BRIDGE

タグ AG/SUM

東京・日本橋で、AG/SUM(アグリテック・サミット)が開催——日米スペインのスタートアップ7社が、日経賞・みずほ賞を獲得【ゲスト寄稿】

本稿は、THE BRIDGE 英語版で翻訳・校正などを担当する “Tex” Pomeroy 氏の寄稿を翻訳したものです。オリジナルはこちら。 AG/SUM 2018 は6月11日、江戸時代から薬祖神社のお膝元である東京・日本橋で開催された。AG/SUM の主要スポンサーでもある三井不動産が再開発するこの地域は、くすりミュージアムを併設する第一三共から、新しい国際本社ビルをオープンした武田薬品工業ま…

本稿は、THE BRIDGE 英語版で翻訳・校正などを担当する “Tex” Pomeroy 氏の寄稿を翻訳したものです。オリジナルはこちら


AG/SUM ピッチラン参加者のみなさん
Image credit: “Tex” Pomeroy

AG/SUM 2018 は6月11日、江戸時代から薬祖神社のお膝元である東京・日本橋で開催された。AG/SUM の主要スポンサーでもある三井不動産が再開発するこの地域は、くすりミュージアムを併設する第一三共から、新しい国際本社ビルをオープンした武田薬品工業まで、さまざまな製薬会社が集積している場所だ。3日間にわたって開かれた AG/SUM は、日本経済新聞が新たに立ち上げた一連のサミットイベントの一つだ。

日経はもともと、金融や規制にフォーカスしていたが(FINSUM/REGSUM)、現在は2020年の東京オリンピックやパラリンピック、来年のラグビーワールドカップを受け、ビジネス活動の拡大を見据えたライフサイエンスや交通などの分野に狙いを定めつつある。AG/SUM ではシンポジウム、展示会、スタートアップピッチラン、リバースピッチに加え、メイン会場となった日本橋ライフサイエンスビルや日本橋三井ホールから、東京メトロ銀座線・半蔵門線の三越前駅や、日本橋案内所にも程近い JR 新日本橋駅へと続く地下通路では、屋台が並ぶマルシェが開かれていた。

AG/SUM リバースピッチの様子
Image credit: “Tex” Pomeroy

ピッチランには6月12日の午前・午後2つのパートにわけて26社が登壇し、同日の夜にはリバースピッチが行われた。参加者たちは、日経賞やみずほ賞(稲穂の豊富な収穫を意味する言葉を冠した、みずほ銀行にちなんで名付けられた賞)の獲得を目指して争った。リバースピッチではより多く、参加者からのフィードバックやピッチ参加者へのフォローアップセッションがもたらされた。

午前セッションの審査員は、Plug and Play Tech Center の Seena Amidi 氏、World Innovation Lab の梶原奈美子氏、三井化学の浦木史子氏、日本経済新聞の村山恵一氏が務め、午後セッションの審査員は Bits x Bites の Matilda Ho 氏、RocketSpace の Shaina Silva 氏、ミスルトウの鈴木絵里子氏、ユーグレナの永田暁彦氏が務めた。みずほ銀行の大櫃直人氏は、午前・午後両方のセッションで審査員を務めた。

MUSCA 代表取締役の串間充崇氏
Image credit: “Tex” Pomeroy

みずほ賞を獲得したのは、すべての日本のスタートアップで、バイオテクノロジーによる自動接木のグランドグリーン、植物工場のプランテックス、insect-tech(昆虫テック)の MUSCA(ラテン語でハエの意)が受賞した。日経賞は、カリフォルニア大学バークレー校傘下の Sugarlogix、スタンフォード大学関連スタートアップの Agribody Technologies、ワイン畑支援技術プロバイダーの Biome Makers、非発酵ワインメーカー Ava Winery の4社が獲得した。

ワインに関して言えば、イスラエル(イスラエルからは汚染検出器を製造する Inspecto のみが出展していたが、膜分離活性汚泥法(MBR)を使った水耕栽培企業 FreightFarms は出展を辞退し、私はユダヤ教のコーシャー食品について質問する機会を失った)、中東(ハラル食品の市場が大きいトルコからは、農業金融サービス Tarfin と、NVIDIA を支援するセンサーデータプロセッサー Tarsens が出展)が参加していたほか、飲料製品の恩恵によく預かる筆者は、ダイエットに興味をそそられる AVA Winery に興味をそそられた。

来年はさらにイベントを拡大し、マルシェなどの一般人が参加できるスペースに、より多くの人を呼び込みたいとしている。例えば、今年の AG/SUM では、トルコのスタートアップたちは、より多くの情報交換を求めて月曜日の朝から晩まで出展していたし、南アメリカやアフリカはもとより、アジア太平洋地域などからも、より多くのスタートアップの参加が見られた。

AG/SUM(アグサム)で実施されたアグリテック・スタートアップ・ピッチで、人工知能を使った植物健康診断アプリ開発のBanana Dreamが優勝

本稿は、THE BRIDGE 英語版で翻訳・校正などを担当する “Tex” Pomeroy 氏の寄稿を翻訳したものです。オリジナルはこちら。 5月23日〜25日、東京の虎ノ門ヒルズで「AG/SUM(アグサム)アグリテック・サミット」が開催され、一連のピッチが繰り広げられた。このイベントは日本の経済専門紙である日経が主催し、スタートアップの参加の多いアメリカ版の同イベントをモデルにしている。 5月の…

本稿は、THE BRIDGE 英語版で翻訳・校正などを担当する “Tex” Pomeroy 氏の寄稿を翻訳したものです。オリジナルはこちら


Banana Dream のチーム
Image credit: AG/SUM

5月23日〜25日、東京の虎ノ門ヒルズで「AG/SUM(アグサム)アグリテック・サミット」が開催され、一連のピッチが繰り広げられた。このイベントは日本の経済専門紙である日経が主催し、スタートアップの参加の多いアメリカ版の同イベントをモデルにしている。

5月の Harvest 決勝に向け12チームが選ばれた2月の予選に続き、今回の AG/SUM イベントは2回目となる。最終的には10チームがピッチを終えた。AG/SUM アクセラレータに参加した3チームは、Green Pitch プレゼンテーションを実施した。

2017年2月に東京で開催された AG/SUM Harvest
Image credit: “Tex” Pomeroy

昨年、日経は近年スタートアップの活動がめざましい主力事業と並行し、Fintech Summit を開催した。同社は今年も FinTech Summit を開催する予定だ。2016年、日経は Pioneers Asia を支援し、アジア地域のスタートアップ・エコシステムに焦点を当てた。

Pioneers Asia 2016 でのライフサイエンスのセッション
Image credit: Masaru Ikeda

コンセプトとしてのアグリテックについては、それは農業ビジネスだけでなく、農家で急減する労働力の不足、地球環境、食料供給などの逼迫するあらゆる問題を解決すべく、テクノロジーやイノベーションを適用することも含まれる。

収穫量改善の自動化、人工ドローンの活用、食の確保と安全、地域医療など——ちなみに、獣医に関しては医者が余っている状態だが——は、バイオメディカルとライフサイエンスの両方が重要度を増していく分野だ。

Banana Dream の健康診断アプリ
Image credit: “Tex” Pomeroy

AG/SUM のピッチコンテストでは、Harvest 優勝の座を GreenPlanet Biotech が率いる Banana Dream のチームが獲得し、三井住友フィナンシャルグループから賞金を得た。特別賞は、農業向けのフィンテックスタートアップ Plus-A に授与された。Plus-A には、日経が主催する Fintech Summit 2017 への出場権が与えられ、このイベントで再び優勝の座を狙うことになる。

チーム Banana Dream は、凍結解凍覚醒法という技術をもとに、葉脈の写真を使った人工知能ベースの植物健康診断技術を開発している。Plus-A は、農家がビジネスを拡大したり最適化したりするのを支援すべく、新しい資金調達手段を提案している。

Plus-A のチーム
Image credit: AG/SUM

続いて、Livin FarmsPlant DataVegetalia が Green Pitch プレゼンテーションを行なった。このうち、Vegetalia は、スタートアップ業界でよく知られる小池聡氏によるスタートアップだ。さらには、セミナー、ワークショップ、展示会などに加え、小規模なカンファレンスなども開催された(都市週末農業の候補者の中では、コンテナを使った Freight Farms のアイデアが気に入った)。

Plant Data のチーム
Image credit: “Tex” Pomeroy

また、AG/SUM では、陸前高田市(市長の戸羽太氏)、京都の菓子メーカーであるサロン・ド・ロワイヤル(社長の前内眞智子氏)、東京大学大学院農学生命科学研究科(岩田洋佳教授)と生産技術研究所(沖一雄准教授)らが会社を設立し、2011年の東日本大震災で津波被害を受けた地域の復興に向けて、ピーカンナッツの生産を主軸に置いたパイロット農業を始めることが発表された。

Pecan のチームとパートナーの人々
Image credit: “Tex” Pomeroy

ハッカソンから生まれた有望スタートアップ8チームが、5月開催のアグリテック・サミットに向けファイナリストに選出【ゲスト寄稿】

本稿は、THE BRIDGE 英語版で翻訳・校正などを担当する “Tex” Pomeroy 氏の寄稿を翻訳したものです。オリジナルはこちら。 発祥の地であるアメリカでは Harvest の異名で知られる、アグリテック・サミット(AG/SUM)の日本/アジア版は、農業技術に特化した農業中心のサミットだ。農業人口が高齢化し農業が縮小傾向にある日本で、有望なスタートアップが競い合うピッチ・コンペティショ…

本稿は、THE BRIDGE 英語版で翻訳・校正などを担当する “Tex” Pomeroy 氏の寄稿を翻訳したものです。オリジナルはこちら


Image credit: AG/SUM

発祥の地であるアメリカでは Harvest の異名で知られる、アグリテック・サミット(AG/SUM)の日本/アジア版は、農業技術に特化した農業中心のサミットだ。農業人口が高齢化し農業が縮小傾向にある日本で、有望なスタートアップが競い合うピッチ・コンペティションが2月に開催された。日本経済新聞社のグループが、東京のコンペティションを支援した。

クローン羊のドリーが世界のニュース・ヘッドラインを席巻して約20年、今日では、技術は遺伝子操作やクローニングなどが農業分野の主流となっている。今年5月には、東京で AG/SUM のメイン会合が予定されており、それに向け、スタートアップ8チームがピッチでファイナリスト選出された。その中には、東京大学の PPAP(Passionate Productive Agriculture with Pecan-nut/ピーカンナッツで挑む、熱狂的かつ生産性の高い農業)がいたが、詳細は後述する。

Image credit: “Tex” Pomeroy

港区の虎ノ門ヒルズの会議室で開かれたピッチ・コンペティションでの要件は、参加チームが農業問題に技術関連のソリューションを提供し、ピッチの段階ではまだサービスが開始されていないこと、というものだった。おもしろいことに、入賞6チーム以上が農業の生産性に関するものだった(この中には、前述の東京大学農学部のチームも含まれる。)

Musshine がピッチした人間の食用のための昆虫養殖のアイデアや、(農林水産省関連の研究所によるチーム)Tail による水産物捕獲の無駄を減らす漁業に関するアイデアなどが披露された。しかし、プランテーションや土壌改良など、従来からある農業に特化した角度からピッチするスタートアップはいなかった。6チームのうち1チームは拡張現実を使った農業体験を提案し、さらにもう1チームはフィンテックを取り入れた農業ビジネスの資金調達プレゼンテーションで、使う土を最小限にするアプローチが活用できるというものだった。

Image credit: “Tex” Pomeroy

テックトレンドの最新状況については、Hackerfarm が IoT の利用について紹介した。しかし、最も魅了されたのは、東京大学の岩田洋佳氏がリードする、農学的に健全で、かつ科学に基づいた PPAP のチームだった。このチームはピーカンナッツの生産量拡大により、日本のナッツ産業を刺激し収益を延ばすための最新技術の活用を目指している。たまたま3月中旬に開催された FOODEX と同じ時期には、岩田氏が所属する施設で食糧生産技術に特化したシンポジウムが開かれ、今や〝富をもたらす作物〟となったナッツを中心に議論がなされた。

東京大学大学院農学生命科学研究科が、G. Barton Beuler 博士や Jennifer Randall 博士(ニューメキシコ州立大学)などを輩出したこのシンポジウムを主催した。収益性が高く持続可能な農業を実現するためには、とりわけハイテク技術や遺伝技術の利用が生産量の向上に貢献する。汎用的な食品の生産を促進する科学的な根拠は、専門家の話によってさらに説得力を増し、5月に公開されるプレゼンテーションをさらに待ち遠しいものにしてくれた。