイベントは、2014年に台北市内で開催されてから今回で2回目を数える。世界18カ国からスタートアップ80チーム、投資家100人が一堂に会したこのイベントは、アモイ市政府と同市内に6カ所のコワーキング・スペースを擁するアクセラレータ Atwork(愛特衆創)によって開催された。

1日目にもたれた「スタートアップのシード資金調達と新市場参入」と題されたパネルセッションには、ユニークな戦略を持つアジア各国のアクセラレータのエグゼクティブが顔を揃えた。このセッションに登壇したパネリストは、

  • John Tian/田智勇 氏(中国、Kr Space/氪空間 共同創業者)
  • Yanjun Zhang/張延軍 氏(中国、InnoSpace/創智空間 バイスプレジデント)
  • Norman Chang/張劭謙 氏(アメリカ、500 Startups Investment Associate)
  • Louis Ryu/柳青延 氏(韓国、ShiftAsia CEO)
  • Bikesh Lakhmichand 氏(マレーシア、1337 Ventures CEO & Founder)
  • Noa Muzzafi 氏(イスラエル、Startup East COO)
  • Chikai Huang(シンガポール、JFDI Asia プログラムマネージャー)

…の皆さん、またモデレータは、Atwork(愛特衆創)の CEO である Asics Yao/姚錦程氏が務めた。

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1337 Ventures の Bikesh Lakhmichand 氏

Kr Space は、北京に拠点を置くインキュベーション・スペースだ。もともとは中国のスタートアップ・ニュースメディアである 36Kr(36氪)を母体とするが、2年前にスピンオフし、現在では中国全土に40カ所のインキュベーション・スペースを展開。中国版 WeWork の異名を持ち、今年1月には約170億円のバリュエーションでシリーズAラウンドをクローズしている。

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Innospace は上海で2012年に設立されたアクセラレータで、中国の中では比較的小さな規模ではあるが、ハンズオンに力を入れていることから、一回のバッチでトレーニングに参加するのは10チームということだ。

500 Startups は日本でもおなじみだが、これまで世界中の1,500社を超えるスタートアップに投資をしていて、最近では特に IoT に関連するソフトウェア分野への投資に注力しているとのことだ。

テルアビブの Startup East は、サムライインキュベートのイスラエル拠点 Samurai House in Israel に拠点を置いており、台湾、シンガポール、中国、日本、韓国、東南アジアへの投資機会を模索している。来月にはイスラエル国外初となるオフィスを上海に開設するそうだ。COO の Muzzafi 氏は学生時代に中国語で東アジア情勢を専攻したため、中国の事情にも造詣が深い。

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JFDI Asia はシンガポールを拠点としており、プログラムマネージャーの Chikai Huang 氏は現在、30のスタートアップのメンタリングなどに関わっている。

マレーシアの 1337 Ventures は、設立3年目のアーリーステージに特化したベンチャーアクセラレータで、フィリピンやベトナムなどで毎年2つずつアクセラレーション・プログラムを実施している。

これまでの JFDI Asia に関する記事

ShiftAsia は、日本・中国・東南アジアなどアジア市場に特化したスタートアップを支援するアクセラレータで、CEO の Ryu 氏曰く「アクセラレータというより、投資し協業する組織」。したがって対象とするスタートアップの数も絞り込んでおり、現在、3つのスタートアップと日夜寝食を共にしている。韓国スタートアップと協業したい中国企業を募集中だ。

各国各様のアクセラレータ・シーン

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ShiftAsia の Louis Ryu 氏

上海の Innospace では、スクリーニングを経て選ばれたスタートアップにはシード資金を提供し、3ヶ月のアクセラレーション・プログラムに参加してもらう。プログラム中にはアイディエーション、プロダクト開発、ユーザ体験の改善、マーケティング、ブランディングなどについて、専門家からメンタリングを提供し、適切な投資家やパートナーを見つけられる機会を提供する。これまでに5回のバッチを実施しており、概ねバッチが終了する頃には、典型的なスタートアップのバリュエーションは4,000万〜5,000万人民元(7億円〜8.6億円相当)とバッチ参加当初の10倍になり、次のラウンドの資金調達へとつながっているという。

Startup East の Noa は、いわゆるブラックボックス・テクノロジーを、イスラエルや中国にもたらすことが、同社の目指すところだと話を始めた。

イスラエルの人口は800万人だが、そのような小さな市場では多くの企業がグローバルを目指さざるを得ない。Startup East のメンターはすべてイスラエル人であり、イスラエル人の気質として、失敗は悪いことではなく成功するのに必要なプロセスと考えるので、イスラエルはイノベーションには完璧な場所と言えるだろう。

もともとは本の名前だった「Startup Nation」がイスラエルの代名詞となり、昨年だけでイスラエル国内には17のアクセラレータが誕生した。イスラエル軍がアクセラレータをやっていることも特筆すべきだ。軍が国を創り、国が軍を創る、という言葉さえある。

Startup East の Noa Muzzafi 氏
Startup East の Noa Muzzafi 氏

500 Startups では、ここに関わる人の3分の1はアメリカ国外出身者だ。現在では出資活動もグローバルに展開しており、東南アジアや東アジアで積極的に行っている。JFDI Asia は東南アジアの中心地であるシンガポールに拠点を置いていることから、この地域の人口の60%が30歳未満で、急激に拡大する中流階層人口がスタートアップの成長を助けるエンジンとなっていることを指摘した。

マレーシアの 1337 Accelerator は、東南アジア各国でバッチを実施し、1バッチあたり25チームのスタートアップを選出している。CEO の Bikesh によれば、アジア全体で見たときに、バッチ参加チームの中には、市場は違えど同じようなビジネスを展開しようとするチームがいることがあるので、彼らを引き合わせて互いに株を持ち合わせさせるなどして、市場横断で共同で一つのサービスを作り出すことを促すこともあるそうだ。

東南アジアでは、それぞれの市場に特徴がある。マレーシアはテクニカルな面に強いし、インドネシアはクリエイティブだ。フィリピンはアウトソーシングに適しているし、シンガポールは金融に強いので CFO 人材を調達する、というような、各市場の強みを生かしたグループ組成が可能だろう。


往々にして、国内の市場が大きくないコミュニティにおいて、スタートアップの多くはグローバルやリージョナル(国の域を出た、アジアやヨーロッパなど)の市場を目指す傾向が強く、国内に大きな需要を抱える市場においては、スタートアップの多くは国外に関心を示しにくい。前者は韓国・台湾・東南アジアの諸国など、後者は日本・アメリカ・中国のスタートアップの典型例だ。

今回の ASIABEAT で面白かったのは、国内市場が巨大であるにもかかわらず、中国のスタートアップがグローバル市場に可能性を求めるトレンドが顕著になってきている、という事実だ。グレートファイヤーウォール(金盾)の恩恵に預かり、欧米のウェブサービスのコピーキャットがあふれていた中国のスタートアップ・シーンで、世界に勝とうとするスタートアップが現れ始めたのだ。

中国のスタートアップ・トレンドが世界のアクセラレータやスタートアップにどのような影響を与えていくか——この点については、ASIABEAT の他のセッションでも論じられたので、近日中に THE BRIDGE 上で詳しく取り上げたい。

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日台中韓のスタートアップが集う「ASIABEAT 2014」で10社がピッチ、台湾のFacebook広告スタートアップQSearchが優勝(全社ピッチビデオ収録)

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これは2014年12月、台北で開催された ASIABEAT 2014 の取材の一部である。 今週、台北市内で日本・台湾・中国・韓国のスタートアップ・投資家が一同に会するイベント「ASIABEAT TAIWAN 2014」が開催された。 スタートアップらがピッチで互いに凌ぎを削る「スタートアップ・バトル」のセッションでは、参加した日台中韓30チームの中から、1日目の予選で選ばれた10チームがピッチ、…

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優勝した、台湾の QSearch のチーム。

これは2014年12月、台北で開催された ASIABEAT 2014 の取材の一部である。

今週、台北市内で日本・台湾・中国・韓国のスタートアップ・投資家が一同に会するイベント「ASIABEAT TAIWAN 2014」が開催された。

スタートアップらがピッチで互いに凌ぎを削る「スタートアップ・バトル」のセッションでは、参加した日台中韓30チームの中から、1日目の予選で選ばれた10チームがピッチ、優勝の座には台湾の「QSearch」が輝いた。

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Qsearch は「ユーザの行動は属性に勝る」を合言葉に、Facebook 広告のターゲティングを最適化するプラットフォームだ。QSearch を活用することで、Facebook 広告のコンバージョン率が使わない場合と比べ、16倍以上にも改善されるのだという。

この他、ASIABEAT 2014 のスタートアップ・バトルに出場したスタートアップについても見ておきたい。

FlyFit(台湾)

FlyFit は、ジェスチャー認識をベースにした、サイクリング、ジョギング、スイミングなどの運動トラッキングができるデバイスとアプリを提供。多くのトラッキング・デバイスはそれぞれ、運動の種類に応じて用途が限られるのに対し、FlyFit は多くの種類の運動を一台で記録することができるのが特徴。今年初め Kickstarter でクラウドファンディングを成功させ、現在は大量生産フェーズにある。

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Shakr(韓国)

Shakr はテンプレートを使って簡単に商品紹介/人物紹介のプロモーション・ビデオが作成できるプラットフォーム。クラウドソーシング的にテンプレートを作成するデザイナーを有し、デザイナーにはレベニューシェアでテンプレートの作成料が支払われる。ユーザは10分ほどでビデオを作成でき、作成は無料だがダウンロードにあたり50ドル支払う必要がある。台湾の FOXCONN(鴻海/富士康)とも提携して、テンプレートの供給を受けているとのことだ。

MyMusicTaste(韓国)

以前 Mironi というソーシャル・ミュージック・アプリで紹介した JJS Media はその後ピボットし、MyMusicTaste というアプリをローンチしている。このアプリは、世界的にアーティストのファン層をエンゲージすることに特化しており、アーティストを招いてコンサートやツアーを開催した際に、興行主がイベントを黒字化できるようにするプラットフォームだ。今年40回のコンサートを MyMusicTaste が開催支援しているが、すべての興行が黒字化できているとのことだ。彼らの強みは、K-POP の生みの親である、韓国の芸能プロダクションとの強いコネクションとのこと。コンサート開催前に、一定の興行収入を担保するというアプローチは、日本の Alive などのコンセプトにも似ているかもしれない。

BizEditors(台湾)

BizEditors は、2013年の Echelon 2014 Tokyo で優勝した TopAdmit.com の運営スタートアップによる新たなサービス。スキルの高い翻訳者を雇うことで高品質の翻訳を提供、この点で既存のクラウドソーシング翻訳サービスと差別化している。6月には B Dash Ventures のリードで、Pinehurst Advisors や台湾の複数の個人投資家から525,000ドルを資金調達した

Bridge Call(韓国)

一般的な無料電話サービスは、利用するためにアプリをローンチしなければならない。例えば、これを自分の祖父母などスマートフォンの操作に詳しくない人に強いるのは現実的ではない。Bridge Call は一度インストールしてしまえば、通常の電話をかける操作をするだけで、Bridge Call による無料通話を試みる。電話の受信者が Bridge Call のユーザであれば無料で接続、Bridge Call のユーザでなければ通常の電話回線で相手に接続される。半年間で600万ダウンロード、登録ユーザ数は160万人。シンガポール、台湾、マレーシア、インドネシアでサービスを展開中だ。

Coolpeds(中国)

Coolpeds は、いつでもどこでも充電ができる、折りたたみ可能な小型の電動バイク。重さは9.9キログラムと軽く、通常歩行の6倍のスピードで移動が可能。高層住宅に住んでいても、自宅まで持ち帰って部屋で簡単に充電が可能。CEO は、コンセントを借りることができれば、スターバックスでコーヒーを飲みながら充電することも可能だとアピール。現在は、太陽電池で充電ができるバージョンを開発中だ。

Planty(韓国)

Planty はスマートフォンごしに遠隔で植物を栽培し、成長過程をモニターできる IoT。日本への市場参入を計画中だ。来年1月には Kickstarter でクラウドファンディングを開始したいとしている。

500videos(韓国)

15秒間の個人紹介/企業紹介のPR動画が作成できる 500videos。今年には75万ドルを調達した。今後は、ユーザが作成した動画に対して、500videos が、そのビデオの内容や様子が〝ホンモノ〟であることを証明する認証プログラムを実施する予定。これは主に企業向けのサービスで、500videos が動画を作成した企業の登記情報などを確認し、掲載された動画の情報をギャランティーするとのことだ。

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Alfred(台湾)

Alfred は、ペットの見守りに特化したカメラアプリ。家には普段使っていない Android フォンのカメラを設置しておき、外出先からはアプリからスマートフォンアプリから家にいるペットをモニタできる。カメラには動作を検知する機能が備わっており、一定の動作パターンを検知して、ユーザにアラートを通知することができる。


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イベントのエンディングに顔を揃えた、共同オーガナイザー(日本 B Dash Ventures、韓国 Platum、中国 Technode、シンガポール e27、台湾 資訊工業策進会の担当者ら)

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日台中韓のスタートアップ・投資家が集う「ASIABEAT 2014」が台北で開幕

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これは2014年12月、台北で開催された ASIABEAT 2014 の取材の一部である。 日本・台湾・中国・韓国のスタートアップ・投資家が一同に会するイベント「ASIABEAT TAIWAN 2014」が台北市内の松山文創園区で開幕した。今年が第一回目となるこのイベントは、台湾政府のIT統括部である資訊工業策進会(略称 III(トリプルアイ)= Institute for Information…

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これは2014年12月、台北で開催された ASIABEAT 2014 の取材の一部である。

日本・台湾・中国・韓国のスタートアップ・投資家が一同に会するイベント「ASIABEAT TAIWAN 2014」が台北市内の松山文創園区で開幕した。今年が第一回目となるこのイベントは、台湾政府のIT統括部である資訊工業策進会(略称 III(トリプルアイ)= Institute for Information and Industry)による主催で、日本の B Dash Ventures(ベンチャーキャピタル)、シンガポールの e27(テックニュース・メディア)、タイの Hubba(コワーキング・スペース)、韓国の Platum(スタートアップ情報プラットフォーム)、中国の動点科技(Technode、テックニュース・メディア)が共催している。(THE BRIDGE はメディアスポンサーを務めている。)

III ではこれまでにも Ideasshow というイベントを開催しているが、III の担当者の説明によれば、Ideasshow は台湾のスタートアップにフォーカスしたイベントであるのに対し、ASIABEAT はよりアジア横断のスタートアップ・コミュニティを形成することを意識したという。

会場には地元・台湾はもとより、韓国などからも多くのスタートアップが参加し、日台中韓のそれぞれの市場にどのようにマーケットエントリするか、国境を越えて投資家から資金を調達するにはどうすればよいかなど、起業家や投資家の体験談をもとに議論がなされた。

このイベントは12月1日〜2日の2日間にわたって開催される予定で、2日目には1日目の予選をパスした各国のスタートアップがピッチ・コンペティションに臨む予定だ。その模様については、改めてお伝えしたい。

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ASIABEAT の開催にあたり、アジアのスタートアップ・コミュニティ形成を誓う共催元の代表者ら。

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