アフリカの銀行口座をデジタル化する「Umba」、ケニアとナイジェリアで事業拡大

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Image Credit : Umba

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ニュースサマリ:サンフランシスコを本拠地として新興市場向けにデジタル銀行を運営しているフィンテックスタートアップUmbaは、現在サービスを提供しているケニアとナイジェリアで製品機能を拡充するために、200万ドルのシード資金を調達した。

このラウンドは、Stripeの元発行責任者である Lachy Groom氏とLudlow Venturesがリードし、新たにFrontlineVenturesとActVenture Capitalが投資家として加わった。Ludlow Venturesにとっては初のアフリカ市場への投資となる。今回調達した資金で今後数カ月以内にこれら2つの市場で提供するサービスを拡大し、デビットカードの追加なども計画している。

詳細な情報:Umbaはアフリカのレガシー銀行に代わるデジタル金融サービスを提供。Umbaのモバイルアプリでは、アフリカの既存の銀行では高コストな金融サービスである当座預金口座やピアツーピア送金を無料で利用できるほか、貸付、預金、各種料金の支払い、キャッシュバックなどを提供する。

  • Umbaは当初から複数の市場、通貨、決済インフラストラクチャにサービスを提供する前提でプラットフォームを構築している。たとえば、ナイジェリアは銀行とデビットカードの普及率が高いため、Umbaはこれらの支払い方法に対応しているが、ケニアと東アフリカではモバイルマネーの利用の方が圧倒的であるためこれらのサービスと密接に連携している。
  • 多様なニーズに柔軟に対応できることを当初から考慮にいれていることがUmbaがビジネスを迅速に拡大できる理由だと、同社UmbaのCEOであるTiernan Kennedy氏は説明している。
  • Umbaは2019年7月に、ACT Venture Capital、Frontline Ventures、Bloom Equityから非公開のエクイティファイナンスラウンドを実施し、アフリカ各国の銀行口座を持たない人々に向けてマイクロファイナンスサービスの提供を開始、2019年11月にはケニアのMYDAWAと提携し医療費支払いのための融資サービスなども行っている。

背景:Umbaがサービスを提供するケニアとナイジェリアはアフリカのフィンテックシーンをリードする国で、両国の人口は合計で2.5億人を超える。銀行口座保有率が20%を下回る国も珍しくないアフリカの中において、ナイジェリアの銀行口座保有率は半数以上と周辺諸国よりも高く利用者も多い一方、ケニアでは携帯電話を利用した送金サービスのM-PESAによる取引がGDPの4割を超えるほどにまでなっており、両国の金融サービスを取り巻く環境は全く異なっている。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代

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