AppleのM1チップ製造をめぐる旅:TSMCの生産能力に付けられた疑問符(2/3)

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Image Credit : Apple

(前回からのつづき)TSMCがAppleの強力なパートナーであることは疑いの余地がない。クパチーノの巨額の予算に支えられ、TSMCはAppleの最新チップをプロセッサ技術を最先端に保つため、製造能力を何度もアップグレードしてきた。TSMCは現在、文字通り毎年何億個ものAシリーズプロセッサを供給しており、最近ではIntelの支援もするほどで、誰もが認める世界トップのチップ製造会社となった。

しかし、韓国のビジネスレポートが伝えるところによれば、TSMCがAppleの成長するニーズを満たすのに十分な5ナノメートルチップの生産能力を持っていない可能性があることを指摘していた。

Qualcommなどのライバルが5ナノメートル技術に自社チップを移行し始めたように、AppleはTSMCの5ナノメートル生産施設のすべてを最新のAとMシリーズのプロセッサのために確保したという。

ではもし、TSMCの生産能力が不足している場合どうなるか。Appleはもうひとつの5ナノメートルチップメーカーであるSamsungがMacチップの供給をすることになるかもしれないというのだ。確かにあり得る話ではあるが、それは希望的観測かもしれない。AppleとSamsungの関係が悪くなった時、韓国ではそういったことが多々発生していた。

もしTSMCが制約を受けた場合、5ナノメートルチップに依存するiPhoneやiPad、Macの短期的な供給に問題がでる可能性がある。それでも, Appleには代替案が多くある。Samsungに供給契約を申し入れることも解決策の一つだし、TSMCにさらに予算を追加して生産能力を迅速に増強してもらう、という手もある。

短期的な問題であればAppleは一定期間、他のデバイスよりもiPhoneのチップの注文を優先させ、重要性が低いと思われるM1のMacやiPad Airの売上を「圧倒的な需要」を優先するとして一時的に減少させることも考えられる。あるいは、iPhone、Mac、iPadの価格を調整して、特定のモデルに需要を移動させたりすることも可能だ。

ただ、それより大きな懸念は、TSMCの限られた5ナノメートルチップ生産能力がAppleの野心を尻すぼみにさせてしまうことだ。将来のMac、iPad、Apple Watches、およびApple TVが古い生産技術に基づいたチップで立ち往生するかもしれない。

最初のM1ベースのMacは5ナノメートルのリソグラフィを使用しているが、Appleは今後のiMacファミリーやMac Proファミリーのためのチップを製造する際、ステップバックして7ナノメートルのプロセスに戻らざるを得なくなるかもしれないのだ。これはまさにAppleがかつてIBMやIntelとの関係で嫌味を言っていた、あれと同じような「みっともない」戦略と同じ道を辿ることになる。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

 

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