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食糧危機問題に取り組むケニア「Gro Intelligence」アフリカテック最大の資金調達に成功

ピックアップ:Kenyan data analytics company Gro Intelligence raises $85m Series B funding round 重要なポイント:食料安全保障や地球規模での気候変動に関する課題解決への貢献を目指すケニア発のデータ分析スタートアップGro Intelligenceは1月、アフリカのテック系スタートアップ全体で最大規模となる8,500万ド…

ピックアップ:Kenyan data analytics company Gro Intelligence raises $85m Series B funding round

重要なポイント:食料安全保障や地球規模での気候変動に関する課題解決への貢献を目指すケニア発のデータ分析スタートアップGro Intelligenceは1月、アフリカのテック系スタートアップ全体で最大規模となる8,500万ドルの資金調達を行った。今回の資金調達を受け、今後はAIを活用した同社プラットフォームのさらなる成長とグローバル展開に力を入れていく。

詳細な情報:本ラウンドはIntel CapitalAfrica Internet Ventures、Ronald Lauder氏とEric Zinterhofer氏のファミリーオフィスが共同で主導し、既存の投資家であるDCVC、GGVも参加したほか、食料安全保障イニシアチブに投資する米国拠点のRethink Foodなど新たな投資家も加わった。

  • エチオピア出身で元ウォールストリートのトレーダーである同社CEOのSara Menker氏は、各国間の農業に関連するデータの隔たりをなくすため、2014年にケニアのナイロビでGro Intelligenceを立ち上げた。同社は収穫量や土壌の質から気候要因に至るまで、世界中のさまざまな市場から収集された食料生産に影響を与えるデータを収集して膨大なデータセットを構築、農産物の需要、供給、価格設定を予測する。
  • AIを活用したGroのプラットフォームでは、4万を超えるデータセット、650兆を超えるデータの収集、正規化、モデル化を行い、食品、気候、貿易、農業、マクロ経済間の相互関係を明らかにし、食品、農業、気候、経済などのリスクに関する洞察や分析、意思決定ツール、ソリューションを提供する。
  • 現在はニューヨークにもオフィスを構えるGro Intelligenceは、各国や食品業界がバリューチェーン全体をどのように計画しているかを明確にし、地球規模での気候変動の課題解決に貢献したいと考えており、農業および気候のリスクをモデリングする世界初のビッグデータプラットフォームとなることを目指している。
  • 既存のクライアント及び潜在的なクライアントは政府から金融機関、農業投入企業、小売業者、食品および飲料企業、農業に必要な製品を生産する企業、その他さまざまな業界に及ぶ。New York Timesによれば、クライアントの1つであるユニリーバは、クノールブランドの食糧供給における持続可能な計画を立てるためにGroのデータを使用している。
  • 「Gro Intelligenceは最もエキサイティングなAI企業の1つであり、食料安全保障と気候リスクという世界最大の2つの課題に取り組んでいます。彼らのソフトウェアベースのプラットフォームは、コンピューティングを活用した国境を越えた知見によって意味あるインサイトの発見を促進し、農業領域においてより多くの情報に基づいた意思決定を可能にします」とIntel CapitalのシニアマネージングディレクターであるTrina Van Pelt氏は述べている。

背景:Groの前回の資金調達は2017年にTPG Growthが主導したシリーズAラウンドで、このラウンドはCellulant、LifeBank、Lori、およびEchoVCを通じて行われ1740万ドルを調達した。 今回の資金調達により同社の資金調達額総額は1億ドルを超えた。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代

「保険を農家に直接販売しない」ケニアのインシュアテック、Pula

ピックアップ:Pula raises $6m Series A to provide insurance for smallholder farmers across Africa ニュースサマリ:ケニアのインシュアテックスタートアップPulaはシリーズAラウンドで600万ドルの資金調達を実施した。保険普及率が非常に低いアフリカで小規模農家を対象にした保険商品を提供する同社は、新型コロナウィルスの…

ピックアップ:Pula raises $6m Series A to provide insurance for smallholder farmers across Africa

ニュースサマリ:ケニアのインシュアテックスタートアップPulaはシリーズAラウンドで600万ドルの資金調達を実施した。保険普及率が非常に低いアフリカで小規模農家を対象にした保険商品を提供する同社は、新型コロナウィルスの流行が長引き、低所得者層の多い小規模農家がこれまで以上に保証を必要としている現在の状況をスケールアップの時とみている。

詳細な情報:調達のラウンドはTLcom Capitalが主導し、Women’s World Bankingも参加した。今回調達した資金は既存の市場拡大のために利用されるほか、アジアやラテンアメリカでの事業展開も視野に入れている。

  • 同社は機械学習やCCE(Crop-Cut Experiments)と呼ばれる収穫量の分析手法や気象パターンと農家の損失などをデータ化し、さまざまなリスクに対応する保険商品を提供する。従来の保険では実際に農場を訪問してリスク評価を行うが、Pulaは衛星画像やデータを使用して干ばつや豪雨の発生率などを予測している。
  • 50の保険会社・6つの再保険会社との提携、銀行や政府、農家向けの製品を販売する企業とのパートナーシップを通じてPulaは小規模農家に保険を提供するエコシステムを構築した。また、同社のクライアントは小規模模農家だけにはとどまらず、WFP(国連世界食糧計画)、ナイジェリア中央銀行、ザンビア政府、ケニア政府なども同社のクライアントとなっている。
  • Pulaの大きな特徴といえるのは保険を農家に対して直接販売しないスキームにあり、同社では代わりに銀行や種子の販売会社と提携し、銀行が農家へ融資をする際に保険への加入を義務付けたり、種子の販売をする際に企業が保険を付けた形で販売したりといった形で普及率が非常に低いアフリカ小規模農家の保険加入を促進する。実際にこの方法で同社はルワンダとケニアで18万5千人の保険加入者を獲得した。
  • 今回の資金調達に関してPulaのCEO Goslinga氏は、世界的な新型コロナウィルスの流行で農家がこれまで以上に保証を必要としている現在、サービス開始から5年が経つ同社にとってスケールアップの時がきたと述べており、今回の資金調達ラウンドを主導したTLcom CapitalのCaio氏はこのような状況下でのPulaの成長を確信している、とコメントしている。

背景:AIを活用して農家のコスト削減や生産性向上を支援するAeroboticsは昨年12月にシリーズBラウンドで1,700万ドルを調達、小規模農家に太陽光発電システムや灌漑システムを提供するSunCultureは同月にシリーズAラウンドで1,400万ドルを調達した。また、Pulaと同じく小規模農家の経済面を支援するApollo AgricultureもPulaと同じくシリーズAラウンドで同額の600万ドルの資金調達を実施するなど、アフリカの小規模農家を主な対象とするサービスを提供しているスタートアップの資金調達が相次いでいる。アフリカでは保険の普及率が低く、2017年のアフリカ大陸全体での保険普及率は2.8%と推定されており、その中でも農業分野における保険普及率はさらに低い傾向にある。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代

アフリカの銀行口座をデジタル化する「Umba」、ケニアとナイジェリアで事業拡大

ピックアップ:Into Africa: Irish start-up wins funding to lend to emerging markets ニュースサマリ:サンフランシスコを本拠地として新興市場向けにデジタル銀行を運営しているフィンテックスタートアップUmbaは、現在サービスを提供しているケニアとナイジェリアで製品機能を拡充するために、200万ドルのシード資金を調達した。 このラウンド…

Image Credit : Umba

ピックアップ:Into Africa: Irish start-up wins funding to lend to emerging markets

ニュースサマリ:サンフランシスコを本拠地として新興市場向けにデジタル銀行を運営しているフィンテックスタートアップUmbaは、現在サービスを提供しているケニアとナイジェリアで製品機能を拡充するために、200万ドルのシード資金を調達した。

このラウンドは、Stripeの元発行責任者である Lachy Groom氏とLudlow Venturesがリードし、新たにFrontlineVenturesとActVenture Capitalが投資家として加わった。Ludlow Venturesにとっては初のアフリカ市場への投資となる。今回調達した資金で今後数カ月以内にこれら2つの市場で提供するサービスを拡大し、デビットカードの追加なども計画している。

詳細な情報:Umbaはアフリカのレガシー銀行に代わるデジタル金融サービスを提供。Umbaのモバイルアプリでは、アフリカの既存の銀行では高コストな金融サービスである当座預金口座やピアツーピア送金を無料で利用できるほか、貸付、預金、各種料金の支払い、キャッシュバックなどを提供する。

  • Umbaは当初から複数の市場、通貨、決済インフラストラクチャにサービスを提供する前提でプラットフォームを構築している。たとえば、ナイジェリアは銀行とデビットカードの普及率が高いため、Umbaはこれらの支払い方法に対応しているが、ケニアと東アフリカではモバイルマネーの利用の方が圧倒的であるためこれらのサービスと密接に連携している。
  • 多様なニーズに柔軟に対応できることを当初から考慮にいれていることがUmbaがビジネスを迅速に拡大できる理由だと、同社UmbaのCEOであるTiernan Kennedy氏は説明している。
  • Umbaは2019年7月に、ACT Venture Capital、Frontline Ventures、Bloom Equityから非公開のエクイティファイナンスラウンドを実施し、アフリカ各国の銀行口座を持たない人々に向けてマイクロファイナンスサービスの提供を開始、2019年11月にはケニアのMYDAWAと提携し医療費支払いのための融資サービスなども行っている。

背景:Umbaがサービスを提供するケニアとナイジェリアはアフリカのフィンテックシーンをリードする国で、両国の人口は合計で2.5億人を超える。銀行口座保有率が20%を下回る国も珍しくないアフリカの中において、ナイジェリアの銀行口座保有率は半数以上と周辺諸国よりも高く利用者も多い一方、ケニアでは携帯電話を利用した送金サービスのM-PESAによる取引がGDPの4割を超えるほどにまでなっており、両国の金融サービスを取り巻く環境は全く異なっている。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代

ケニアで深刻化する血液問題に取り組む、デジタルヘルスプラットフォーム「Damu-Sasa」

ピックアップ:Kenyan e-health startup Damu-Sasa secures $20k from Villgro Africa to enhance COVID-19 capabilities – Disrupt Africa 重要なポイント:献血に対する理解不足から国内での協力者が少なく、以前から慢性的に医療用の血液不足が問題視されていたケニアでは、新型コロナウィ…

Photo by cottonbro from Pexels

ピックアップ:Kenyan e-health startup Damu-Sasa secures $20k from Villgro Africa to enhance COVID-19 capabilities – Disrupt Africa

重要なポイント:献血に対する理解不足から国内での協力者が少なく、以前から慢性的に医療用の血液不足が問題視されていたケニアでは、新型コロナウィルスの流行で事態はより深刻となった。そんな中、同国で献血バリューチェーン向けにプラットフォームを提供しているDamu-Sasaが、献血者の増加や効率的な血液管理に貢献している。

詳細な情報:ケニアのナイロビを拠点にするデジタルヘルス・スタートアップDamu-Sasaは、採血、在庫管理、輸血管理、など、エンドツーエンドの医療用血液バリューチェーンを統合的に管理するプラットフォームを同国内向けに提供している。

  • Damu-Sasaのプラットフォームはクラウドベースで、バリューチェーンに関与する全ての人々に関連するアクティビティを一括で情報提供することが可能なため、 データによる意思決定の強化や効率的な血液の管理を支援し、 関連するコストを削減する。
  • 病院が献血協力者や病院間で必要な血液を調達するのを支援し同時に、血液製剤のスクリーニング、準備、在庫管理、輸血管理もサポートするなど、バリューチェーン全体で同プラットフォームは機能する。また、必要に応じた登録者への献血協力の要請や血液のトラッキング、献血履歴の管理もプラットフォーム上で行える。
  • 同社は病院やその他関連する多くの機関やパートナーと協力し、安全な血液を十分に供給することを目的としてプラットフォームの改善を行いながら、国民からの自発的な献血量の増加を増やす取り組みをしている。
  • 現在までにケニア全体の132の病院で同社プラットフォームは利用されるようになり、9,000回を超える献血を促し、プラットフォーム上には7万2,000人を超える登録者がいる。同社は新たにリリースされたAndroidアプリを通じてこの数をさらに大幅に増やすことを目指す。今年の7月に同国内で献血用血液の不足が深刻になった際には、保健省とFacebookが提携して行った献血キャンペーンにも協力するなど、既に同国内では一定の知名度と信頼を得ている。
  • この取り組みを後押しし、また新型コロナウィルスの感染拡大防止への貢献を強化するために、ヘルスケアおよびライフサイエンスセクターのインパクト投資家でもあるVillgro Africaから2万ドルの助成金を確保した。またVillgro Africaは助成金に加え、Damu-Sasaプラットフォーム上の新型コロナウィルスに関連した血液管理機能の強化や、継続的な資金調達活動をサポートするための支援も実施する。

背景:ケニア国内では年間100万ユニット程度の輸血用血液が必要とされているが、献血の重要性に対する理解不足などから積極的に献血を行う人は少なく、国内の献血量は20万ユニットにも満たない状態にあり、医療用の血液は慢性的に不足状態にあった。これまで海外からの支援(輸入)に頼っている状況であったが、その最たるものであった米国からのエイズ救済のための血液提供プログラムが昨年後半の資金削減によって停止状態となり、今年初め頃からケニア国内の医療用血液不足は深刻化していた。新型コロナウィルスの影響により、ロックダウンや外出自粛といった行動の制限により献血センターなどに足を運び献血をする人が激減し、現在世界的に医療用の血液の安定的な確保が難しくなっている。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代

40億人の「住所不定」を解決するスマートアドレスサービスのOkHi、ナイジェリアで開始

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ピックアップ:Nairobi-based startup OkHi launches in Nigeria ニュースサマリ:物理的な住所のない人々のためにケニアのナイロビを拠点にスマートアドレスサービスを展開するOkHiは12月、アフリカ最大の銀行プラットフォームであるInterswitchと提携してナイジェリアでサービスをローンチした。今年9月にはナイジェリアへの市場拡大などを目的として、Fou…

Image Credit : OhHi

ピックアップ:Nairobi-based startup OkHi launches in Nigeria

ニュースサマリ:物理的な住所のない人々のためにケニアのナイロビを拠点にスマートアドレスサービスを展開するOkHiは12月、アフリカ最大の銀行プラットフォームであるInterswitchと提携してナイジェリアでサービスをローンチした。今年9月にはナイジェリアへの市場拡大などを目的として、Founders Factory AfricaAsian VC Betaron、Interswitchが主導するシードラウンドで約150万ドルの資金調達を実施している。

詳細な情報:OkHiのスマートアドレスシステムを使用すると、個人の名前と電話番号に対してGPSによる家の位置情報、実際の家や家の前の写真、その他住居の特定に役立つ情報を紐付けることができる。通りの名前や番地などが割り当てられていない地域に住む人たちの元へ、郵便物やデリバリーサービスなどの配達員が迷ったり電話をかけて場所を確認しなくても、スムーズに目的の家にたどり着けるようになる。

  • ケニアではOkHiの利用によって配送コストの20%削減し配送時間40%短縮された。ナイジェリアでは同サービスの普及によって年間20億ドル程のコスト削減が見込まれている。また、Interswitchとの提携はナイジェリアの全国民1億9,500万人に物理的住所を提供するというOkHiの支援目的以外にも、eコマースセクターの成長を加速させ、金融包摂を推進するという目的が含まれている。
  • OkHiに限らずスマートアドレスサービス全般では、その情報を参考に郵便や荷物の配達が行われる度に、住所や住人の情報の有効性が確認される(もし情報通りの場所に目的の家や荷物の受け取り人が存在しない場合には、情報が誤っていることをシステムに報告できる)ため、利用者や利用頻度が増えるほどに情報の正確性が担保される。
  • 企業側がOkHiのスマートアドレスを住所証明として信頼に値すると判断すれば、配達関係のサービスに限らず、これまで住所の入力や登録が必須であったサービスへのアクセスが可能になったりKYCとして有効な手段にもなり得るため、同サービスは物理的な住所を持たずに暮らしている人々の生活が大きく向上する可能性を持っている

背景:OkHiは元GoogleのエンジニアでGoogle MapsやChromecastに携わっていたTimbo Drayson氏によって、2014年イギリスとケニアに拠点を置く企業として設立された。世界には推定数十億人(OkHiによれば40億人)にのぼる人が、物理的な住所を持たずに暮らしている。これらの人たちは郵便物などの受け取りに苦労するばかりか、銀行口座や運転免許証、投票権、社会保障、医療、災害支援など様々なサービスへのアクセスが制限されるため、現在GPS機能や衛星画像などを活用してこの問題の解決を試みる様々な取り組みが行われている。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代

農業のデジタル化でケニア女性の自立を模索する「Farmers Pride」の取り組み

ピックアップ:Kenyan agri-tech startup Farmers Pride raises $220k funding from Gray Matters Capital’s coLABS 重要なポイント:11月初めに22万ドルの資金調達を行ったケニアのアグリテック・スタートアップFarmers Prideは国内の小規模農家や農業製品・農産物販売を行う女性に焦点をあて、ワンストップの…

ピックアップ:Kenyan agri-tech startup Farmers Pride raises $220k funding from Gray Matters Capital’s coLABS

重要なポイント:11月初めに22万ドルの資金調達を行ったケニアのアグリテック・スタートアップFarmers Prideは国内の小規模農家や農業製品・農産物販売を行う女性に焦点をあて、ワンストップのECプラットフォームを展開して女性の収入向上を支援している。

詳細な情報:出資したcoLABSは世界中の女性と少女が直面する重大な問題に取り組んでいる革新的でスケーラブルな企業に投資するために、2017年初めにGray Matters Capitalによって立ち上げられたグローバル投資ポートフォリオ。

  • Farmers Prideはテクノロジーとフランチャイズを活用し、農家の生産性や農産物販売の売り上げ向上など、農家が成功するのに必要なすべてのものをつなぐラストワンマイルのオンラインとオフラインをつなぐECプラットフォームを提供している。中でも小規模な女性農家や女性の農産物販売者のエンパワーメントに積極的に取り組んでいる。
  • 同社は既に1万人を超える農家と約300の農業製品や農産物を販売する小売業者のユーザーを獲得している。
  • 今回調達した資金は、主には女性農家を対象とする農村部約50万人の農家を対象に、同社のワンストップECプラットフォームを介した保険サービスや金融サービスへのアクセス、市場との連携、農業の機械化などによる収入向上を支援することに使われる。資金の一部はその他、テクノロジーを活用した農業関連製品及び農産物販売所の立ち上げや、2022年までに3万人の農家を支援することを目的とした教育プログラムの作成にも使われる。
  • オンラインベースの小規模農家のサプライチェーンを構築し、それぞれ独立していた小規模でインフォーマルな各農村の農業製品や農産物の販売所をマイクロフランチャイズに変えることで価格の透明性や公平性が高くなる。また、製品のトレースが可能になることで種子や農薬などの製品の期限切れや質の悪い偽造製品が流通することを防げる。

背景:ケニアは、2006年には性的犯罪法、2015年に家庭内暴力防止法、2019年はFGM撲滅政策とジェンダー開発に関する政策と女性の平等を高めるための措置を講じているため、依然としてジェンダーギャップはあるものの徐々に改善傾向にある。(2020年のグローバルジェンダーインデックスは0.671で153カ国中109位)

また、ケニア国立統計局は国連やユニセフ等と協力し、ケニアにおける女性と女児のエンパワーメントのための初の包括的かつ体系的な指標となるWEI(Woman Enpowement Index)を作成し今年8月に最初の調査を行った。結果として都市部と農村部、教育水準、貧困の度合いなど国内の中でも置かれている環境により、女性に与えられた権利や権限の差が数倍にのぼるケースもあり国内での女性の立場による格差が明らかとなった。同調査によれば都市部に住む女性の40%には権限が与えられており、これは農村部の割合の約2倍となる。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

貧困層にキャッシュレスを広げるケニア「Digiduka」は送金手数料無料モデル

ピックアップ:Kenya’s Digiduka launches to help bring informal retailers into digital economy 重要なポイント:モバイルマネーサービスM-PESAが高い普及率を誇るケニア。しかし、貧困層やインフォーマルセクターの小売業者などの間では、現在でも現金による支払いが好まれる傾向にある。Digidukaはこれらの人々をターゲット…

ピックアップ:Kenya’s Digiduka launches to help bring informal retailers into digital economy

重要なポイント:モバイルマネーサービスM-PESAが高い普及率を誇るケニア。しかし、貧困層やインフォーマルセクターの小売業者などの間では、現在でも現金による支払いが好まれる傾向にある。Digidukaはこれらの人々をターゲットに、オンライン上での商品の販売やキャッシュレス決済の行えるプラットフォームをローンチした。

詳細な情報:同社はこのプラットフォームを「インフォーマルセクターの小売業者がFacebookショップ、Instagramショップ、WhatsAppチャットボットなど複数のソーシャルプラットフォームでデジタルストアを立ち上げ、商品を販売できるようにするソーシャルコマースプラットフォーム。在庫管理・支払い・配送を処理するエンドツーエンドのShopifyのようなソリューション」と説明している。

  • Digidukaは小売業者にモバイルアプリまたはUSSDショートコードを介し、モバイルマネーと銀行支払いされた料金の回収ができるウォレットを提供。送金手数料を無料にすることで小売業者とエンドユーザー両者のキャッシュレス化を推進する。
  • これによりインフォーマルセクターの小売業者もオンラインで商品の販売が行えるようになり、デジタル経済への参入の手助けとなる。同社によればサービス開始からの数か月で、3,500を超える小売業者や中小企業による取引がプラットフォーム上で行われている。
  • 今後3年間で、ガーナやタンザニア、ウガンダ、ルワンダ、エチオピアなど、同様の機会が見込まれる他のアフリカ諸国への拡大も計画している。

背景:ケニアではM-PESAの普及率が高く(M-PESAによる総取引額はケニアのGDPの5割弱にのぼるといわれている)社会のキャッシュレス化に成功していると言われているが、決済には最大で9.5%となる手数料がかかることが難点。

そのため、低所得者層やインフォーマルセクターの小規模な小売業者の間では、日々の生活の中での支払いの92%は依然として現金で行われている。M-PESAの支払いが積極的に行われないこの分野に着目して事業を行なうスタートアップは他にも TandaPesaKitPesaPointOpenFloat などがある。Digidukaは世界的VCのAntlerが昨年ケニアでの事業を開始した際に行った、約半年のナイロビプログラムの中で10万ドルの出資のもと設立されたスタートアップだ。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

鍵はモバイル、ルワンダで女性向け衛生用品ECを展開する「Kasha」

ピックアップ:African Femtech Kasha Raises $1M from Swedfund ニュースサマリト:ルワンダとケニアで女性向け健康・衛生用品のECプラットフォームを展開するKashaは10月27日、スウェーデンの開発金融機関であるSwedfundから100万米ドルの資金を調達したことを発表した。 詳細な情報:同社は2016年、元マイクロソフト社員のJoanna Bichs…

画像出典:Kasha 公式ウェブサイト

ピックアップ:African Femtech Kasha Raises $1M from Swedfund

ニュースサマリト:ルワンダとケニアで女性向け健康・衛生用品のECプラットフォームを展開するKashaは10月27日、スウェーデンの開発金融機関であるSwedfundから100万米ドルの資金を調達したことを発表した。

詳細な情報:同社は2016年、元マイクロソフト社員のJoanna Bichsel氏とAmanda Arch氏(現在は退社)によって設立。2017年のFastCompanyの取材によると、両氏はシアトルのテックシーンで目の当たりにしていた救命技術の革新が、発展途上国に届いていないことへのフラストレーションから、ルワンダに移住した。

  • Kashaは、発展途上国で当たり前になっているモバイル注文やeコマースのトレンドを活用し、女性が妊娠検査薬や避妊薬を入手できるようなプラットフォームをつくることを目的に設立された。
  • 同社はルワンダでスタートし、現在はケニアに進出。Bichsel氏が回答したtechcabalの取材によると、これまでに7万人以上の顧客にサービスを提供し、70万個以上の商品を届けている。顧客層のうち65%が低所得者であるという。一方で、男性もこのプラットフォームで買い物をしており、顧客の17%が男性だという。
  • またケニア進出以降、同社は西アフリカ市場に参入するか、東アフリカ諸国での展開を考えているという。また、東南アジアや中東にも目を向けており、グローバルな女性向けeコマース企業になることを目指している。

背景:ResearchAndMarkets.com2019年1月のレポートによると、女性用衛生用品市場は現在の310億米ドルから2026年までには620億米ドルに倍増すると予測されており、ナプキン、タンポン、月経カップなどの生理用品が最大のシェアを占めている。ルワンダでは人口の大部分が農業に従事しており、そのうちの70%は自給自足の農業で、平均世帯収入は400米ドル、一人当たりのGDPは801米ドルと小さい市場である。

執筆:平理沙子(Risako Taira)/編集:岩切絹代

トゥクトゥクがラストワンマイルのキー、ケニアで拡大する小売向けEC「Sokowatch」

ピックアップ:The BackEnd: How Sokowatch uses tricycles as warehouses for its African Amazon ニュースサマリー:シリーズAラウンドにて1,400万ドルを調達したケニアのSokowatchは、ケニア、タンザニア、ウガンダ、ルワンダの4カ国9都市の1万6,000を超えるインフォーマルセクターの小売業者に米や石鹸などの生活必需…

Image Credit :Sokowatch

ピックアップ:The BackEnd: How Sokowatch uses tricycles as warehouses for its African Amazon

ニュースサマリー:シリーズAラウンドにて1,400万ドルを調達したケニアのSokowatchは、ケニア、タンザニア、ウガンダ、ルワンダの4カ国9都市の1万6,000を超えるインフォーマルセクターの小売業者に米や石鹸などの生活必需品を届けている。

詳細な情報:ケニアのナイロビを拠点とするSokowatchは、低コストなトゥクトゥクを用いた配送を特徴とするB2B ECスタートアップ。運転資金不足に困る小売業者には支払いの後払いに対応するなど、インフォーマルセクターの小規模小売業者を対象とし、4カ国9都市で展開している。

  • Sokowatchがターゲットにしている1日あたり25ドルから100ドルの収益を上げる小売業者。多くは資金面や店舗面積の問題で卸売業者から商品を一度に大量に仕入れ届けてもらうことができない問題を抱えている。そのため、自ら卸売業者の倉庫や市場に出向いて商品を仕入れる必要があるため、交通費がかかったり一度店舗を閉めたりと、売り上げや収益を上げるのを阻害する要因となっている。
  • Sokowatchのグローバルイノベーション責任者であるKagichiri氏によると、同社のビジネスモデルのコアはトゥクトゥクで、オートバイとは異なりトゥクトゥクには商品を置ける十分なスペースがあり、バンやピックアップトラックに比べて調達や保守費用が安価。
  • Sokowatchはトゥクトゥクを倉庫とロジスティクスの融合と捉え、モバイルデポとして活用することで注文したその日の配送に対応する。同社は大量買付した商品を小売業者に小分けにして売り、その差額で収益を得ているため、トゥクトゥクによる各店舗への配送は無料で実施する。これにより小売業者はこれまで市場に行くためにかかっていた時間とコストをゼロにすることが可能となった。
  • モバイルデポであるトゥクトゥクに商品のストックがなくなってしまった場合には、メイン倉庫からライダーが派遣され対象のトゥクトゥクの元へと商品の補充に向かう。Sokowatchでは、リアルタイムでの注文情報と商品のトラッキング情報や過去のデータも活用する。これまでの取引データとリアルタイムな注文情報を活用し、それぞれの小売業者向けにパーソナライズされたプロモーションとビジネスインサイトの提供を行う。
  • 過去の取引データをもとに小売業者のニーズを予測できる「スマートコールリスト」を開発。在庫のなくなりそうな顧客に事前に連絡して在庫状況の確認や配送日の予定を立てることで、トゥクトゥクはより効率的に配送が行なえる。
  • 資金繰りに悩む小売業者向けには、これまでの取引データをもとにした審査によるファイナンスサービスも行う。現金で取引を行なう場合には支払いを後払いとし、配送当日の営業終了時または最大1週間程度後までの期間で支払い期日を設定出来る。これにより小売業者は仕入れた商品を販売し売り上げを得てからSokowatchへの支払いをすることができるため、運転資金不足の回避につながる。
  • 店舗運営や商品の注文・支払いなどに利用することを想定したスマートフォン購入のためのローンなど、特定の物資購入のための融資も行なっている。同社のサービスはスマートフォン以外にもSMSでの商品注文にも対応しているため、スマートフォンを持っていなくても利用できる。

背景:CEOで創業者のDaniel Yu氏は2012年エジプトに住んでいた際、地方の医療センターと医薬品の供給源を繋ぐデジタル在庫管理システムのアイデアを発案。その後、アフリカと中央アメリカ5カ国で成功を収めるプロジェクトとなったが、NGOの多国籍ヘルスセンター向けシステムであったため営利事業への転換は不可能であった。そこで同システムを利用したビジネスとして、ケニアの小規模な小売業者が抱える問題と流通市場の抱える問題に着目しSokowatchを立ち上げた。Yu氏によれば、東アフリカだけでもインフォーマルセクターの生活必需品市場の規模は約1,800億ドルあり、アフリカの他の地域も含めた全体では6,000億ドル程度で、現在増加傾向にあるという。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

ケニアで圧倒的シェアを誇るモバイル決済「M-PESA」を運営するSafaricomとは

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ピックアップ:sustainability report_2019 重要なポイント:ケニアで圧倒的シェアを誇るモバイル決済サービスM-PESAを運営する通信事業者Safaricomは2,503億Ksh(約23億米ドル)の収益、625億Ksh(約5億8,000万米ドル)の利益を2019年度に上げ、人口約4,800万人のケニアで約3,200万人の顧客を獲得している。これにより、約100万人の直接的・間…

Capture
Safaricomウェブサイト

ピックアップ:sustainability report_2019

重要なポイント:ケニアで圧倒的シェアを誇るモバイル決済サービスM-PESAを運営する通信事業者Safaricomは2,503億Ksh(約23億米ドル)の収益、625億Ksh(約5億8,000万米ドル)の利益を2019年度に上げ、人口約4,800万人のケニアで約3,200万人の顧客を獲得している。これにより、約100万人の直接的・間接的雇用を生み出した。

Safaricomはこれらの顧客に向けて同社のモバイルネットワークやインターネット回線網、M-PESAの送金システムを活用し、様々な分野からケニア人の生活にポジティブな影響を与えるサービスの提供を積極的に推進している。

詳細情報:Safaricomがケニアの人の生活に大きく影響を与えている土台には、通信インフラ設備への投資も非常に大きい。人口に対するネットワークのカバー率は 2Gが96%、3Gが94%、4Gが57% となった。また、2019年度で光ファイバーケーブルの総敷設距離は6,700キロメートルになり、2016年の3,236キロメートルから倍以上の距離となっている。

  • 同社ではこれらのモバイルネットワーク、インターネット網、M-PESAのプラットフォームを活用し、「Transform Lives」という目的のもと、農業、教育、医療などの分野を中心に既存のケニア人の生活に変革を起こすサービスの提案・提供をここ数年積極的に行っている。具体的には次のようなサービス群だ。

金融

M-PESA引き続き同社の主要サービスであるM-PESAは2019年度は2,260万人以上のユーザーが利用し、750億ksh(約7億米ドル)の収益を上げた。2018年からはGoogle、PayPal、Western Unionと提携し、国際送金サービスM-PESA Globalも開始、18万人のアクティブユーザーが利用している。

Fuliza:2019年1月にサービスを開始したFulizaは世界初のモバイル当座貸越サービス。M-PESAアカウントの残額が不足している場合でも、その場で決済取引を完了できるように作られた。1,070万ユーザー、2,900万ksh分の払い出しが行われた。

農業

Digifarm:小規模農家を総合的に支援するプラットフォーム、農業についての知識を学んだり、市場の需要に基づいた作物の栽培量に関するアドバイス、M-PESAを使用した少額の融資、農作物の販売マーケットプレイスといったサービスが利用できる

小規模農家の生産性を向上し収入を増やす目的で、100万人以上が利用し、MAUは30万。 2019年度末までで6万1,435件の融資を実施している。非公式なものを含めると、ケニアの総雇用の60%以上が農業従事者といわれている。

医療

M-TIBA:医療を必要とする人と医療施設、ヘルスケアプロバイダー、保険会社を繋ぐ、ヘルスケア&ファイナンス プラットフォーム。M-TIBAを介してNHIF(政府が運営する健康保険制度)への登録も可能で、煩雑な手続きなどをせず保険制度を利用して安価な医療サービスが受けられる。

医療システムの改革と健康保険の普及を支援し、低所得者層でも手頃な価格の医療サービスにアクセス可能とすることを目的に置く。現在では、400以上の提携クリニックでサービスを提供し、420万件以上の加入者、2億円以上の医療費節約に貢献している。

クリーンエネルギー

M-Kopa:未電化地域や電力供給が不安定なエリアの家庭に小型の太陽光パネルと家電のキットを提供。利用者はM-PESAを介してキットの費用代金を分割で支払い、費用代金の支払い完了後は無料で利用可能。三井物産や住友商事が出資に参画している。「すべての人が手頃な価格で持続可能なエネルギーへのアクセスを確保する」という、2050年までにCO2排出ゼロ企業を目指す取り組みの一環として実施する。50万世帯以上に太陽光パネルを提供し、240万人の生活の向上に貢献している。

M-GAS:2019年に18.96%の株式を取得したCircle Gasと提携し、スマートメーターを使用しM-PESAでの支払い状況によって利用の制御が行える。プリペイド式調理用ガスの提供を2020年1月から開始している。

教育

Shupavu291:ゲーム形式のeラーンニング・プラットフォーム。インターネット環境の悪い場所での利用も想定し、オフラインでも利用できるコンテンツやSMSを利用したクイズ形式の問題なども用意されている。包括的で公平な質の高い教育を確保し、すべての人に生涯学習の機会を提供することを目的に置く。50万人以上のアクティブユーザー、2016年のサービス開始以来これまでに約410万人以上が利用している。

コマース

Masoko:ケニア国内で製造された製品などを中小企業などが販売できる「アフリカのライフスタイルマーケットプレイス」として2017年よりサービスを開始。2019年の11月にベンダー宛にサービスの中止を通知する旨のメールを送っており、現在は中国や韓国製のスマホや周辺アクセサリのみを販売している。

SDGs

Safaricomでは、ビジネスの役割は利益を生み出すことだけにとどまらないと考え、SDGsの取り組みもビジネスのコアに包括することを目指している。上記の事業もほとんどがSDGsのいずれかの目標と関連している。

M-PESA Foundation Academy:経済的に恵まれない学生を対象に、住居や奨学金制度などとともに、ケニアのナショナルカリキュラムを提供する高校。リーダーシップ、起業家精神、テクノロジー、イノベーションを持つ起業家やリーダーとなる人材の育成を目指す。

Fafanuka:非感染性疾患(NCD)の予防・診断・管理・などについて、SMSとUSSDを使用して一般市民、患者、医療従事者、介護者に対し正しい知識の啓蒙や教育を行うサービス。

M-Salama:ケニア赤十字社と提携して運営するSMSによる災害警告システム。

WIT(Women in Technology):様々なバックグラウンドを持つ女性が、テクノロジー関連のキャリアを身に着け、社会進出することを支援するインターンシッププログラム。

※上記各サービスの具体的な数字は、Safaricomの公開している、2019年度のSustainability Reportから引用

背景:2007年3月にサービスを開始したM-PESAは、総取引額がケニアのGDPの50%を占めるまでに普及している。Safaricomのサービスの多くは、SafaricomのSIMカードを持っていれば誰でも利用できることと、スマホのアプリやインターネット回線を必ずしも必要とせず、2Gしか繋がらない環境やガラケーでも使用できることが普及の要因となっている。例えばM-PESAの送金はSMSを介して行われ、相手の電話番号さえ知っていれば送金が可能。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志