〝お片付け専門家〟養成で急成長、台湾Tidyman(居家整聊室)がニュースポータルや不動産大手から2.4億円を調達

最左が共同創業者の Angie Huang(黄恩頡)氏、左から3人目が創業者の Boyuang Zheng(鄭博元)氏
Image credit: Tidyman(居家整聊室)

台湾を拠点とするスタートアップ Tidyman(居家整聊室)は、UDN Online(聯合線上)、不動産大手の Sinyi Realty(信義房屋)などの住居サービスプラットフォームを投資家を迎え、5,000万ニュー台湾ドル(約2.4億円)の資金調達ラウンドの完了を発表した。

Tidyman は2018年から「整聊師(訳注:お片付け専門家)」認定講座を運営している。毎年2,000人近くの整聊師を養成し、家庭での整理・回収、古い家の荷造り、引っ越しなどのサービスを提供している。公式サイトのフォームに写真やニーズを記入し送信するだけで整聊師が自宅に来てくれる仕組みで、創業以来数万世帯にサービスを提供してきた。

Tidyman によると、今回調達した資金は、上流と下流のベンダーのリソースを連携するために使用され、今後、デジタル受注システムの開発と異業種との協業に注力する。Tidyman の整聊師がさまざまなパートナーの顧客基盤を拡大できるようにすることで、デジタル受注システムに対応する整聊師の数を600人に増やし、毎月の受注件数を倍増させることを目標としている。

B2C から B2B への進出

掃除でも引越でも、整理・収納は誰もが直面する問題だ。特に、収納に比べて、古いものを捨てるのに抵抗があるという悩みを抱えている人が多い。収納の際の分別問題を解決する Tidyman は、実際にユーザの自宅に出向き、オーナーの収納の盲点を見つけ出し、綿密な会話を通じて提案するのがメインテーマ。 アドバイスを提供することで、引っ越し、収納、クリーニング、ソフトファニシングを組み合わせたワンストップサービスを提供している。

Tidyman は設立以来、累計1万人の講座受講者、のべ2,000人の整聊師を育成しており、この総合的かつ多角的なサービスが、大規模プラットフォームの指定サービス事業者となった理由の一つである。

整聊師認定講座の様子
Image credit: Tidyman(居家整聊室)

Tidyman は今年に入って、不動産大手の Sinyi Realty や他のプラットフォームと長期協力契約を締結し、異なる住居プラットフォームの顧客層向けに特別な収集サービスを設計した。これらのチャネルから受け取った注文は、将来的にデジタル受注システムに連携され、注文プロセスがより効率的になる。

以前は、整聊師が顧客から直接仕事を受けることが多かったが、そのため毎月の受注数が制限され、さまざまなチャネルを通じて顧客を拡大することができなかった。

デジタル受注システムでは、バックエンドで Sinyi Realty などの複数のチャネルからの注文を自動的に連携するため、整聊師は注文を受けるために、さまざまなプラットフォームに行く必要がない。システムは整聊師の場所や時間などの条件に応じて自動的に顧客をマッチングする。顧客がペットを飼っているかどうかも明確に表示されるため、整聊師は到着前に準備を行い、より良いサービスを提供することができる。

デジタル受注システムのイメージ
Image credit: Tidyman(居家整聊室)

共同創業者の Angie Huang(黄恩頡)氏によると、このシステムは従来の注文の発送やマッチングに必要な時間を短縮するだけでなく、業務効率も大幅に向上させる。同時に、 B2C サービスが B2B に転換されたことで、複数のチャネルを持つパートナーは、このシステムを利用して注文を直接整聊師に送ることができ、新たな顧客層を開拓し、より安定した収入を得ることができる。

このシステムは今年の6月か7月にスタートする予定で、まずは双北地域(台北市+新北市)でその有効性をテストする。同社では、このシステムにより、来年には整聊師の契約数が300人から600人へと倍増すると見込んでいる。

業界横断でに協業を強化、今後はデータ分析人材にも注力

システム立ち上げ後の計画について、創業者の Boyuang Zheng(鄭博元)氏は、今後は異業種連携とビジネス展開に注力すると述べた。

デジタル受注システムは Sinyi Realty のような複数のチャネルからの注文を連携するため、Tidyman のデータベースのようなもので、チームはさまざまな利用シナリオを分析し、インテリアデザイナーや引っ越し業者など、家を売買する過程でホームサービスを提供する協力業者を見つけることができ、Tidyman の市場規模を拡大することができる。

今後は、データ分析によってターゲットとなる顧客層のプロフィールも割り出すようにする予定だ。2023年以来、Tidyman は UDN のオンラインデータ分析部門と協業し、自宅収納の記事や番組を通じて、お片付けの知識を広めるだけでなく、読者の関心のあるトピックを分析することで、潜在顧客のニーズをより的確に把握できるようにしている。

この点について、共同創業者の Huang 氏は、現在、Tidyman は大規模な開発に向かっているため、チームは、顧客に最もタイムリーで効果的なサービス体験を提供できるように、将来的にデジタルとデータ分析の才能ある人材の採用に注力すると述べた。

2023年末に台北市信義区に完成した Tidyman の本社
Image credit:Tidyman

ブランドコンセプトに賛同する若い才能を惹きつけるため、台北市信義区に2023年末に完成した Tidyman の本社は、オープンで明るい空間を特徴としている。ブランドコンセプト「Good Life(美好生活)」を実践するオフィス環境で各分野の優秀な人材を惹きつけ、同社では、革新的なブランディングアイデアを通じてホームファニシング業界に対する人々のイメージを完全に変えることを望んでいる。

【via Meet Global by Business Next(数位時代) 】 @meet_startup

【原文】

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