OpenAI、待望のエンタープライズ向け「ChatGPT」を発表

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Image credit: OpenAI

OpenAI は8月28日、「ChatGPT Enterprise」のローンチを発表した。このプラットフォームは、成長するソフトウェアエコシステムへの投資を大企業ユーザに促すことを目指している。これは、昨年11月に「ChatGPT」を発表して以来、同社が予告していた待望のマイルストーンである。

結局のところ、他の多くの企業がジェネレーティブ AI で同じエンタープライズビジネスユーザをターゲットにしているだけではない。Cohere は企業向けに特注の大規模言語モデル(LLM)オプションを提供し、Anthropic は企業向けに Scale AI と提携し、Microsoft Azure は独自の OpenAI サービスを提供しているが、オープンソースプレーヤーもその中に含まれている。例えば、Meta の「LLaMA 2」は商用利用が可能だ

それでも、一時は月間1億人ものユーザを獲得し、コンシューマ向けのLLMインターフェースとして初めて大流行した OpenAI の ChatGPT は、すでにポップカルチャーの辞書に入り込んでいる(最近、アメリカ共和党の大統領選討論会で中傷的に言及された)。新しい企業向けオプションは、これまで間違いなくジェネレーティブAIで最も知名度の高い企業の製品を待ち望んでいた企業を納得させるかもしれない。

エンタープライズグレードのジェネレーティブ AI

同社によると、ChatGPT for Enterprise はエンタープライズグレードのセキュリティ、GPT-4 への無制限アクセス、拡張コンテキストウィンドウ、高度なデータ分析機能、カスタマイズオプションに重点を置いている。

CTO や IT 部門の責任者のような経験豊富な企業の技術リーダーは、ChatGPT for Enterpriseのセキュリティ上の影響を懸念していることだろう。しかし、OpenAI は疑念を解消するために2つの機能を提供している

顧客のプロンプトやデータはモデルのトレーニングには使用されません。(OpenAI)

また、静止時(AES-256)と転送時(TLS 1.2+)のデータ暗号化を提供し、OpenAI はChatGPT for Enterprise はコンプライアンス「SOC 2 Type 1」の監査と認定を受けている(Type 2は近日公開予定)という。データ保持については、次のように説明している。

ChatGPT Enterpriseは、会話履歴などの機能を有効にするためにデータを安全に保持します。データの保持期間は自分でコントロールできます。削除された会話は30日以内にシステムから削除されます。

新サービスの概要を説明するブログ投稿で、OpenAI は ChatGPT Enterprise のいくつかの機能を紹介し、その機能を標準バージョンよりも高めている。ユーザはより高速なGPT-4に無制限にアクセスできるようになり、シームレスで効率的なインタラクションが可能になる。32kトークンのコンテキストウィンドウの増加により、より長い入力やファイルを処理できるようになり、汎用性が向上した。

コードインタープリター(Code Interpreter)」として知られていた高度なデータ分析は、技術チームと非技術チームの両方に、数秒で情報を分析する力を与える。

さらに、共有チャットテンプレートは、複数のチームメンバーが1つの ChatGPT セッションに参加できるコラボレーションワークフローを可能にし、OpenAI の API の無料クレジットは、完全にカスタマイズされた LLM ソリューションを求める組織のためのカスタマイズオプションを提供する。

価格を OpenAI は明言していないが、広報担当者を通じて VentureBeat に次のように答えた。

各企業のユースケースによります。ご興味のある方は、弊社までお問い合わせください。

カスタマイズとさらなる機能追加を計画

OpenAI のブログでは、ChatGPT Enterprise の継続的な改善と拡張に「引き続き取り組んでいく」と述べている。長期的な計画として、企業データ統合によるセキュアなカスタマイズ、小規模チーム向けのセルフサービス型 ChatGPT ビジネス、高度なデータ分析やブラウジングのためのパワーツールの強化などを予定しているという。

OpenAI は、データアナリスト、マーケティング担当者、カスタマーサポートなど、組織内の特定の役割に対応し、的を絞ったソリューションを提供することを目指しているという。

企業による AI 導入の動き

企業のデータセキュリティや AI の「幻覚」に対する懸念、あるいはジェネレーティブ AI の導入に必要な技術や人材、ガバナンスの不足など、企業におけるジェネレーティブ AI の導入は、着手しているとしてもゆっくりと、そして慎重に進められている。

経営幹部がジェネレーティブ AI の力を利用したいと考えていることは間違いない。しかし、KPMG がアメリカの経営幹部を対象に行った最近の調査によると、回答者の過半数(60%)は、ジェネレーティブ AI が長期的に莫大な効果をもたらすと期待しているものの、最初のソリューションを導入するのはまだ1〜2年先だと答えている。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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