デザインの自由度が差別化に貢献、Web制作ツール「STUDIO」は世界市場を目指す/Monthly Pitch! アルムナイ

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STUDIO CEO 石井穣さん

本稿はベンチャーキャピタル、サイバーエージェント・キャピタルが運営するサイトに掲載された記事からの転載。毎月第2水曜日に開催される Monthly Pitch へのピッチ登壇をご希望の起業家の方、オーディエンス参加をご希望の起業家の方の応募はこちらから

「MonthlyPitch アルムナイ」では、これまでにMonthlyPitch にピッチ登壇し、それを機に成長・発展したスタートアップの最新の動向をお伝えします。

STUDIO」がβリリースされたのは2017年4月のこと。ツール上で作ったデザインをそのまま公開できるノーコードのwebサイト構築サービスとして、日本では高い認知度を誇ります。MonthlyPitchに登壇いただいたのは2017年で、それからもう7年の月日が経過しました。これまでの事業の変遷について、創業者でCEOの石井穣(ゆたか)さんにお伺いしました。

グローバル展開への挑戦

STUDIOは当初、UI/UX(ユーザインターフェイス、ユーザ体験)を試行錯誤するためのプロトタイピングツールとしてスタートしました。しかし、ユーザニーズに応えるため、実際のwebサイト制作にも対応する機能を拡張し、現在ではユーザのほぼ100%がwebサイト制作でSTUDIOを活用しています。

創業当初から製品の優位性が評価され、2017年10月にはベンチャーキャピタルのD4Vからの資金調達に成功、国内外から継続的な支援を受けながら成長を重ねてきました。ちなみに、D4Vはシリコンバレーに本拠を置くデザインスタジオIDEOを母体とし、名前に由来する「Design for Ventures」の通り、投資先にデザイン思考やベンチャーデザインに関する専門知識を提供しています。

Image credit: Studio

ノーコードのwebサイト構築ツールとしてはアメリカの「Webflow」が有名ですが、STUDIOは特に直感的な操作性がクリエイターの間で評価され、IDEOの支援もあってアメリカでの利用も増えているそうです。手応えを感じた同社は今年アメリカ法人を設立し、CEOの石井氏がシリコンバレーに拠点を構え、本格的な現地展開に乗り出します。

日本ではランディングページやデザイナーのポートフォリオサイトとしての利用が増えたことから、一定の認知が得られたと考え、次はベイエリアでのさらなる展開を目指します。アメリカでは地道な営業活動に注力しつつ、オンラインマーケティングにも力を入れる方針です。(石井氏)

シリコンバレーには多くのスタートアップアクセラレータが存在します。STUDIOでは、こうしたアクセラレータへの参加や提携を通じ、アクセラレータが支援するスタートアップへの利用促進などを、アメリカでユーザを増やすための足掛かりにしたい考えです。グローバル市場での成長を踏まえながら、必要に応じて、アメリカのVCからの資金調達も視野に入れているそうです。

大手が参入しづらい領域で地位を確立

ピッチなどでは、審査員質問の不文律のようなものとして、「テック大手が参入してきたら、勝てるの?」というのがあります。これに対する模範的な回答としては、「スタートアップならではの機敏性を生かして、先に市場を先取する」というものになります。デザイン分野ではAdobeが圧倒的な地位を誇りますが、そこに勝機はあるのでしょうか。

webデザインツールの領域は、大手ITベンダーがなかなか参入できずにいます。Adobeは「Muse」というプロダクトがありましたが、質の高いツールの継続開発が難しく、ユーザが付かず、継続は困難でした。編注:2020年3月にサービスを終了)。他にも多くの企業が撤退を余儀なくされ諦めています。(石井氏)

デザイナーは自由にデザインしたいところですが、ツールの制約が大きいのが現状です。STUDIOは、デザイナーの自由度を重視する設計で、より直感的で制約の少ないサービスを提供することで差別化を図り、これが従来のサイトビルダーとは一線を画す強みとなりました。

STUDIOはAI分野での取り組みにも積極的です。昨年には自社のAIモデル「STUDIO AI」がProduct Huntで「Daily No.1」「Weekly No.1」に選出されました。AIを活用することで、使い勝手の良さと高い自由度を両立させ、デザインツールのさらなる進化を狙います。

経営陣の皆さん。左から、アメリカ法人COOの朴竜志氏、日本法人COO兼CPOの菊地涼太氏、日本法人CTOの諸田裕紀氏、両法人でCEOを務める石井穣氏
Image credit: Studio

WebデザインにおけるAIの適用を積極的に模索しています。AIによって、デザインのテンプレートや素材の提示、レイアウト自動生成など、プロフェッショナル向けの様々なアシスト機能を実装できると考えています。独自のAIモデルも開発中で、AI技術に興味のあるエンジニアの採用も強化していきます。(石井氏)

一方で、同社が現在重視しているのは経営幹部人材の確保です。STUDIOには日本を中心に約40名のスタッフがいますが、大部分を石井氏が自らマネージメントしてきました。最近、新体制が発表されましたが、マネージメント人材の拡充が喫緊の課題と語る石井氏。年内には、日米両市場での資金調達も視野に入れながら、新たにCFOを採用することも検討しています。

着実な成長を続けるSTUDIO。AIの活用とグローバル展開によって、さらなる飛躍が期待されます。

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