オンラインで31言語の医療通訳を提供するメディフォン、予防医療に向けたクラウドサービス強化で11億円超を調達

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「mediPhone」
Image credit: mediPhone

オンラインによる医療通訳サービス「my mediPhone」を提供するメディフォンは6月30日、直近のラウンドで11億円超を調達したことを明らかにした。調達額にはデットを含む。このラウンドに参加したのは、東京大学共創プラットフォーム開発(東大 IPC)、ファストトラックイニシアティブ(FTI)、Sony Innovation Fund、ケップル。FTI は前のラウンドに続くフォローオンでの参加。

デットに参加したのは、三井住友銀行(シニアローン)、りそな銀行(シニアローン)、三井住友信託銀行(シニアローン)、日本政策金融公庫(資本性ローン)で、特に三井住友信託銀行によるスタートアップ向けのデットファイナンスとしては、かなり珍しいケースとのことだ。

メディフォンは2014年、医療課題に取り組む  JIGH(Japan Institute for Global Health)の中の課題解決事業としてスタートした。ビル&メリンダ・ゲイツ財団などから資金を得て活動してきたこの NPO では、ポリオ根絶に向けた活動の中で、ヒンディ語を話す患者が治療に訪れたときに医師が問診ができなかったことから、医療現場での言葉の問題解決を念頭に、医療通訳サービスを立ち上げた。

医師と外国語を話す患者の間に入る医療通訳者は、NPO などがアレンジしボランティアベースで業務が実施されることも少なくない。そのようなケースでは、医療通訳者は生計を立てるための他の仕事もしているため、特に外国人が多く住んでいて、通訳者の数が限られる地域では、通訳者が疲弊してしまっているケースも珍しくないという。

メディアフォンのオフィス
Image credit: mediPhone

そこで2017年に始まったのが、医療通訳サービスの my mediPhone だ。病院での問診や診療時に接続してもらい、日本語⇄外国語の医療通訳サービスを提供する。当初はインターネットが未整備の病院も多く電話でのサービスから始まったが、現在では Web アプリとネイティブアプリ( iOS および Android )でのビデオ通話接続にも対応、病院にあるタブレットなどから予約無しで通訳依頼できる。

比較的規模の大きい病院などから導入が始まった my mediPhone だが、2020年4月からは日本医師会を経由し、小規模な街のクリニックにも普及が進んでいった。クリニックでmy MediPhone が利用された場合は、一定回数までは日本医師会が加入する共同引受保険からメディフォンに通訳費用が支払われるため、クリニックや患者の負担も少なくて済む。

規模の大きい病院の場合、言葉が通じないことによる誤診を避ける観点から、病院から my mediPhone 導入を望むケースが増えている。近年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響から、自治体や企業、消防、感染時の宿泊療養所からの需要が伸びているそうだ。患者や医療提供者は時間を選ばず31ヶ国語に対応できること、医療通訳者は移動時間を要さない業務形態などが重宝されている。

my mediPhone の登場によって、医療通訳者だけで生計を立てられる形での仕事の提供、それも、どこにいても仕事に対応できる環境を提供できるようになったことで、医療通訳者の労働時間あたり収入が増え、通訳の品質も上げることができるようになった。my mediPhone に登録する医療通訳者は、過去の通訳経験者や海外での医療従事者が多く、市場シェアとしても業界随一だ。

さて、ここ数年は、新型コロナウイルスの感染拡大したことから、メディフォンには医療通訳のみならず、メンタル面での相談が舞い込むようになった。my mediPhone を導入している企業からは、産業医と従業員の間の通訳をしてほしい、あるいは、産業医そのものを紹介してほしい、といった、予防医療を中心とした要望が多くなった。

「mediment」
Image credit: mediPhone

そこで、生まれたのがクラウド健康管理システムの「mediment(メディメント)」だ。mediment は企業の人事労務担当者向けのサービスで、従業員の健康診断やストレスチェック、健康経営推進支援などを包括的に提供する。昨年10月にサービスを開始し、大企業を中心に導入が進み、2022年6月24日現在、サービス開始時比でアカウント数は18.4倍にまで成長したという。

今回調達した資金は、この mediment のグロースに使われるものだ。mediment は my mediPhone の流れを汲んで多言語対応を得意としており、特に、地方でありながら外国人が多く働く現場などで広く受け入れられているそうだ。メディフォンでは mediment で得られた予防医療のデータを治療の現場に連携することで、さらなる事業の可能性を模索したいとしている。

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