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エストニア発、AIとユーザ収集データ活用で〝次世代の交通安全〟を提起するSupervaisor——日本企業との協業やテストを目下模索中

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自動運転がより身近で高度なものになった時に、スピード違反や駐車違反といった概念が、この世の中から無くなるのか——テクノロジーに関わる者として、筆者が興味を持つことの一つだ。AI とセンサーを備えルールに忠実になったクルマは、中に乗っている人に危害が及ばない限り違法行為はしないようプログラムされるだろうし、運転者がいなければ、理論上は飲酒運転も撲滅できることになる。 レベル4自動運転のクルマが事故を…

Supervaisor CEO の Silver Keskküla 氏。東急のオープンイノベーション施設「SOIL」で撮影。
Image credit: Masaru Ikeda

自動運転がより身近で高度なものになった時に、スピード違反や駐車違反といった概念が、この世の中から無くなるのか——テクノロジーに関わる者として、筆者が興味を持つことの一つだ。AI とセンサーを備えルールに忠実になったクルマは、中に乗っている人に危害が及ばない限り違法行為はしないようプログラムされるだろうし、運転者がいなければ、理論上は飲酒運転も撲滅できることになる。

レベル4自動運転のクルマが事故を起こした時に、誰がその過失責任を負うのかという点には議論を伴うが、意図的な違法行為が起きる可能性は技術的に極小化できるので、オックスフォード大学准教授 Michael A Osborne 氏が言う「消える職業」の536位にある警察官、特に、ネズミ捕りや駐車違反の取締をする警察官は必要なくなるのかもしれない。

加速・減速の頻度などドライバー個々の安全運転特性を取り込んだテレマティクス保険も現実のものとなりつつある。法律が追いつけば将来は車検制度も動的に運用できるようになることを期待したい。モビリティの進化によって実現可能になる交通周辺サービスの効率化に加えて、コレクティブなユーザ参加型の仕組みづくりで交通を進化させようとするスタートアップもいる。エストニア発の Supervaisor だ。Skype や TransferWise といった、既成概念をひっくり返すサービスを多く輩出しているエコシステムから、新星の誕生となるかもしれない。来日中の CEO Silver Keskküla 氏に話を聞いた。

Supervaisor のモバイルアプリ
Image credit: Supervaisor

Keskküla 氏は、Skype 設立初期のリサーチエンジニアを務め、その後2014年に、仕事や住環境などの好みやスタイルに合わせて移住先を見つけてくれる都市マッチングサービス「Teleport」を設立。Teleport は2017年、Google 傘下のモビリティ管理プラットフォーム「MOVE Guides」に買収され注目を集めた(MOVE Guides は後に Polaris Global Mobility と合併、Topia となった)。Teleport 売却後、約2年にわたり Topia の Vice President を務めた Keskküla 氏は、2018年の Supervaisor の創業で再び連続起業家の道へと舞い戻った。

WHO(世界保健機関)の発表によれば、世界では23秒に1人のペースで人が交通事故で亡くなっている。Supervaisor では、歩行者やドライバが、車の危険行為や交通上の問題点などを動画撮影し申告できるアプリを配布。こうしてユーザから集められたデータ集積をもとに、Supervaisor は交通上の危険箇所の指摘を行なったり、警察など交通取締当局に対して進言を行なったりしている。警察当局の取締を支援する仕組みではなく、あくまでリスク排除のための情報収集に利用されるため、ユーザが撮影した動画にはプライバシー保護の観点から自動的に顔にボカシが入る。

Supervaisor は昨年、日本のソフトウェア系特化ファンド MIRAISE も参加したプレシードラウンドで130万ユーロ(約1億5,600万円)を調達した。Keskküla 氏はプロダクト開発と市場検証で、エストニアのタリン、東京、シリコンバレーを飛び回る日々だ。Supervaisor は今はまだエストニア国内の限定ローンチだが、多くの自動車メーカーが本拠を構える日本市場で、さまざまな事業提携を模索しているようだ。

テストを一緒にやってくれる事業会社は見つけたい。例えば、ダッシュボードカメラ(ドライブレコーダー)のメーカーなど。ドラレコは衝撃があった際の前後の動画のみを記録するようにできているので、ドライバが撮影したいと思ったシーンを Supervaisor に共有してもらうにはカスタマイズが必要になる。(中略)

その他にも、タクシー会社や運送会社などが自社のドライバの安全確保のために導入することも考えられる。保険会社や自動車メーカーとも協業できるかもしれない。e スクーターにビデオフィードをつけ動画をリアルタイムで集める、というような展開も考えられる。(Keskküla 氏)

先日、NTT 東日本のデモデイでは、LUUP もモビリティとカメラを組み合わせた仕組みを紹介していた。5G が普及すれば、多くの人が移動体から動画をライブストリーミングしたとしても、モバイルの回線輻輳が生じる可能性も低くなる。集積されたデータは、交通のみならず、我々のさまざまな日常生活に役立つことが期待できるだろう。Supervaisor の日本でのサービスローンチが待ち遠しい限りだ。

集積された動画データのイメージ(タリン市内)
Image credit: Supervaisor
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