ディープリンク業界には、まだまだ大きなチャンスが眠っている

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筆者のMatt Thomsonh氏はBitlyのチーフプロダクトオフィサーを務める。

deep-linking
Above: Google Maps deep-links to Uber. Image Credit: Uber.com

ここ直近の四半期で私たちは、業界の有名どころのプレーヤーからディープリンク関連の重要なニュースを耳にしてきた。例えばGoogleのI/OAppleのWWDCではディープリンクの重要性が強調されていた。

モバイルコマースの70%がアプリ内で発生している状況において、マーケターたちはアプリの再エンゲージメントの制御にディープリンクを必要としている。ディープリンクはユーザーをアプリからアプリへとより容易に移動させるようなものだ。典型的例として、Googleマップは自動車の運転にかかる時間だけでなく、Uberも呼べるように、直接ユーザーをUberアプリへリダイレクトしていたりする。こうしてリンクのインテグレーションがもたらすものは大きいが、一つの事例に過ぎないのも事実だ。問うべきは、こうした顧客体験はいかなる時も可能になるのかということだ。

実装を超えた動き

ディープリンクに関する初期と現在の盛り上がりは、大部分が投資サイドに起因する。VCたちはアプリのコンテンツのインデックス作成がウェブコンテンツのインデックス作成とは全く違うものになることを望んでいる。結果的にモバイルアプリ内でインデックスされないコンテンツたちが、Googleの現在の検索及びデジタル・ディスカバリーにおける支配を終焉させる可能性を持っている。

現在の課題は、ディープリンクは配管として使われているだけで、多くの場合は実装すらされていない状況であるということだ。さらに大きな課題は多くのアプリ開発者やプロダクトのプロたちはディープリンクを後付けのものとして捉えているということだ。URXによると、ランキングトップ100のアプリで所定の場所にディープリンクタグを持っているというものは、全体の28%に過ぎない

つまり、私たちが見てきたディープリンク市場というのは発展途上であり、まだ初期段階だということだ。つまり、これはディープリンクを提供するスタートアップにとっては、大量のVCからの調達資金をマーケットの教育のために使うことになるにもかかわらず、市場を獲得する機会があまりにも遠いか、もしくはより大きなプレーヤーによって支配される可能性があることを示唆している。

市場を前進させるためにはスタートアップは強力なユースケースを示す必要がある。そうすれば、この業界がディープリンクの実装の細かい話から、どのように顧客体験を改善するかといった部分へと駒を進めることができるようになる。

注目され始めている技術

ディープリンクの採用は、GoogleやAppleによってすべてのアプリがディープリンクの命名や列挙、インデックス化を魅力的なものにした際に大きな盛り上がりを見せることになるだろう。

5月に開催されたI/Oカンファレンスでは、GoogleはNow on Tapを発表し、またアプリインデックスの検索結果でアプリ内の位置を示す方法を公開した。AppleはiOSのスポットライト検索を発表したが、5ヶ月後の2015年の秋までにはiOSデバイスのおよそ70%が新しいディープリンクを実装すると期待されている。

AppleとGoogleは開発者たちに、アプリの位置を特定するディープリンクを作ることに関してより多くのインセンティブを与えており、同時に市場への啓蒙も行っている。

検索以外に、この業界にはアプリ内に隠されたコンテンツを特定する方法が多く存在する。例えば、モバイルのウェブからアプリ、もしくはアプリからアプリといったものだ。後者は特に、ユーザーがアプリ内の移動時間に84%を費やすことを考えると興味深い。

アプリ内を移動するエクスペリエンスは多くの有力スタートアップが追求している市場だ。URXButtonQuixeyは、あるアプリの中を通して別のアプリの発見とエンゲージメントを可能にしようと試みているサービスだ。GoogleやAppleのように、アプリの内部がユーザーにとって見せる価値があるということを理解するために、彼らはディープリンクを精錬し、強力な検索と広告配信テクノロジーを構築しようとしている。こうした企業はこれから長く事業を継続させることが予想されるが、この技術をよりネイティブな感じの広告形式と融合できる企業の方が発展することになるだろう。

加えて、アプリのエンゲージメントを促進させるための他のデジタルチャンネルを活用するマーケターたちにとっては、ここには大きなチャンスが眠っている。52%もの消費者はアプリを発見するのに、ソーシャルメディアを活用している。つまり、口コミや体験を通じて大きなチャンスをものにするためには、ディープリンクを含んだソーシャルメディアのコンテンツやその他のコンテンツは急務になる。

顧客体験に関しては、最終的にはユーザーをアプリに誘導することを含め、マーケターが顧客に対してプロダクトの内外を移動するための最良の方法を提供することになる。例えばメールやSMSといったダイレクトマーケティングチャネルや有料課金メディアですら、ディープリンクが実装されているケースは稀だ。これらのチャンネルは、ウェブ上で長期間に渡り顧客を再エンゲージする際のキーとなるため、変化しなければならない。

アプリの内と外での顧客の行動を追跡する必要性や、アプリエンゲージメントを継続させるための課題を解決し、LTV(ライフタイムバリュー)の中にユーザーを囲い込んで、アプリの価値を明確にする必要性が高まっていることを考えると、ディープリンク業界には大きなチャンスがあると言えよう。

【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】

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