今さら聞けないArduinoの基礎知識

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最近もの作り系のニュース記事などで3Dプリンタ同様、よく聞くキーワードである「Arduino」。平たく言えば電子工作に最適なコンピュータなのですが、イマイチどういったものかつかめていない方もいらっしゃると思います。今回はArduinoを特徴や応用例、ハードウェアビジネスとの関わりという観点で紹介します。

Arduinoとは

Arduinoは学習用途からメディアアート作品、プロトタイプまで幅広く使われているマイコンボードです。CPUやメモリなどが組み込まれたマイクロ・コントローラとそれらを動作させるための最小限の回路が組み込まれています。

そして、ハードウェアの上で動作するソフトウェアの開発用にC言語ベースのシンプルな言語が用意されていることや、開発環境が無料で提供されていることから、ハードウェアプロトタイピングの学習を始めやすいこともArduinoの特徴です。

Arduino UNO
Arduinoの開発環境

Arduinoには様々なセンサーやモーター、通信装置などを接続できる端子が用意されています。この写真では、Arduinoと距離センサーを組み合わせることで手とセンサーまでの距離がわかるしくみを作っています。

arduino04

また、バッテリー駆動や無線通信に対応するモデルもあるのでいわゆるIoTデバイスのプロトタイピングに便利なマイコンボードの一つでしょう。一方、スマートフォンなどと比較して大容量のメモリやストレージを持っているわけではないので、LinuxなどのOSをArduinoの上で動かしたり、高精細なディスプレイを接続してHD動画を再生する、といった用途には不向きです。

様々なモデルが用意されているArduino

Arduinoにはスタンダードな「Arduino UNO」以外にも、無線通信やモーター制御、省電力動作など様々な用途に特化したモデルがあります。これらは秋葉原にある「秋月電子通商」やネット通販「スイッチサイエンス」にて2〜3000円台の価格帯で購入できます。

また、オープンソースハードウェアとしてArduinoの設計図にあたる回路図は公開されており、部品を揃えれば誰でも自分のArduinoを組み立てることができます。

下段左から「Arduino Pro Mini」「Arduino Fio」「LilyPad Arduino」

シールドを使って手軽に機能拡張

Arduino用の拡張部品として、Arduinoにつなげることでイーサネット通信や画像表示用のディスプレイなどを手軽に利用できる「シールド」が多く販売されています。これらのシールドをArduinoに差しこむだけで、ハンダ付けや結線の必要なくより手軽にArduinoに機能を追加できます。シールドには以下の様なものがあります。

  • リチウムイオンポリマー充電池を使うためのシールド
  • 有線でイーサネット接続をするためのシールド
  • 3G通信をするためのシールド
Arduinoにイーサネットケーブルを接続するための「イーサネットシールド」
Arduinoで心拍を計測するための「心拍センサーシールド」

ハードウェアビジネスとArduino

このように、安価で入手でき、センサやモータなどと連携するデバイスを作りやすいArduinoは、自分が考えるアイディアをスピーディに形にし検証するプロトタイピングには最適です。しかしこのArduinoは、市場に投入する最終製品に組み込み、量産販売する用途いは大概の場合適しません。

Arduinoの入手には一台数千円かかります。ハードウェアの頭脳にあたる部分を担当するとはいえ、最終製品の価格帯によっては非常に高価な部品となります。また、プロトタイピング用途に設計されたArduinoには最終製品には不要な入出力端子や部品も数多く載っています。これは基板そのものの大きさや、価格にムダを生み出す原因となります。

アイディアを最終製品に進化させるフェイズは大きく分けて、アイディア検証を行うための「プロトタイピング」のフェイズと、それを踏まえた上で最終製品を設計する「量産設計」のフェイズに分かれます。そして量産設計では、プロトタイピングを通じて判明した必要な機能を実現するための最低限の構成を1から設計し直します。

そこで使われる部材はArduinoのような「全部入りのマイコンボード」単位ではなく、マイコン単体、ストレージ単体、LED単体といった、細かい部材の積み上げとなります。こうした背景から、Arduinoが最終製品に組み込まれることはまずありません。

しかし、最近は量産向けのArduinoも登場しつつああります。Kickstarterで50万ドル以上集めている「MicroView」プロジェクトは有機EL液晶も備えた小型のArduinoで、このままリストバンドやネックレスに組み込むことでウェアラブルデバイスとして販売することも可能である点をアピールしています。

有機ELを備えたArduino互換基板「MicroView」

様々なバリエーションが登場するのもArduinoの特徴なので今後は量産品に組み込まれる事を前提に設計されたArduinoも次々と登場するかもしれません。

Arduinoを上手に使う

以上のように、Arduinoは手軽にハードウェア作りの学習ができるマイコンボードです。様々なアイディアを形にし、想定している課題を解決できるのか、世の人に受け入れてもらえるのかをスピーディに確認するためのプロトタイピングツールとして優秀です。

Webアプリなどのソフトウェアだけでは解決できない課題も、ブラウザやアプリの外、つまりハードウェアなら解決できるかもしれません。これを機会にあなたもハードウェア開発にチャレンジするのはいかがでしょうか。

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