融資と補助金を調達支援する事業計画SaaS「Scheeme」運営、プレシリーズAで1億円を調達

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Scheeme のチーム。中央が創業者で代表取締役の杉守一樹氏
Image credit: Scheeme

中小企業向けに融資・補助金等の調達支援を行う事業計画 SaaS「Scheeme(スキーム)」を開発・提供する Scheeme は11日、プレシリーズ A ラウンドで1億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、ジェネシア・ベンチャーズとキャナルベンチャーズ。これは、昨年実施したシードラウンド(ジェネシア・ベンチャーズから約5,000万円)に続くものだ。Scheeme の累積調達金額は約1.5億円に達した。

Scheeme は2016年9月の創業(当時の社名は Dynave)。創業者で代表の杉守一樹氏は以前、勤務していた会計事務所でクライアントの中小企業に対し、創業支援、事業計画策定、融資支援などの手続を年間160件以上支援していたという。スタートアップや長年の信頼のある企業であれば、エクイティファイナンスや社債発行といった方法もあるが、一般的な中小企業の場合、代表者が個人的に自己資金を投入したり内部留保を活用したりする以外、金融機関からの融資や公的機関からの補助金に限られる。

一方、中小企業の倒産事例の約半分は黒字倒産、すなわち、売上や利益は上がっているにもかかわらず、従業員や仕入先への支払との兼ね合いで資金繰りがうまくいかないことによるものだ。一時的な運転資金の手当ができれば乗り切れるのに、それができない。本来、そのためのアドバイスを積極的に行うのが会計事務所だが、融資や補助金の調達支援は手間がかかる割に利益が出ない。そこで中小企業の資金調達に特化したファイナンスツールを作ろうと考えたのが、Scheeme 誕生のきっかけだ。

Image credit: Scheeme

公的機関は多くの補助金を用意しているが、知られていない、申請が難しい、といった理由から、使われていないところでは、利用率が4〜5%というところもある。これらが活用されれば、中小企業の会計はかなり良くなる。(杉守氏)

Scheeme は、会計情報の分析、全国から集めた金融機関の融資情報、公的機関の補助金に関するデータベース、その申請のためのテンプレートなどからなる SaaS としての機能に加え、融資や補助金の申請支援などもオプションとしてサービス提供しており、SaaS 機能は月額9,800円(12ヶ月単位の利用申込)、オプションについては、申請ベースまたは成功ベースでの手数料が追加される。Scheeme を通じて、これまで約5.8億円の資金調達が支援されたとのことだ。

Scheeme では、会計 SaaS やオンラインバンキングとの連携機能の開発にも着手している。調達支援のための分析や評価には、P/L やバランスシートよりも明細データが必要になるため、会計 SaaS 企業や銀行と一つずつ機能連携を進めていくとのことだった。現在のところ、ユーザの多くは Web のオーガニック流入によるものだが、先に書いたように、会計事務所にとっては手間のかかる業務なので、会計事務所に加え、中小企業診断士事務所、金融機関からの紹介によるユーザ獲得も増やしたいとのことだった。

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