中国の e スポーツなどエンターテイメントコンテンツに特化したライブストリーミングプラットフォーム「Panda TV(熊猫直播)」は、年内に上場の計画を持っていると、COO の Zhang Juyuan(張菊元)氏は地元メディアに語った。Zhang 氏は先ごろ、同社が検討中の IPO 先がアメリカか香港であるとも語っていた。 中国で2番目の大富豪 Wang Jianlin(王健林、Wanda Gr…
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中国の e スポーツなどエンターテイメントコンテンツに特化したライブストリーミングプラットフォーム「Panda TV(熊猫直播)」は、年内に上場の計画を持っていると、COO の Zhang Juyuan(張菊元)氏は地元メディアに語った。Zhang 氏は先ごろ、同社が検討中の IPO 先がアメリカか香港であるとも語っていた。
中国で2番目の大富豪 Wang Jianlin(王健林、Wanda Group=万達集団会長)氏の一人息子である Wang Sicong(王思聰)氏が共同創業した Panda TV は10月20日に3周年を迎えたばかりである一方、株式の流動性問題、資金不足、Wang Sicong 氏の継続的な物的支援へのためらいなどへの疑念が高まりつつある。
我々は死んでいない。Panda TV は黒字化しようとしている。2019年第1四半期には大手企業から新たに資金調達し、我々のバリュエーションは50億人民元(約810億円相当)を超えるだろう。
上海を拠点とするゲームストリーミングサイトの Panda TV(熊猫直播)は、Industrial Innovation Capital Management(興証資本)がリードするシリーズ B ラウンドで10億人民元(約160億円)を調達したというニュースが業界で話題になっている。 これは、中国で2番目の大富豪 Wang Jianlin(王健林、Wanda Group=万達集団会長)氏の一人息子…
上海を拠点とするゲームストリーミングサイトの Panda TV(熊猫直播)は、Industrial Innovation Capital Management(興証資本)がリードするシリーズ B ラウンドで10億人民元(約160億円)を調達したというニュースが業界で話題になっている。
これは、中国で2番目の大富豪 Wang Jianlin(王健林、Wanda Group=万達集団会長)氏の一人息子である Wang Sicong(王思聰)氏がライブストリーミングサービスを提供する同社を2年前に設立して以降、最大の調達金額だ。これまで同社は、2015年11月に数百万人民元(数千万円程度)のエンジェルラウンドに続き、数千万人民元(数億円程度)に及ぶ規模のシリーズ A および A+ ラウンドを終えている。
Panda TV は自社をオンラインエンターテイメントのライブストリーミングプラットフォームと位置づけ、e スポーツのライブ中継に特化しており、8,000万人の月間アクティブユーザ、15万人のアクティブプレゼンターがいるとしている。
ライブストリーミングサービスの同社が e スポーツからシフトし、今回調達した資金をエンターテイメントプログラム、バラエティー番組などを対象とする幅広いエンターテイメントプラットフォーム構築に使うとも推測されている。その背景には、e スポーツトーナメントのロイヤルティーやスター級の出演者への支払い(有名出演者に支払う契約ボーナスは数千万人民元=数億円程度ともいわれる)、コンテンツ配信ネットワーク料(毎月2,000万人民元=約3.2億円ほど)に関連する費用があまりにも高いために、e スポーツがお金を浪費する事業になってしまったという事情がある。
これだけの大がかりな投資がなされるのは、中国で e スポーツセクターが過熱しているからだ。調査会社 iResearch(艾瑞諮詢)によると、2016年における中国の e スポーツゲーマーの数は1億1,700万人にのぼり、市場規模は400億人民元(約6,500億円)に達するという。また、今後数年間この市場はさらなる成長が予想されており、これほどの魅力を持つ同市場にはさらに資金が注ぎ込まれていくことだろう。
そして、ブームに沸くこのセクターに注目しているのは Wang Sicong 氏に限らない。ポップ歌手の Jay Chou(周杰倫)も、e スポーツに特化したネットカフェブランドをオープンした。台湾ポップミュージック界のスーパースターである彼は1,800万人民元(約2.9億円)を投じて中国南部の深圳にネットカフェをオープンし、現地メディアが e スポーツの実験をしている同氏を報道している。
e スポーツは、中国でよく視聴されている3つのライブストリーミング分野の1つだ。他の2つは、エンターテイメント系、コンテンツ系(教育、ビジネス、eコマース、スポーツ、ソーシャルネットワークなどに関連するライブストリーミングプラットフォーム)である。
オンラインビデオウェブサイト大手でコンサートストリーミング市場に早くから参入したLeTV(楽視力)は、2015年に367回のミュージックコンサートやフェスティバルの配信を行い、その視聴数は合計で2億ビューを超えたという。490万もの視聴者が2015年9月にポップシンガー Chris Lee(李宇春)によるライブ公演のビデオ配信を視聴した。LeTV は今では ケイティ・ペリーやビヨンセといった外国人歌手による公演も定期的に配信している。同社は2016年に600を超える公演の配信を目標としている。
中国で最も人気のある音楽フェスティバルである Strawberry Music Festival(草苺音楽節)は2015年に1,800万ものオンライン視聴があり、国内9つの都市でビジター数はその3倍であった。Kugouという、自社の音楽ストリーミングサービスで Xiangjiang Music Festival(湘江音楽節)を放送した音楽配信サービスは、5日間のイベントで1,000万を超える視聴者がいたという。
ライブビデオ放送スタートアップの Panda TV は2015年9月、中国で一番の大富豪であるWang Jianlin(王健林)氏の1人息子 Wang Sicong(王思聡)氏をCEOに迎えた。Wang Sicong 氏のタレントエージェンシーと数ヶ月前に契約を交わした韓国のボーカルグループ T-ARA による最近のコンサート配信ではPanda TVで80万もの視聴者を集めた。
トレンドをリードしているテック企業大手
2014年、LeTV はシンガーソングライター Wang Feng(汪峰)氏を迎え、彼のコンサートを配信することに加え、チケットを3日間販売しライブストリーミングやビデオ再生することでお互い合意した。LeTVは月間加入料金として20~30元(3~5米ドル)足らずの金額を課しているが、これは平均的なコンサート料金より格段に安い。4万8,000人ほどのLeTVユーザがライブストリーミングを、2万7,000人が2日でビデオ再生を視聴した結果、総額200万元(約32万米ドル)の売り上げがあった。
音楽フェスティバルやイベントで最もよく知られた音楽企業の Modern Sky Entertainment は、2015年4月に Modernsky Now(正在現場)という携帯アプリを発表した。これは音楽イベントのライブストリーミングやビデオ再生を行うサービスで、コンテンツは自社制作もしくは第三者からの提供によるものである。
Modernsky Now
同社のコンテンツはこのアプリのほかにもスマートテレビやいくつかのオンラインビデオのプラットフォームで利用できる。先ほど述べた Strawberry Music Festival は Modernsky が運営するもので、2015年のピーク時には30万ものビジターが携帯アプリで視聴したという。
2015年7月、音楽フェスティバルキュレーターの Li Hongjie 氏は、YEMA Live(野馬現場)という新たに設立したスタートアップによって開発されたストリーミングアプリでライブ配信をするため、彼が設立した音楽フェスティバルを主催した。ほぼ同時期、この携帯アプリスタートアップ YEMA Live は中国で有名なミュージシャンである Wang Feng 氏と Unity Ventures(九合創投)から資金を調達した。