動画広告制作SaaS「RICHKA」運営、シリーズBで8億円を調達——コロナ禍で内製化需要増、大企業中心に400社以上導入

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Image credit: Richka

動画広告制作 SaaS「RICHKA(リチカ)」を運営するリチカ(旧社名:カクテルメイク)は28日、シリーズ B ラウンドで8億500万円を調達したことを明らかにした。このラウンドには、GMO VenturePartners、大和企業投資、博報堂 DY ベンチャーズ、rooftop に加え、既存株主であるみずほキャピタル、新生企業投資、FFG ベンチャービジネスパートナーズ、DIMENSION、マネックスベンチャーズが参加した。リチカにとっては、2019年5月に実施したシリーズ A ラウンドに続くもので、創業以来の累積調達額は10億円を超えた。

RICHKA がβローンチしたのは2017年7月、当初はメディア向けのニュース動画作成ツールという位置付けだった。当時は動画を使った分散型メディア全盛だったのだが、ソーシャルネットワークのアルゴリズムが変化するに連れ、制作→コンバージョンの費用対効果が下がりトーンダウン。その後、Facebook のインフィード広告などダイレクトレスポンス系の動画広告に対象顧客をシフトしたところ、この読みが当たった。最近では、マーケティング活動の内製化が進んで大手事業会社の利用が増え、ユーザは400社以上に達した。

以前のユーザは、ダイレクトレスポンス系の商材を自ら販売する事業会社や、彼らを顧客に抱えるデジタル系の広告代理店などだった。この1〜2年で、新型コロナの影響から広告制作会社の中には事業縮小や倒産もあったが、むしろ、事業会社からの問い合わせが増えてきた。

店内のサイネージで使ったり、IR で使ったり、ウェブサイトで使ったり、RICHKA で制作した動画の用途も広がってきた。今回の調達は、こうした事業会社のニーズを感じ、事業を加速するためのもの。(代表取締役の松尾幸治氏)

動画の制作をスタートアップは増えてきているが、その多くはマニュアル動画や営業資料のための動画で、マーケティングや広告動画にフォーカスしてきた RICHKA は十分に差別化ができていると松尾氏は言う。今回の調達を「プロダクトの再定義するフェーズ(松尾氏)」と位置付け、RICHKA を労働集約的になりがちな動画制作業務を自動最適化する「クリエイティブブティック」にしていきたい、とした。

動画広告だけでなく、バナーを制作したり、広告の配信と分析を自動的に回したりしていけるようなプロダクトを開発中で、一部企業ではすでにテスト導入してもらっている。Facebook や ヤフーとパートナーシップを結び、広告配信の研究やコンバージョン予測などのツールも開発している。予算がいくらで、どのような商材だったら、どこに配信するのがよいのかをレコメンドしてくれるツールだ。(松尾氏)

今回の調達を受けて、同社では「ネット広告の制作自動化」にむけた、独自の自動生成技術や広告の自動最適化を強化し、あわせてこれらの開発体制をより一層強めていくとしている。

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