HAX卒業生のBisu、3.5億円をシード調達——家でも尿や唾液をラボ並みの検査、アシックスと協業も

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Image credit: Bisu

自宅にいながらラボグレードの尿や唾液を検査できるキットと IoT デバイスを開発する Bisu は7日、シードラウンドで3.5億円を調達したと発表した。このラウンドは韓国の QUAD がリードインベスターを務め、アシックスベンチャーズ、15th Rock Ventures、パシフィコ・インベストメンツ、SOSV Investments が参加した。

Bisu は2015年3月、イギリス出身の Daniel Maggs 氏らによる創業。Maggs 氏はケンブリッジ大学で日本語を専攻した後法科大学院に進み、法律事務所に入社。イギリスで弁護士資格取得後に投資銀行でアナリストを勤め、日本のディー・エヌ・エーで新規事業企画を担当していた。Bisu は2017年、ハードウェア特化アクセラレータ「HAX 深圳」 に採択された(今回の投資家である SOSV Investments は HAX の運営者である。SOSV からは2017年のプレシードラウンド、2019年のラウンドに続く3回目の出資)。

Bisu が開発する「Bisu Body Coach」では、使い捨て型のテストスティックで数滴の尿・唾液を採取し、専用の小型検査デバイスに差し込むだけで、多種目の検査を高精度に、採取後2分間で分析を行うことができる。テストスティックの中にはマイクロ流体チップが入っており、これまでの検査項目数を家庭用検査の2倍超に当たる20項目以上検出することができる。テストスティックは使い捨てで密閉して使うため、自宅で家族全員で使うようなシーンでも衛生状態が保たれる。

Image credit: Bisu

これまでにも、複数の企業やスタートアップがトイレに装着できるような検査デバイスを出していた。しかし、(人は移動するので)特定のトイレという固定された場所でしか使えないのは不便。衛生的、かつ安定的に使えるようにしたのが Bisu だ。(Magg 氏)

Bisu はさまざまな身体のシグナルを捉えることが可能だが、Coach と名前がついていることからも想像できるように、病にならないような日常生活を送ること支援する未病対策としてのマーケット、とりわけ、腎機能障害や高血圧などが当初のターゲットとして考えられるようだ。Bisu の社名は古代エジプトの守護神から取ったものだが、国民皆保険制度がある日本よりはむしろ、欧米を中心にマーケティングを始め、「かかりつけ医」的な位置付けを狙いたいと Magg 氏は語ってくれた。

Bisu Body Coach のビジネスモデルは、検査デバイス数万円と月額数千円程度かなるサブスクリプションが想定されているが、Bisu ではこれから来年にかけて最適な料金体系、製造準備、ローンチ戦略などを調整するという。アシックス(東証:7936)との協業内容については現時点で具体的なことは話せないということだったが、ウェルネス、企業の従業員向け健康チェック、シニア向けのサービスなどが考えられるとのことだった。

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