栗島祐介氏や木村正博氏ら、プレシード・シード向けファンド「HAKOBUNE」を最大20億円規模で組成

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中央:栗島祐介氏(ファウンディングパートナー)、右:木村正博氏(ファウンディングパートナー)、左:高橋桃花氏(アソシエイト)
Image credit: Hakobune

新たなスタートアップファンドの発表だ。Viling Venture Partners、スパノバを経て、直近まではプロトスターで CCO を務めていた栗島祐介氏と、これまでフェムトグロースキャピタル、LINE Ventures、DEEPCORE などで投資担当を務めた木村正博氏らにより、新ファンド「HAKOBUNE」が組成されたことが明らかになった。ファンドの資金調達はファーストクローズを迎え、最終的に最大20億円規模を目指す。

これまでに、HAKOBUNE の LP には、新生銀行(東証:8303)、キヤノンマーケティングジャパン(東証:8060)、ふくおかフィナンシャルグループ(東証:8354)のファンドオブファンズ、サザビーリーグ、三井不動産(東証:8801)、オールアバウト(東証:2454)、そのほか、名前は非開示だが事業会社、ファミリーオフィス、エンジェル投資家が複数参加したことが明らかになっている。

栗島氏の古巣であるプロトスターもまた、LP の1社として HAKOBUNE に参画する。プロトスターは、三井不動産と共同でコミュニティとして「Swing-By」、その元でアクセラレータプログラム「Moonshot」と CxO 育成プログラム「AWAKE」を運営している。いわゆる社会人起業家をターゲットとしたコミュニティだが、HAKOBUNE のディールソースにはプロトスターも協力する模様だ。

ファウンディングパートナーの一人である栗島氏は BRIDGE とのインタビューで、HAKOBUNE のエコシステムが向かう方向性として、MR システム開発のホロラボを生み出した Tokyo Motion Control Network のような「〝大人のはみ出し集団〟が理想」だと語った。新ファンドの投資先はオールジャンルだが、奇抜で躍進的な人々に積極的に投資していきたいという意思の表れだろう。

 

HAKOBUNE が投資先に提供するポータルのメニュー
Image credit: Hakobune

HAKOBUNE では投資先や潜在投資先向けに、「東京大学 FoundX」が公開するコンテンツなども活用しながら、起業家を育成・養成する「HAKOBUNE SCHOOL」を提供する計画だ。ファンドが後発であることもかんがみると、一周回って次のフェーズ、つまり、既存事業 × DX といった文脈よりは、そこから、もう一歩進んだデジタル技術を取り入れたサービスへの投資を特に注力するようだ。

また、ファンドのユニークな機能として、LP に対しては LP ポータルを通して、ディールソース中の案件についても、より透明性高く情報を提供していくという。例えば、パイプライン、スタートアップとの面談なども LP と共有することで、投資を実行する前の段階で、ファンドの LP である事業会社が、ファンドからの投資を念頭に協業の可能性の検討を始められるメリットを提供する。

ファンド規模が最大20億円であること、また、投資目標が30〜40社であることを考えると、チケットサイズは1,000万円から5,000万円程度になる模様だ。どのファンドにとっても、トラックレコードを持たない最初のファンド組成時には資金調達に苦労することになるが、栗島氏は今回の経験を通じ、他社も含め、ファンドが資金調達しやすくなる仕組みづくりにも意気込みを見せた。

ちなみに、栗島氏がプロトスター時代に運営に関わった前出の Swing-By からは、買いものアシスタントアプリ開発の KAERU、コオロギを使ったクリケットプロテイン事業の ODD FUTURE、IoT を使ったスマートシティ体感誘導プラットフォームサービス開発の LOOVIC、企業のデッドスペースにセラピストを派遣するサービスを提供する Officefuction など10社以上が約2年半の間にが輩出されている。

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