世界中の不動産物件を掲載するシンガポール発のクラウドファンディングサイトCoAssetsが、シリーズAラウンドで100万シンガポールドル(73万3000米ドル)を非公表の投資家から調達した。これにより、東南アジアでは初の不動産クラウドファンディングプラットフォームである同社の企業価値は1300万シンガポールドル、米ドルにして953万ドルとなった。
このスタートアップは今回の資金調達に先立ち、シンガポール政府機関Media Development Authorityの協力の下Expara IDM Venturesよりシード資金を受けていた。Vickers Venture Partners代表取締役およびSingapore Venture Capital And Private Equity Association会長のJeffrey Chi氏も出資している。
2013年7月にローンチしたCoAssetsは、15件以上のプロジェクトに対して3600万シンガポールドル(2600万米ドル)をクラウドファンドし、その全支払い額は12万シンガポールドル(8万8000米ドル)になり、平均利益は10%から20%であるとしている。同社は既にマレーシアにオフィスをローンチし、今年中にはオーストラリアにも進出する予定だ。
CoAssetsによると、最初の12ヶ月間の累積登録ユーザが6000人、収益は100万シンガポールドルであったという。収益の60%はクラウドファンディングサイトの手数料から、残りは広告費と交流イベントの開催からだ。「私たちは主にクラウドファンディングにフォーカスしていますが、これらの付加サービスも弊社プラットフォームの利用増大に貢献しています」と同社広報担当者は述べる。
CoAssetsのクラウドファンデイングキャンペーンの例には、タイのライタイ豪華マンションプロジェクトなどがある。2つの物件が掲載されており、ユーザは共同購入か共同所有のいずれかを選択できる。出資者はこの物件の家賃収入や売り上げから支払いを受けることができる。2014年9月には、クラウドファンド出資者に対し7%の支払いが行われた。
今のところ同サイトはシンガポールの中央銀行Monetary Authority of Singapore(MAS)からの規制は受けていない。規制を受ける動きになるのかどうか、また政府が取り組んでいるクラウドファンディングに関わる法規制が同サイトにどのような影響を与えるかについては明らかではない。だが、MASは証券関連取引の規制に焦点を置いているとCoAssetsは述べている。不動産は証券には値しないため、同スタートアップは中央銀行の管理外だというわけだ。
サイトはそれぞれの不動産開発プロジェクトの進捗をトラッキングしていないため、出資者は直接プロジェクトのマネージャーに問い合わせる必要がある。しかし、開発業者、代理店、そして物件所有者によって署名された個人保証、また出資者が投資できる上限額を設定するなど、いくつかの安全対策は講じているとしている。最少投資額がたったの1000シンガポールドルのため、上流・中流階級の人や企業であればプロジェクトを支援することができる。
サイトがどのように機能するか垣間見る目的でTech in Asiaは登録を試みたが、成功しなかった。Facebookによるログイン機能はうまくいかなかったし、登録フォームも同様であった。
CoAssetsがKickstarterのようには機能しないことがわかった。人気のクラウドファンディングサイトとは違い、CoAssetsは投資家の資金や預金などは扱わず、むしろ新規顧客開拓の場として機能している。全ての金銭取引は直接出資者と不動産マネージャーとの間で行われる。しかし、同社がピアツーピア出資と呼ぶプロジェクトについては、実際に金銭を取り扱う。
不動産クラウドファンディングは東南アジアでは初かもしれないが、アメリカでは新しいものではない。iFunding、Realty Mogul、CrowdStreetなどのサイトが既に存在する。
不動産クラウドファンディングの魅力は次のようなものだ。投資家がたくさんの資産にアクセスできる不動産の投資信託(REITS)と違い、これらのサイトは、出資者がより低い資金で出資することができる。しかし、リスクもある。プロジェクトが失敗した場合、出資者は全ての資金を失うこともあり得るのだ。
2月12日午後5時45分(シンガポール時間)アップデート:Tech in Asiaからの質問に対するCoAssetsの返答を追加した。
【via Tech in Asia】 @TechinAsia
【原文】
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