OTA連携で世界150カ国の空港送迎タクシーに送客、日本発「SmartRyde」が1.8億円をシリーズA調達

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SmartRyde

※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから

グローバル空港送迎マーケットプレイス「SmartRyde」を運営する SmartRyde は、シリーズ A ラウンドで約1.8億円を調達したと発表した。このラウンドは Angel Bridge がリードインベスターを務め、SMBC ベンチャーキャピタル、広島ベンチャーキャピタル、SG インキュベート、山口キャピタル、いよぎんキャピタル、Inventum Ventures、オプティマベンチャーズ、個人投資家として児玉昇司氏(ラクサス・テクノロジーズ創業者兼 CEO)と髙橋伸彰氏(フィル・カンパニー創業者、NOB 代表社員)が参加した。

これは同社にとって、2019年12月に実施したシードラウンドに続くものだ。今回参加した投資家のうち、Angel Bridge は、シードラウンドに続くフォローオンでの出資参加。

SmartRyde は2017年3月、立命館大学の学生だった創業者の木村聡太氏が、旅先のタイで空港から市内へ向かうタクシーでぼったくられた体験から考案したサービスだ(当初の社名はディーエルジーピー)。世界150カ国650社以上の空港送迎タクシー会社と提携、他方、Booking.com、Expedia、Trip.com(旅程)、Traveloka、Despega といった OTA(オンライン旅行代理店)25社以上と提携し、OTA で航空券を購入したユーザに対し、空港送迎タクシーの販売サービスを提供している。

SmartRyde が提供するサービスは、OTA で航空券を購入したユーザ、OTA の双方にメリットがある。まず、ユーザにとっては空港を出てから、ダウンタウンのホテルへ向かう交通手段を探す煩わしさから解放される。最近は、国や街によっては、地元のタクシー運転手の雇用を守る観点から Uber や Grab のようなアプリで配車ササービスを呼べないこともあり、言葉が通じないかもしれない環境で予め交通手段が確保されていて、到着ロビーに自分の名前を掲げた運転手が待っていてくれるのは非常に助かる。

他方、OTA は非常に利ザヤが薄い商売だ。彼らは、航空券、宿泊に加え、レンタカーや各種アクティビティなど取扱商品の多角化を図っているが、ユーザは横断的に複数の OTA の検索結果を見比べながら価格の安い選択肢を選ぼうとするので、OTA 間の価格競争は激化利益を圧迫する。OTA は世界中の空港送迎タクシー会社の一つ一つと契約することはできないが、SmartRyde のような束ね役がいることで連携の手間が簡素化され、OTA にとっては追加的なレベニューストリームを生み出すことにつながるのだ。

国籍と実際の居住地が異なるケースなどで一般的に外国人の旅行者の実態把握は難しいこともあるが、SmartRyde は申込時に連絡先電話番号の入力を求めており、その国番号から、どの地域の居住者がどの地域を訪れているのかも把握ができているという。それによると、コロナ禍で出張需要は減ったものの、最近では4〜6名程度のファミリーのレジャー需要で使われるケースが増え、アメリカ(19%)やイギリス(16%)のユーザがカンクンやドミニカなどカリブ海沿岸のリゾートで使うケースが顕著になっているそうだ。

同社ではデマンド側の OTA とシステム連携の強化、サプライ側のタクシー事業者向け予約管理システムの構築のため、今回調達した資金を使って、国内外からのビジネス開発担当者やエンジニア採用を強化する。日本国内では、今回、広島ベンチャーキャピタル、SG インキュベート、山口キャピタル、いよぎんキャピタルといった地方系 VC からの出資に象徴されるように、これらの VC の協力を得つつ、地元タクシー事業者との協業で地方都市や観光地の活性化に注力する。

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