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代替肉・Impossible Foodsの挑戦:肉の味を決定づけるもの(3/3)

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人工的に作ったヘム (前回からのつづき)Brown氏によれば、人々は食糧について「科学的イノベーション不毛の地」という印象を持っていると語る。しかし彼は、生物多様性の壊滅的な損失を食い止める最大のチャンスはここにあるとしている。 Impossibleの最初の発見の一つは、ヘムという分子が動物を食べる時の味を決定付けているということだった。動物の死体から作られた肉もImpossibleの植物から作ら…

スライダー(ミニサイズ)のImpossible Burger 2.0・Image Credit: Dean Takahashi

人工的に作ったヘム

(前回からのつづき)Brown氏によれば、人々は食糧について「科学的イノベーション不毛の地」という印象を持っていると語る。しかし彼は、生物多様性の壊滅的な損失を食い止める最大のチャンスはここにあるとしている。

Impossibleの最初の発見の一つは、ヘムという分子が動物を食べる時の味を決定付けているということだった。動物の死体から作られた肉もImpossibleの植物から作られた肉も、ヘムが豊富に含まれているからこそ美味しく食べられるのだそうだ。Brown氏によると、人々は通常の牛肉よりもImpossible Burgersの方が2対1で好まれるという。Brown氏はヘムのことを生肉のあの血の味の原因となる「魔法のような」分子と表現してこう語る。

「私たちの血液を赤くするヘムは自然界で最も偏在している、生命を構成する重要な分子です。ヘムは、血液中の酸素を運ぶ分子として最もよく知られています。動物の筋肉に含まれているだけでなくヘムは私たちが食べるほとんどすべての食品に含まれています。ヘムは食べても安全なだけでなく、生きていくために必要なものなのです」。

Impossible Foodsは、世界の食肉需要を少しでも満たすため、家畜のように環境への負荷をかける方法ではなく、持続可能で、拡張性があり、手頃な価格でヘムを作る方法を開発した。この会社は大豆レグヘモグロビンと呼ばれる植物に自然に含まれるヘムタンパク質を作るために、酵母をバイオ技術で発酵させている。Impossible Burgerに含まれるヘムは、人間が肉で摂取してきたヘムと同じものになる。牛肉の味をそのままに使用する資源を大幅に削減することに成功したのだ。

また同社によるとImpossible Burgerは従来の牛の挽肉よりも約96%少ない土地のみで、水の使用量を約87%、温室効果ガスの発生量についても約89%減少させることができるとしている。Brown氏は視聴者に「これは可能さ、みんな、方法はひとつしかないんだよ」と語りかけていた。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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代替肉・Impossible Foodsの挑戦:「最も破壊的な哺乳類は牛」代替牛乳も試作(2/3)

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(前回からのつづき)今朝のパネルでBrown氏は「我々は見かけ上は食品会社です。しかし内部では、Impossible Foodsが人類史上最も重要な科学的プロジェクトだと考えています。環境破壊から地球を救う唯一の方法は、新しい食のプラットフォームを作ることなのです」と語りかける。 Lee氏は同社ができる最大のリターンは研究開発にあるとし、ブラウン氏によると同社は牛乳以外にも、植物版の鶏肉や魚にも取…

Impossible Foodsは畜産こそが地球温暖化の要因と語る ・Image Credit: Impossible Foods

(前回からのつづき)今朝のパネルでBrown氏は「我々は見かけ上は食品会社です。しかし内部では、Impossible Foodsが人類史上最も重要な科学的プロジェクトだと考えています。環境破壊から地球を救う唯一の方法は、新しい食のプラットフォームを作ることなのです」と語りかける。

Lee氏は同社ができる最大のリターンは研究開発にあるとし、ブラウン氏によると同社は牛乳以外にも、植物版の鶏肉や魚にも取り組んでいるという。

Impossible Investigatorプログラムではあらゆるキャリアステージの科学者に対し、Impossibleのミッションの範囲内で新たな研究プログラムを構想することも求めている。植物由来の牛乳やステーキ、魚の最適化を加速させる短期的な戦略から、植物性タンパク質やその他の素材のサプライチェーンを大幅に改善する長期的なアイデアまで、どんなことでも構わない。

Impossible Investigatorsでは、生命科学、物理科学、工学などのバックグラウンド、データアナリスト、神経生物学者、実験心理学者、食べ物に対する感覚知覚やヘドニック心理学的な知見を持っている人まで幅広い人を求める。

「このプロジェクトが与える影響に比べれば、他のどんなこともバケツの中の一滴に過ぎないということを伝えたいのです。食糧が抱えているものについて多くの人々が混乱し、困惑しています」とBrown氏は語る。

Impossible FoodsのCEO、Pat Brown氏・Image Credit: Impossible Foods

筆者は牛肉の味がするのに植物由来のImpossible Burgerを定期的に食べるようになった。毎週の習慣になっていて、週末はマクドナルドのフライドポテトと一緒にImpossible Burgerを食べた。そう、牛肉が恋しくないのだ。今はまだ高いがBrown氏によればそれは時間と共にに変わるだろうとしている。今年の初めに同社は15%の値下げを実施し、数年後の価格は動物性のものを下回ると予測している。

今年初め、同社は同じく植物から作られた「Impossible Sausage」を発売している。香港では数千店のレストランと200店舗で販売されているものだ。

消費者調査会社のNumeratorのデータによると、Impossible Burgerの売上の大部分は動物由来の肉に食い込んできている。Impossibleには250以上の特許があり、出願中の特許もある。昨年、同社は利用可能なインターンシップに3,000件の応募があったと、チーフ・コミュニケーション・オフィサーのRachel Konrad氏は述べている。

今日のイベントの中で、同社はどうすれば植物性ミルクをフォーム・ミルクに変化させ、朝のコーヒーに入れることができるのかを示していた。この牛乳は試作品の状態だ。Brown氏によると、最も破壊的な哺乳類は牛であり、その数は世界中で約17億頭に上るという。放牧や汚染物質を排出することを考えると食料生産の効率が悪い。味の悪い豆乳ではなく牛乳に代わることは非常に重要であると語っていた。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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都市で野菜を育てる垂直農法の「Infarm」が1.7億ドル調達

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ピックアップ:Infarm raises $170M in equity and debt to continue building its ‘vertical farming’ network ニュースサマリー:都市部で垂直農法を使った農作物栽培・販売をする「Infarm」は9月17日、シリーズCにて1億7,000万ドルの資金調達を公表している。リード投資家としてLGT Lightstoneが参…

Infarmウェブサイト

ピックアップ:Infarm raises $170M in equity and debt to continue building its ‘vertical farming’ network

ニュースサマリー:都市部で垂直農法を使った農作物栽培・販売をする「Infarm」は9月17日、シリーズCにて1億7,000万ドルの資金調達を公表している。リード投資家としてLGT Lightstoneが参加し、 Hanaco、 Bonnier、 Haniel and Latitudeらが新たに、また既存投資家としてAtomico、TriplePoint Capital、Mons Capital、Astanor Venturesも同ラウンドに参加している。

話題のポイント:Infarmは「100% Local」をキーワードに、都市部の屋内で通常栽培のわずか1%ほどの面積で垂直農法の栽培環境を整え、新鮮な野菜の提供を実現しています。同社によれば、既にベルリン、コペンハーゲン、シアトル、ロンドンなどの10カ国30都市での栽培・販売を開始しています。不動産価格が高い都市部で展開する事業であるため、未だ経済合理性の取れていない領域であるものの、食料問題は人間が避けては通れない点であるため、市場展望性は衰えないでしょう。

特に同社の農法では、水の使用量を通常農法より95%削減、肥料の使用量を75%減かつ無農薬を実現しており、環境問題にも目を向けたモデルとなっています。都市部で栽培して現地で販売するため、流通コストも90%減を達成しているとする点も注目すべきポイントでしょう。

日本に目を向けると同社は、JR東日本と今年2月に提携し、紀伊国屋店舗にてInfarmプロダクトの日本導入を進めています。これらの動きにより、今後は日本においても都市部スーパーマーケットで垂直農法を用いた販売形式を見かけることも増えるかもしれません。地価の問題から高級食品として扱われることが想定されますが、一般化が進めばあらゆる場所で「100% Local」なInfarmプロダクトが見られることになりそうです。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

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代替肉・Impossible Foodsの挑戦:研究開発チームを倍増へ(1/3)

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植物をベースにした「Impossible Burger」を製造するImpossible Foodsは畜産業を廃業に追い込むため、近年中に研究開発チームの規模を2倍にする予定だ。同社のミッションは植物を肉、魚、乳製品に変えることで、彼らが「世界で最も破壊的な技術」と呼ぶ“動物”の利用によって引き起こされる地球温暖化や生物の多様性崩壊を食い止めることにある。 同社は技術投資を拡大し、問題解決のために科…

植物をベースにした「Impossible Burger」を製造するImpossible Foods畜産業を廃業に追い込むため、近年中に研究開発チームの規模を2倍にする予定だ。同社のミッションは植物を肉、魚、乳製品に変えることで、彼らが「世界で最も破壊的な技術」と呼ぶ“動物”の利用によって引き起こされる地球温暖化や生物の多様性崩壊を食い止めることにある。

同社は技術投資を拡大し、問題解決のために科学者を集める「Impossible Investigator」プログラムを開始することでこれを実現しようとしている。彼らは動物性食品を「気化」させることが気候変動を止めるための最良の方法であることに変わりはないと主張している。植物性ミルクのような製品で気候変動を食い止めることを目指しているのだ。

主力商品であるImpossible Burgerは、すでに動物由来の食品の代替が進んでおり、その生産は温室効果ガスの排出と、野生動物減少を食い止める最大の要因の一つとなっている。ライバルにはBeyond Burgerなどがいる。

Impossible Foodsはシリコンバレーで現在実施しているプロジェクトに参加する科学者、エンジニア、その他のR&D専門家を約50人募集している。現在600人以上の従業員を抱えており、Impossibleは2011年の創業以来、15億ドルの資金調達を実施した。今年は2回のラウンドでは7億ドルを調達し、その資金はテクノロジープラットフォームとR&Dチームの拡大に充てられる予定だ。

Impossible Foodsが開発する「Impossible Burger 2.0」Image Credit: Impossible Foods

スタンフォード大学の生化学名誉教授であり、元ハワード・ヒューズ医学研究所の研究者でもあるPatrick Brown CEOによって創業された。彼は数々の賞を受賞したスタンフォードの生化学研究室の仕事を辞め、2011年にImpossible Foodsを立ち上げた。2016年頃には、最高財務責任者(CFO)のDavid Lee氏を迎え入れることで、事業拡大のための人材を採用するようになり、ラスベガスで開催されたビッグテックのトレードショー「CES」にも出展している。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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期待高まる「スマート農業」の要諦と「新たなビジネスチャンス」

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本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社の鈴木祐介氏・松尾壮昌氏が共同執筆した。 一次産業のデジタル化は市場も大きい分、取り組みの範囲も広い。 例えば「屋内農業」に絞って紐解くと、2017年のグローバル市場は1,066億ドルであったとのデータがある。2026年には1,700億ドル規模と予…

Photo by freestocks.org from Pexels

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社の鈴木祐介氏・松尾壮昌氏が共同執筆した。

一次産業のデジタル化は市場も大きい分、取り組みの範囲も広い。

例えば「屋内農業」に絞って紐解くと、2017年のグローバル市場は1,066億ドルであったとのデータがある。2026年には1,700億ドル規模と予測されおり、年平均成長率でみれば5%以上だそうだ。この屋内農業市場は栽培品種の生育メカニズム最適化や、ロボットやAI画像認識を活用した技術革新が起こっているため注目が集まっている、いわゆる「スマート農業」の領域だ。高額な初期投資や作目品種が限られる一方、収穫不足や気候変動問題に対処できることから、近い将来の成長機会が期待されている。

では、国内ではどういうステップになるのだろうか。

グローバル・ブレインでは農林中央金庫と共同で農林中金イノベーション投資事業有限責任組合(以下、NCIF)を運営しており、直近だと7月には農業用機械の運転支援アプリ「AgriBus-Navi」を運営する農業情報設計社への出資も実施している。本稿では、それら知見から国内におけるアグリテック・スマート農業の俯瞰を試みたい。

農業の課題とスマート農業が目指す世界

この領域における主要な課題は大きく「人手不足」と「効率性」の2つに集約される。

農林水産省が公表した資料によると、1995年に414万人いた農業就業人口は20年経過した2015年には210万人と激減している。技術革新による課題解決が待ったなしの状況で期待されるのが「スマート農業」なのだ。

スマート農業では生産の自動化、生産から販売までのサプライチェーンに関わるデータ活用などがテーマとしてある。例えば生産に関するデータが細かく揃っていれば、熟練した生産者と同様に誰でも農作物を作ることができるようになる。さらにこの世界が一歩進んで生産の予測ができれば、保険や融資など金融商品の展開も広がる。革新のポイントはデータとデバイス、そしてギグワーカーなど社会的な経済構造の変化にある。では、それぞれケーススタディを元に紐解いてみたい。

農業を自動化する「次の狙い」

農業は耕うん整地や種まきから始まり耕作、生育、収穫とワークフローが流れていく。その後、出荷、消費と繋がるわけだが、それぞれに効率化できるポイントがある。例えば生育管理のところで言うとIoTデバイスを使って日照条件や温度、土壌の水分条件などの外部条件を取得する事例が増えている。また、テラスマイル社のように、異なるデバイスから取得したデータを統合的・横断的に見える化することで、営農・経営に役立てるサービスも登場している。

農薬の散布も重要だ。

出資先の農業情報設計社ではAgriBusシリーズを展開

トラクターの自動操舵を開発する農業情報設計社はGPS/GNSSを活用して耕うん、播種や農薬の散布を効率化する。汎用的なAndroidアプリとトラクターに後付けできるGPS/GNSS装置により、精度高く運転経路を記録できるため重複なく耕うん、播種や農薬の散布ができる。また、当社の自動操舵機器を組み合わせることで指定した運転経路通りに運転する自動操舵も可能となる。

収穫も自動化の波がやってきている。

「Root AI」が開発する農作物のピッキングロボット「Virgo」は、様々な種類の農作物を認識して収穫するため汎用性が高く、人手不足解消が期待されている。それ以外にも、国内外で汎用性を狙った野菜や果樹の自動収穫の試みが進み、注目を集めている。このように生産のワークフローが自動化されると、課題であった人手不足と効率性の問題が解決に向かうと同時に副次的な効果が生まれてくる。

それがデータだ。

耕作・生育・収穫までの一連の流れがスマート化すれば、出荷タイミングや、収益量や生産物の品質の予測が現実味を帯びてくる。農作物の量や品質の予測ができれば、農作物に対する保険の在り方が変わる可能性もはらむ。また、より良い質や量をもたらす土地の傾向が見えれば、農地としての担保価値算定にも影響が出るかもしれない。農業を取り巻く事業環境を大きく変える余地を内包するデータの取得に、各企業が取り組み出している。

都市型農業の可能性と壁

農業をデジタル化することで、生産販売だけでなく金融など別のビジネスモデルの可能性が見えてくることについて整理してみた。そこでもう一つ、やや消費に近い観点で「都市型農業」の件についても少しだけ触れてみたい。

そもそも海外ではスマート農業は都市部で行われることが多い。先述したロボットやAI技術の確立により、都市部の限られたスペースと水資源を最大限活用できるためだ。無農薬作物を計画的に栽培できる。

例えば4億ドル以上を調達している「Plenty」は、一度に大量の農作物を栽培できる垂直農業を展開している。高層建築物内での栽培が可能で、土地の少ない都市部での農業を提案している。他にも「AeroFarms」「Bowery」「infarm」などが代表的だ。

都市部でのスマート農業は、生鮮食品配達市場と密接な関連性を持つ。従来の宅配網で配達される食料品は新鮮さに欠けるが、都市部で効率的に農作物を栽培・出荷できるのならば、鮮度を維持したまま配達できる。生鮮食品のECは感染症拡大の問題もあって大きく進んだトレンドのひとつだ。

フードマイレージの削減や環境負荷軽減といった文脈でも、こうした都市型農業への期待は広がっている。しかし日本では、フードマイレージ等への意識は欧州と比べ、まだ醸成途上にあるのではないか。更に都市型農業には、別の大きな壁も存在している。それが土地の価格だ。そのため、都市部の事例では企業保有遊休地の活用などが主流だろう。更に、施設への初期費用と運営コストが、最終の消費価格に転嫁される。コスト抑制、品質と売価確保のバランスが、ビジネス上は非常に重要となる。

昨今の野菜の価格高騰などをみていると、環境に影響されない安定供給性には魅力がある一方、都市型農業や植物工場を考える際は、QCD、すなわち品質、コスト(売価)、安定供給の問題をどう解決するか、そこにかかっている。

少人数でも生産を可能にし、新たなデータという武器を与えてくれるのがスマート農業の強みだ。AIの進化によりデータ活用のユースケースが増えてきたのも追い風に感じる。農業に関わる方々のデジタル理解度も進む中、ゆっくりとキャズム超えのタイミングを待っているのが今の国内状況ではないだろうか。

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ソーシャルインパクトを掲げるスタートアップたち【TechStars選出(2/3)】

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ピックアップ:Cox Enterprises Social Impact Accelerator Powered by Techstars TechStarsによるSGDsをテーマとしたアクセラレーションプログラム「Cox Enterprises Social Impact Accelerator Powered by Techstars」に選抜されたスタートアップを解説する、前回からの続き。第2…

ピックアップCox Enterprises Social Impact Accelerator Powered by Techstars

TechStarsによるSGDsをテーマとしたアクセラレーションプログラム「Cox Enterprises Social Impact Accelerator Powered by Techstars」に選抜されたスタートアップを解説する、前回からの続き。第2回目は、ヘルスケア・エネルギー関係のスタートアップを紹介する。

Invincible

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Invincibleウェブサイト

概要:慢性疾患に苦しむ子供たちの見守りアプリ

課題:多くの子供たちは、喘息、糖尿病、自閉症、てんかんといった慢性疾患に苦しんでいる。それはアメリカだけでも1,800万人にものぼる。

市場背景:慢性疾患を患った子供は、家族や学校の教員、友達など、周りの人たちからの支えを頼りにするしかない。飲まないといけない薬や注射の対応は問題なくできているか、体調に異変がないのかなどの連携が必要であるが、そう簡単には実現できていないのが現状だ。

提供しているサービス:慢性疾患に苦しむ子供の身の回りにいる人たちに何が起こったのか、異変がないかを入力してもらうアプリを提供。例えば、昼食時に決められた通りに注射をしたか、薬を飲んだかなどをアプリに入力する。

ビジネスモデル等:現在はベータ版を公開している。1家族あたり、月額10ドルとなる予定だ。

EnMass Energy

Capture
EnMass Energyウェブサイト

概要:廃棄物エネルギー転換ビジネスの効率化を目的とした、SaaSプラットフォームを提供

課題:アメリカでは、一人1日あたり3.175kgのゴミが捨てられている。アメリカの人口は世界の4%にしか当たらないにも関わらず、この量は、世界の30%のゴミの量にあたる。

市場背景:プラスチックやタイヤなどの余剰な廃棄物は、エネルギーに転換することが可能だ。しかし、廃棄物エネルギー転換会社のボトルネックとなっているのは、燃料調達である。

廃棄物エネルギー転換ビジネスのプロセスは複雑で未だに紙が使われるなど、非効率な部分も多い。同社のCEOのAndrew Joiner氏は、アメリカ政府の廃棄物エネルギー転換に関するプロジェクトや施策を担当した経験があり、そこで培った経験に基づき起業に至った。

提供しているサービス:EnMass Energyは最先端のテクノロジーを活用することにより、廃棄物エネルギー変換に必要な燃料調達やプロジェクト運営・管理のプラットフォームを提供。効率的な燃料の収集手段、適正価格、在庫管理などのプロセスを最適化し、クラウドのプラットフォームで管理可能なのが特徴だ。廃棄物をエネルギーに変換するすべての関係者(サプライヤー、輸送業者、トラック会社、倉庫業、加工業者、配送業者)を繋いでいる。

ビジネスモデル等:同社は2つのビジネスモデルを持つ。1つは顧客よりアウトソースを受けるモデルと、2つ目は、顧客側でデータをEnMass Energyのプラットフォームに読み込み自社で管理するモデルである。月額のサブスクリプションモデル。創業当時は、農業廃棄物に特化していたが、TechStarsのアクセラレータープログラム参加以降は、エネルギー転換可能なほぼ全ての廃棄物も取り扱うことができるようになった。

グローバルでは、4000もの廃棄物エネルギープロジェクトが存在している。そのうちの500はアメリカである。これらのプロジェクトは多額の資金をサプライチェーンに費やしており、最新の統計結果では、廃棄物エネルギー転換の市場は2026年までに2倍になると予測されている(最終回に続く)。

執筆:NeKomaru/編集:岩切絹代・増渕大志

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キーワードはプラスチックフリー、環境に優しい洗剤D2C「smol」は英国25万世帯が利用

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ピックアップ:London-based smol raises €8.8 million to extend home-delivery of its vegan, plastic-free washing detergent ニュースサマリ:ロンドンを拠点とし、環境に優しい洗剤を定期配送するD2Cブランドsmolは、7月21日にシリーズAラウンドの880万ユーロの資金調達を発表した。本ラウンドは…

画像出典:smol公式HPスクリーンショット

ピックアップ:London-based smol raises €8.8 million to extend home-delivery of its vegan, plastic-free washing detergent

ニュースサマリ:ロンドンを拠点とし、環境に優しい洗剤を定期配送するD2Cブランドsmolは、7月21日にシリーズAラウンドの880万ユーロの資金調達を発表した。本ラウンドはBalderton Capitalが主導し、JamJar Investmentsも参加した。今回調達した資金は、新しい製品カテゴリーの開発や新規市場拡大、チーム強化に活用される予定。

重要なポイント:世界的にもSDGsの取り組みは加速している。同社は1年以上かけて洗剤パッケージを改善し、2020年3月に100%プラスチックフリーかつ、子供が口に入れても安全な素材に移行した。同社の製品を利用すれば、他のブランドと比較し毎週4トン以上のプラスチックを節約することができるという。

詳細情報:smolは2018年、ユニリーバの元従業員であるPaula Quazi氏とNick Green氏によって設立された。同社はレターボックスにそのまま届くほどコンパクトなカプセル型洗剤や食洗機用タブレットを開発し、定期配送で販売している。

2020年6月には、新たに環境に優しい超濃縮処方のファブリックコンディショナー(柔軟剤)の発売を開始。大手ブランドが提供する同様の製品に含まれている動物性脂肪は一切含まれておらず、ボトルも100%リサイクル可能な再生プラスチックを使用している。

今回の資金調達を受け、smolの共同経営者であるPaula氏は次のようにコメントしている。

忙しい生活を送る私たちにとって、洗濯や洗剤を買うことは、たくさんの人が楽しみにしていることではありません。100年以上もの間ほとんど革新がなかった洗濯業界において、日々の手間を省くために私たちはsmolを立ち上げました。持続可能性と手頃な価格を重視しながら、日常生活の心配ごとを一つでも減らせることを目指しています。

背景:EU-Startupsの記事によると、現在英国の25万世帯以上がsmolの製品を利用し、毎週150万回もの洗濯に活用されている。さらにコロナ禍以降、同社製品への関心は3倍となったという。

執筆:平理沙子(Risako Taira)/編集:岩切絹代

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農業デジタル化を進めるSenSprout、資金調達を実施

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土壌水分センサー開発などで農業のデジタル化を手掛ける「SenSprout」は7月29日、第三者割当増資の実施を公表している。引受先となったのはJMTCキャピタル、GMO VenturePartners、FGN ABBALab、柴田商事、Yosemite、REGAIN GROUP、個人として富島寛氏。調達額や出資比率などの詳細は非公開。 SenSproutはこれまで、農業用の土壌水分センサー、灌水制…

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SenSproutウェブサイト

土壌水分センサー開発などで農業のデジタル化を手掛ける「SenSprout」は7月29日、第三者割当増資の実施を公表している。引受先となったのはJMTCキャピタル、GMO VenturePartners、FGN ABBALab、柴田商事、Yosemite、REGAIN GROUP、個人として富島寛氏。調達額や出資比率などの詳細は非公開。

SenSproutはこれまで、農業用の土壌水分センサー、灌水制御システム、高機能ビニールハウスソリューションなどを提供してきた。なかでも農業用の土壌水分センサー「SenSprout Pro センサーシステム」と遠隔自動灌水システムを組み合わせた「SenSprout Pro 灌水制御システム」は、大和証券グループや、果実堂、JA福岡大城アスパラガス部会などの企業や農家に導入実績を持つ。

SenSprout Pro 灌水制御システムを導入することで遠隔地からスマートフォンやPCを使って灌水予約ができ、「いつ」「どこで」「どのくらい」水やりをしたかの記録や管理を行うことができる。調達した資金は解析した土壌水分の値に基づく水やりの自動化システムの開発や、農業のデジタル化を推進するための事業投資に使われる。

via PR TIMES

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法人向け電力オークション「エネオク」運営にジェネシアVが出資、取引総額は42億円に

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ニュースサマリー:法人特化型の電力リバースオークション「エネオク」を運営するエナーバンクは27日、ジェネシア・ベンチャーズを引受先とした第三者割当増資を実施したと発表した。調達金額は約5000万円。 エネオクは工場やビルオーナーなどの施設を保有する法人と全国の電力小売事業者をリバースオークション(繰り下げ方式入札)でマッチングするプラットフォーム。同社プレスリリースによれば、2018年10月にサー…

eneoku
エネオクウェブサイト

ニュースサマリー:法人特化型の電力リバースオークション「エネオク」を運営するエナーバンクは27日、ジェネシア・ベンチャーズを引受先とした第三者割当増資を実施したと発表した。調達金額は約5000万円。

エネオクは工場やビルオーナーなどの施設を保有する法人と全国の電力小売事業者をリバースオークション(繰り下げ方式入札)でマッチングするプラットフォーム。同社プレスリリースによれば、2018年10月にサービス開始以降、既に取引総額は42憶4000万円に達し、452施設がオークションを利用した実績を持つ。

話題のポイント:電力自由化が始まって以降、日本においても個人を含むすべての事業者が自由に電力供給の事業者をフレキシブルに選択できるようになりました。経済産業省・資源エネルギー庁が公開するデータによれば、現段階において登録されている小売電気事業者の数は664事業者とされています。これは、自由化が始まった2016年04月の登録件数291事業者と比較するとおよそ2.3倍規模に拡大していることが分かります。

Capture
電力小売全面自由化の進捗状況・資源エネルギー庁

エネオクは、こうした小売り電気事業者と施設を運営する法人側を価格・用途の面で繋げる最適なオークションプラットフォームを提供しています。オークションの形は、リバースオークション型(繰り下げ方式)が採用されているため、法人は最適な価格の事業者と契約を結ぶことが可能となります。

一方、必ずしも最安の事業者と契約が自動的にされるわけではなく、入札された金額や様々な要素を考慮し、小売り電気事業者と直接チャット上で交渉することが可能でそれに応じて納得がいけば、契約を成立させることができます。

Capture
エネオクの仕組み/エナーバンク

同社公開のケーススタディーによれば、工場を始めゴルフ場などのスポーツ施設、オフィスビルなどの複合商業施設での導入事例で年間数百万円から最大で数千万円までの電力コスト削減の貢献実績を公表しています。今回の調達を境に同社は、全国の民間施設や官公庁・自治体への導入に力を入れていくとしています。

「全国での店舗を運営するチェーン店舗(飲食、小売、ホテル、商業施設)などは、エリアごとに需給契約を行って契約を一本化できていないことがよくあり、それをまとめるだけでも管理の上でメリットがあります。調達を丸投げできるエネオクで、複数施設でボリューム効かせた一括オークションを実施してコストの最適化が図れることを訴求していきます」(同社創業者、代表取締役の村中健一氏)。

また、環境省も参加する、再生可能エネルギーをグローバル企業単位で押し進めることを目標に置く国際イニシアティブ「RE100」においてエネオクは調達選定システムとして参画しているそうです。

「RE100は持続可能な社会を実現のために、グローバル基準でかつ官民一体で目標を定めて推進する重要な取り組みです。2040年もしくは2050年までに100%を達成する計画を出すことが加盟の条件とされています。しかし、各社が再エネの取り組みをビジネス的に内在し、投資・リターンで考えることができれば、達成を2030年、もしくはもっと手前に前倒しすることができると考えています。そういった面における「エネオク」の役割は大きい思っています」(村中氏)。

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10代起業家が挑む「プラボトル廃棄問題」、Nohboに著名投資家ら300万ドル出資

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ピックアップ:Plastic-free, water-soluble personal care brand Nohbo raises $3m in seed funding 重要なポイント:プラスチックフリーで持続可能なパーソナルケア製品を開発するスタートアップであるNohboは3月27日、シードラウンドで300万米ドルを調達したことを発表した。同ラウンドを率いたのはMaterial Impac…

画像出典:Nohbo

ピックアップ:Plastic-free, water-soluble personal care brand Nohbo raises $3m in seed funding

重要なポイント:プラスチックフリーで持続可能なパーソナルケア製品を開発するスタートアップであるNohboは3月27日、シードラウンドで300万米ドルを調達したことを発表した。同ラウンドを率いたのはMaterial Impactで、Safer Madeや既存の投資家であるMark Cuban氏のRadical Investmentsと共同で行われた。

詳細情報:Nohboは使い切りタイプの生分解性フィルムをパッケージに活用した、シャンプーやコンディショナーなどのパーソナルケア製品「Nohbo Drops」を開発し、過剰なプラスチック廃棄の問題に取り組んでいる。

  • 同社は当時14歳だったBen Stern氏が、ビジネスアイデアをプレゼンし、審査員を務める投資家から投資を受けるアメリカのテレビ番組「Shark Tank」に出演。大絶賛を受け起業資金を調達。その後、Influencive Top 30 under 30 Entrepreneurなどの賞も受賞し、2018年に「Nohbo Drops」を発表した。
  • 創業者兼CEOのBen氏は今年3月の同社プレスリリースにて「世界では使い捨てのプラスチックへの依存と中毒が起きています。パーソナルケア製品だけでも、米国市場では年間サッカースタジアム約1,200個分の廃棄物に相当するシャンプーボトルが消費されています」とコメントしている。
  • 今回得た資金により、Nohboは製造規模を拡大し、月1,500万個を生産することが可能となる。また同社は欧州最大級のホテル販売代理店と協力して、欧州市場への製品導入も進めている。
  • さらに現在同社はDropsをウェブサイトで直接販売しているが、今年後半にはサブスクリプションサービスの提供も開始する予定。取締役のMark Cuban氏はサブスクリプションサービスの開始について、「今後5~6年で1億米ドル規模の企業になる可能性がある」とコメントした。

背景:Crunchbaseによると、プラスチック代替品を開発するスタートアップ企業は昨年8億5,000万米ドルの資金調達を記録したという。また、NPDがWWDに寄せたコメントによると、Clean Beauty(有害成分が含まれていない美容製品)市場は、Beauty市場全体が14%減少しているにもかかわらず、今年は11%成長しているという。これらの背景から、消費者は持続可能性を重視する企業の製品を買いたいと考える傾向が見受けられる。

日本でも2020年7月1日よりプラスチック製買い物袋の有料化が進められたが、毎年7月は「#PlasticFreeJuly」というプラスチック製品を絶つ運動が国境を超えて開催されている。公式サイトによると、現在世界177ヵ国以上が賛同し、約2.5億人がチャレンジに参加している。

執筆:平理沙子(Risako Taira)/編集:岩切絹代

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