小型の自動化ソリューションで、製造・物流の中小事業者の人手不足解決を目指すROMS/KDDI ∞ Labo5月全体会レポ

前野洋介さん

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

ROMS代表の前野氏は大学時代から起業に強い関心を持ち、三井物産での14年間の勤務を経て、2019年にROMSを設立しました。三井物産時代には、M&Aやスタートアップ投資、新規事業開発に携わり、アメリカでの6年間の駐在経験もあります。その後、ファーストリテイリングに転職し、ユニクロのセルフレジや店舗DX化、海外テック企業との協業等を担当していました。

中小規模の製造業者や物流業者などは人手不足に悩んでいますが、大型の自動化システムを導入するのは困難です。ROMSは、狭いスペースにフィットする小型の自動化ソリューションを提供することで、この課題に取り組んでいます。ROMSが提供するのは、自動倉庫やロボットピッキングシステムなどの自動化ソリューションです。

同社の強みは、小型かつ高機能な設計にあります。一般的な自動化ソリューションは500平米以上を対象としていますが、ROMSは100〜500平米の中小規模に特化しています。小型化には、保管密度を高めるハードウェアの設計や、複数機器の協調制御といった技術的なハードルがありますが、同社はソフトウェアとアルゴリズムを内製開発しています。

前野氏は、スタートアップにおいて「誰と、どこで、何を」という順番が非常に重要だと強調しました。特に、ピボットに対応できるエンジニアの存在が欠かせないと述べ、同社のヘッドエンジニアである岩田氏を紹介しました。ROMSはこれまで2回ピボットしているといいます。

ROMSは2019年にポーランド人と共同で会社を設立し、ポーランドと日本の2拠点で事業を開始しました。コロナ禍で2国間の往来が難しくなり、共同創業者とは別々の道を歩むことになりました。(前野さん)

ハードウェアの開発には多額の資金が必要で、VCや大企業、行政からの支援なしでは事業を継続できません。実際、同社の無人店舗の実証実験などでは、数億円の資金を投じてハードの開発を進めましたが、大きな売上は立ちませんでした。

ROMSは、製造業やメーカー、EC、物流など、さまざまな業界向けにソリューションを用意しています。KDDIとの協業で開店した無人店舗システムや、駅などに設置可能な自動販売機モデルなども提供しています。同社の平和島ラボでは、学生を含む見学者を受け入れています。(前野さん)

協業ニーズとしては、自動化システムの共同提案や共同開発、小型自動倉庫の導入、まちづくりへの参画など、さまざまな形での事業連携を模索しているとのことです。

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