年末のこのタイミングでも、彼ならなぜか自然に思える。2014年のはじまりと共に、家入一真氏がまた新たなプロジェクトを始動させる。
プロジェクト名は「dropout」。
家入一真氏と高木新平氏、そして彼らの運営するLivertyに集う大学生数人で構成されたチームが立ち上げた動画メディアがそれだ。
そして最初に断っておくべきこととして、私も個人としてこのプロジェクトに参加するひとりであり、本稿はその点を割引いてご一読頂きたい。また経緯については家入氏との対談記事を元旦に掲載予定なので、そちらで説明させて頂く。
さておき、今日はこのプロジェクトが残した最初の1カ月、ーー実際は12月1日に公開しているので30日間になるがーーその数字と「動画と共感」、そして「家入一真をメディアにしたらどうなるか」というテスト結果をみなさんに共有したい。
問題を考える「きっかけ」となる動画を共有する
dropoutの構成は非常にシンプルだ。
毎日ひとつずつ動画をアップしていく。この動画はYouTubeをはじめとする動画共有サイトで既にシェアされているもので、タイトルはチームで新たに考えるが、コンテンツの新旧は特に問題ではない。海外のUpworthyなど、ここ1年ほどで急成長しているバイラルメディアがお手本だ。(UPについてはこのスライドシェアが参考になる)

重要なのはテーマにある。普段、人々があまり目を向けたがらない問題、社会的課題、格差、ゲイやレズビアンといったLGBT、そして環境、特に私たちにとって忘れがたい「3.11」も含まれている。
このテーマに沿った動画をひとつずつ公開し、読者の判断に委ねて「コメントと共に」共有してもらう。タイトルは何かを促すようなものではなく、可能な限り中立を目指す。ーーとまあ、こういったものだ。
リーンの考え方に沿って、シンプルなブログをひとつ立ち上げ、12月1日にサイトを公開した。結果、12月29日時点で、約70万人の訪問者が100万ページ以上を閲覧した。

改めて想う3.11とコメントの数々
今回、訪問してくれた読者の方々の多くはこの動画に関するものだ。タイトルには敢えて具体的な文字を入れず、動画の中に流れる歌詞からとらせてもらった。
動画の公開についてはチーム内でも是々非々があったし、公開後の共有時にも様々なコメントがFacebook、Twitterに流れた。
当然だが、お涙頂戴や何かの押し付けでこの動画を公開したわけではない。流れる共有コメントをみながら、私たちはこのサイトが持つ役割ーー思考停止にならないためのきっかけーーを再認識した。
今もまだ多くの方々が自分なりの言葉を考え、共有を続けている。
「家入一真」がやるべきメディア
立ち上げの経緯については、冒頭の通り私と家入氏の対談でお伝えしたいが、ひとつだけ、このメディアが単なるコピペやおまとめにない点を書かなければならない。
それは「家入一真」がやっている、ということだ。
僕が「なぜその事業をあなたがやる必要があるのか」と起業家に聞くのは、そこに物語や必然性がない限り、他の誰かが同じことをやってもいいから。単に「儲かりそうだから」なんて薄っぺらい理由で始めるものはすぐにばれる。逆に、僕はこれ以外の質問はしない。事業にではなく人に、物語に、投資する。
— 家入一真 電凸→08044431800 (@hbkr) December 28, 2013
彼にはここしばらくずっと取り扱ってきたテーマがある。「マイノリティと弱者」だ。彼らが運営するLivertyやシェアハウスのリバ邸などに集う若者は、大小なんらかの問題を抱えている。家入氏もまた、コンプレックスの塊といってもいい。私もまた課題を抱えるひとりでもある。
マイノリティの問題や弱者に対してどう向き合うか、という課題は大変難しい。左か右か直進か、割り切れるものではないし、時には持論を展開しなければならない。
重要なのはシンプルに「常に考える」ということなのだと思う。だからこそ、きっかけとなる何かが必要だった。
彼は常に人々にきっかけを与え続けている。このメディアは家入氏そのものなのだ。
今後の展開
さて、試験的に立ち上げたこのメディアだが、当初、ステルスで初月に100万ページビューを超える共感が得られなければ終わりにしよう、という話をしていた。そして前述の通りそれは達成された。(余談だが、達成の日は家入氏の誕生日だった)。
現時点でこれは単なるブログに過ぎない。ビジネスを考えるのであれば、クリアしなければならない問題も多い。
今後家入氏はこのプロジェクトをどのように進めるのか。中の人として参加することになったひとりとして、メディアを運営するひとりとして、できる限りお伝えしたいと思う。
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