Open AIのSam Altman氏が米上院議会で証言、AI規制は業界に冷や水を浴びせることになるのか

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議会で証言する Samuel Altman 氏
Image credit: .S. Senate Committee on the Judiciary

ポップコーンを用意してほしい。アメリカ東部標準時の16日午前10時、OpenAI CEO の Sam Altman 氏が、アメリカ上院のパネルで初めて証言する。上院司法委員会のプライバシー、テクノロジー、法律に関する小委員会のセッションで、「AI 概論:AI のルール(Oversight of AI: Rules for Artificial Intelligence)」と呼ばれるものである。また、長年AIを批判してきたGary Marcus氏、IBMのチーフプライバシーおよびトラストオフィサー Christina Montgomery 氏も証言する。こちらから

今回の証言は、議員たちが最新の AI 技術を理解し、それをどのように規制するかに苦慮している、AI にとって重要な時期に行われた。2022年11月に「ChatGPT」がリリースされて以来、半年間で常態化した AI 開発のレベルに追いつくのは厳しいだろうが、ジェネレーティブ AI の最もリスクの高いユースケースに規制を絞る提案や、偏見や差別に狙いを絞ったものなど、いくつかの異なるアプローチがテーブル上に並んでいる。

AI 批判の声が大きい背景

Marcus 氏の証言は、さまざまな関係者からの批判がますます大きくなっていることを背景にしている。例えば15日、コンピュータ科学者で女優の Justine Bateman 氏 が、映画俳優組合会員に AI とそれが自分に与える影響を意識するよう呼びかけるスレッドをツイートして拡散し、AI が書いた脚本や俳優のデジタルスキャンで埋め尽くされる未来を警告した。

AIは今すぐ対処しなければならない 。私たちのビジネスにおいて、どんな労働行為も効果を発揮するのはこれが最後だと思います。今、強いルールを作らないと、3年後にストライキをしても気づかれないだけで、その時点で私たちは必要とされなくなるからです。(Bateman 氏)

AI 規制の活発化

また、上院のパネルセッションは、AI 規制に関する議論が世界中で前面に出ている中で行われている。

欧州議会の議員委員会は11日、待望の「EU AI Act(AI 規制法案)」の草案を承認し、法制化に近づいたと発表した。これは、AI を規制するためのリスクベースのアプローチを提供し、ChatGPT のような基礎的なモデルの開発者に対する要件(トレーニングデータが著作権法に違反しないことを確認することなど)を含んでいる。しかし、その野心的な取り組みは「実現不可能なこと」を試みており、慎重すぎるという批判がある。

オープンソース AI はみんなの関心事

AI の問題の複雑な網に追加するのは、オープンソース AI がビッグテックと AI 規制の両方の未来にどのように適合するかということだ。先々週、「We have no moat(直訳すると「堀が無い」、転じて「競合優位性が無い」の意)」と題された、あるエンジニアからリークされた Googleの メモでは、Google も OpenAI も「この軍拡競争に勝つ」立場にないことが「不快な真実」であると主張された。そして、The Information によると、OpenAI でさえ、この波に乗ろうと、独自のオープンソースモデルをリリースする準備を進めているという。

しかし、AI 規制はオープンソース AI に 冷や水を浴びせることになるのだろうか。また、ビッグテックがオープンソースの競争を恐れて自社モデルへのアクセスを閉鎖することで対応するとしたら、最先端の LLM(大規模言語モデル)の安全性はどうなるのだろうか?

ポップコーンを手に入れた。ムシャムシャ、ムシャムシャ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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