電子契約のModusign、抗がん剤開発のAVELOSがそれぞれ19億円調達など——韓国スタートアップシーン週間振り返り(4月29日~5月5日)

SHARE:
Image credit: Modusign, AVELOS Therapeutics

4月29日~5月5日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは8件で、資金総額は667億ウォン(約75億円)に達した。

企業名 産業分野 調達額 ラウンド 投資家
Modusign
(모두싸인)
電子契約 177億ウォン(約19億円) シリーズC SBVA、Atinum Investment
Nullee
(널리소프트)
個人事業者税申告サービス 50億ウォン(約5.5億円) シリーズB Smilegate Investment、Woori Venture Partners、KB証券
Dewcell Biotherapeutics
(듀셀바이오테라퓨틱스)
バイオ 90億ウォン(約10億円) Partners Investment、KDB韓国産業銀行、韓国技術保証基金、興国証券、新韓キャピタル
Ggtics
(지지틱스)
データ分析による検索サービス 非公開 M&A Genji Sports
BF AI
(비에프에이아이)
AI専門家マッチングプラットフォーム 非公開 シード 韓国投資アクセラレータ
01Republic
(제로원리퍼블릭)
ソフトウェアサブスク 非公開 シード Mashup Ventures
Didim365
(디딤365)
クラウド管理サービス(MSP) 非公開 Naver Cloud
Pillsang
(필상)
ボイスフィッシングブロックアプリ 非公開 プレシリーズA Gravity Ventures
Second Eureka
(세컨드유레카)
フランチャイズビルダー 非公開 プレシリーズA Kim Gi-sa Lab
AIZ Entertainment
(아이즈엔터테인먼트)
AIコンテンツ 60億ウォン(約6.6億円) シード LB Investment、Stone Bridge Ventures
ANPOLY
(에이엔폴리)
エコ素材 非公開 Hyosung Ventures
276 Holdings
(276홀딩스)
中小企業向けBNPL 非公開 プレシリーズA2 Sui Generis
Rootem Bio
(루템바이오)
健康機能食品 10億ウォン(約1.1億円) シード Be High Investment
BOS Semiconductors
(보스반도체)
車両用システム半導体 非公開 Atinum Investment
Mr. Papa
(미스터아빠)
食材流通 非公開 Hite Jinro
AVELOS Therapeutics
(아벨로스테라퓨틱스)
新薬開発 170億ウォン(約19億円) シリーズB Starset Investment、Medytox Venture Investment、新韓キャピタル、LSK Investment、興国証券、SV Investment、Mirae Asset Venture Investment、Quad Asset Management、Timefolio Capital
vtov
(브이투브이)
最適経路宅配サービス 100億ウォン(約11億円)
SURFF COMPANY
(서프컴퍼니)
輸出入貨物スペース取引プラットフォーム 非公開 シード 韓国投資アクセラレータ
All My Tour
(올마이투어)
宿泊予約プラットフォーム 10億ウォン(約1.1億円) プレシリーズA 新韓ベンチャー投資、韓国投資アクセラレータ
WILCO
(윌코)
素材 非公開 プレシリーズA Daekyo Investment

スタートアップ投資

  • 電子契約専門企業 Modusign(모두싸인)が177億ウォン(約19億円)を調達した。メール、カカオトークなどで、専用リンクを通じ法的効力のある契約を締結できるサービスを提供している。今年4月時点の企業顧客は27万社。
  • vtov(브이투브이)が100億ウォン(約11億円)を調達した。同社は最適経路宅配サービス「To-Day(투데이)」を運営している。調達した資金は、コマース企業顧客拡大のために活用される見込み。
  • AI を使ったコンテンツ開発会社 AIZ Entertainment(아이즈엔터테인먼트)が60億ウォン(約6.6億円)を追加調達し、累積で160億ウォン(約18億円)のシードラウンドをクローズした。ユーザの関心に合ったコンテンツを連結してファンダムを形成し、多様な相互作用が可能なエンターテインメントコンテンツを披露する予定。

トレンド

市場を変えるアートテックプラットフォーム

アート市場のデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速し、美術品取引・投資プラットフォームなどアートテックスタートアップが登場してきている。美術市場1兆ウォン(約1,100億円)時代を迎えた今、韓国国内でも数が多くはないが、数年前から美術品取引プラットフォームが増加している。

2022年には、美術品彫刻投資(訳注:分割投資)プラットフォーム「ArtNGuide(아트앤가이드)」を運営する YEOLMAE COMPANY(열매컴퍼니)を筆頭に、427億ウォン(約49億円)という相当規模の資金が流入した。

しかし、昨年は全体的な投資環境の悪化で市場に流入したのは100億ウォン(約11億円)に及ばず、景気の影響から美術市場も低迷した雰囲気だった。しかし、今年は第1四半期だけで前年より多くの資金が流入し、初期プラットフォーム(訳注:駆け出しの作家の作品を扱うプラットフォーム)が頭角を表し期待感が高まっている。

これらのプラットフォームはアート市場の変化を主導するという点で注目されている。オフライン取引をオンラインに移しただけでなく、過去の富裕層だけに許されたアート市場に誰もがアクセスできるようにした。また、少額でもアート作品を購入して投資できるように支援し、情報の非対称性を解消してアート市場の大衆化を促進している。

韓国国内では美術品彫刻投資プラットフォームが注目を集めている。トークン証券を使った彫刻投資の法制化推進に伴い、市場成長の可能性と期待はより大きくなっている。去る4月、ブルーチップ(訳注:豊富に出回っている有名アーティストによる作品)美術投資プラットフォーム 「Tessa(테사)」は証券会社などから88億ウォン(約10億円)を調達した。証券会社と口座を連結し、アプリ内ですぐに投資できるように利便性を備え、追加投資で50億ウォン(約5.7億円)を調達し、事業多角化に乗り出す計画だ。

毎年新たに登場している初期プラットフォームは、市場が成長し続けるということを裏付けている。最近、500 Global から初期投資に成功した「Chaart(차트)」は、アートコレクターと美術品2次販売市場を狙った美術品リセールプラットフォームで、30〜50代の若年富裕層を対象とする。

美術品の自動マッチング、真偽鑑定、配送、精算機能などを提供し、有料サービスのローンチから10ヶ月で累積取引額26億ウォン(約3億円)を突破し成長中である。作品を手軽に購入でき、かつ収益も得られるようにすることが目標である。

去る1月、シード投資に成功した Le Musse(르뮤제)は、デジタルアートマーケットで K 作品のグローバル進出を支援する。グローバルコレクターを対象に韓国作家の作品のみを紹介する仲介プラットフォームで、オフライン展示作品をリアルタイムでオンラインプラットフォームで鑑賞して購入することができる。

もう一つの初期プラットフォーム「Misullo(미술로)」は、美術品管理プラットフォームとして美術品を最適な環境で保管する中で、美術品統合管理プラットフォームに成長する計画である。

現在、美術品投資プラットフォームは投資家から最大の関心を集めている。しかし技術の進歩、MZ 世代(ミレニアルおよび Z 世代)のアートへの関心増などにより、新たに登場する関連スタートアップが増え、市場の成長を期待させている。

もちろん安全に投資できる環境づくり、アート作品の真偽鑑定など、さまざまな解決課題が存在するが、これらはアート消費の方式と投資パラダイムを変化させており、投資家から持続的な関心が続くと見られる。

【via StartupRecipe】 @startuprecipe2

【原文】

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する