投資型CF「イークラウド」、ジェネシアVとセレスから3億円を調達——スタートアップに個人が投資できる環境づくりを強化

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イークラウドの皆さん。前列右から3番目が代表取締役の波多江直彦氏
Image credit: Ecrowd

株式投資型クラウドファンディング「イークラウド」を提供するイークラウドは4日、直近のラウンドでジェネシア・ベンチャーズとセレス(東証:3696)から約3億円を調達したことを明らかにした。イークラウドにとっては、2018年11月の創業時に XTech と大和証券グループのフィンテック専門子会社 Fintertech から約4億円を調達したのに続くもので、累計調達額は約7億円になる。

イークラウドは、株式型クラウドファンディングの第1号案件の資金調達プロジェクトを昨年7月29日に開始。これまでに8案件の資金調達を支援し、いずれもクラウドファンディングは目標募集額を達成し、一部に関しては募集上限額に達した。これらのクラウドファンディングに投資した個人投資家はのべ1,000名以上に達している。

日本でも「FUNDINNO」や「CAMPFIRE Angels」などの投資型クラウドファンディングが存在する中、イークラウド代表取締役の波多江直彦氏は BRIDGE の取材に対し、調達支援した1社1社をサポートし、彼らのバリューアップと投資家へのリターンに注力することで差別化したいと答えた。イークラウドの今回の資金調達も、そのための人材拡大を意図したもののようだ。

調達支援した企業には、オブザーバーとしてではあるが、月に一度の頻度で経営会議にも参加している。調達を支援して、その後のバリューアップを支援していくフロント人材を増やしていきたい。現在15名ほどいる社員を、1年毎に倍、倍へと増やしていきたい。(波多江氏)

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波多江氏は VC であるサイバーエージェント・ベンチャーズ(現在のサイバーエージェント・キャピタル)の出身であるが、イークラウドでの投資先に対するアプローチは VC のディールソース、デューデリ、出資後の支援の姿勢を踏襲しているかもしれない。

VC と個人投資家からの出資を組み合わせたり、SPV(Special Purpose Vehicle)を活用して複数投資家を束ねたりするなど、スタートアップの資金調達手段の多様化を促す点で、波多江氏は今回、イークラウドに出資参加したジェネシア・ベンチャーズの田島聡一氏(CEO/General Partner)とも意気投合したという。なお、田島氏はジェネシア・ベンチャーズの創業前、サイバーエージェント・ベンチャーズの代表を務めていた。

セレスは仮想通貨関連のスタートアップに積極的に投資している。今回のイークラウドへの出資は、仮想通貨を使ったスタートアップへのプロジェクト投資など、資金調達手段の多様化を支援する意図があると見られる。

アメリカでは、Andreessen Horowitz が出資する中小企業向けチャレンジャーバンク Mercury が7月に実施した1.2億米ドルのシリーズ B ラウンドで、500万米ドルを投資型クラウドファンディングサイト「Wefunder」で調達すると発表した。Wefunder は今年に入って Y Combinator と提携、Y Combinator に採択されたスタートアップに個人が投資ができる連携が始まるなど、投資機会で VC と個人投資家の垣根が低くなりつつある。

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