OpenAI、新API公開でファインチューニング機能強化——企業がAIモデルをカスタマイズしやすく

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CC0 Публичен домейн via Pxhere

よりパーソナライズされた AI に向けた重要な動きとして、OpenAI はカスタムモデルプログラムの拡張と同時に、ファインチューニング API の大幅な強化を発表した。

これらのアップデートにより、開発者は AI モデルのファインチューニングをかつてないほどコントロールできるようになり、同時に特定のビジネスニーズに合わせたカスタムモデルを構築するための新たな手段を提供することになる。

OpenAI は、新しい API のアップデートを発表したブログ投稿で次のように述べている。

私たちは将来、大多数の組織が、彼らの業界、ビジネス、またはユースケースにパーソナライズされたカスタマイズされたモデルを開発すると信じている。

ファインチューニング機能の強化

2023年8月のローンチ以来、GPT-3.5のファインチューニングAPIは、明確なタスクのために AI モデルの改良を目指す組織にとって画期的なものとなっている。

このプロセスは、特定のコンテンツに対するモデルの理解を深めるだけでなく、既存の知識ベースを向上させ、ターゲットとするタスクを実行する能力を高める。数千の組織が、プログラミング言語の最適化からパーソナライズされたコンテンツ作成まで、さまざまな用途のために何十万ものモデルをファインチューニングしており、その成功事例は枚挙にいとまがない。

最新の API 改良には、エポックベースのチェックポイント作成が含まれ、再トレーニングの必要性を最小限に抑え、オーバーフィッティングのリスクを軽減する。

さらに、新しい比較 UI「Playground」は、モデルの出力をサイド・バイ・サイドで評価することを容易にし、人間の洞察によって開発プロセスを強化する。

これらのアップデートは、Weights and Biases(世界で50万人超の ML 開発者が利用するモデル開発プラットフォーム)を始めとするサードパーティとの連携や、包括的な検証指標とともに、ファインチューニング技術における大きな飛躍を意味する。

カスタムモデルプログラムの拡大

OpenAI の発表はファインチューニング API にとどまらない。OpenAI はカスタムモデルプログラムも拡張しており、ファインチューニングの支援や完全にカスタムトレーニングされたモデルの開発も行っている。

この拡張は、標準的な AI モデルでは対応できないような特殊なニーズを持つ組織を特に対象としている。

ファインチューニング支援は、OpenAI の技術チームと組織間の共同作業であり、高度な技術と特注のパラメータによってモデルのパフォーマンスを最大化することを目的としている。

このアプローチはすでに SK Telecom のような企業に素晴らしい結果をもたらしており、テレコミュニケーション領域における顧客サービスのパフォーマンスが大幅に向上した。興味深いことに、SK Telecom は以前、まさにこの目的のためにカスタムモデルを開発するために、OpenAI の競合 Anthropic に投資していると VentureBeat などによって報じられた

一方、完全にカスタムメイドされたモデルは、一からモデルを構築する必要があるユニークで複雑なニーズを持つ組織向けに設計されている。このようなイノベーションの例として、弁護士向け AI ツール「Harvey」がある。Harvey は OpenAI と提携し、法律判例分析の精度と信頼性を大幅に向上させるカスタムモデルを開発した。

AI カスタマイズの未来

OpenAIは、 AI の可能性を最大限に活用しようとする企業にとって、カスタマイズされた AI モデルが当たり前になる未来を描いている。現在利用可能なツールやプログラムにより、あらゆる規模の組織が、特定の要件にファインチューニングされた AI モデルを開発し、より効果的かつ効率的な結果を導く機会を得ることができる。

AI が進化を続ける中、OpenAI の最新のサービスは、よりパーソナライズされた強力な AI ソリューションへの極めて重要な一歩を意味する。独自のAIカスタマイズの旅に乗り出そうとしている開発者や組織にとって、更新されたファインチューニング API と拡張されたカスタムモデルプログラムは、イノベーションと成長のための強固な基盤を提供する。

これらの新機能に興味があるなら、OpenAI のファインチューニング API のドキュメントを見てほしい。カスタムモデルのカスタマイズとコラボレーションの機会に関する更なる情報は、AI の実装を次のレベルに引き上げる準備ができている組織のためにも利用可能だ。

AI がさまざまな分野にますます連携されていく中、OpenAI の最新アップデートは、AI 技術のカスタマイズと効率化の新時代を告げるものであり、企業にも開発者にも大きな利益を約束するものである。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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