都市で野菜を育てる垂直農法の「Infarm」が1.7億ドル調達

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Infarmウェブサイト

ピックアップ:Infarm raises $170M in equity and debt to continue building its ‘vertical farming’ network

ニュースサマリー:都市部で垂直農法を使った農作物栽培・販売をする「Infarm」は9月17日、シリーズCにて1億7,000万ドルの資金調達を公表している。リード投資家としてLGT Lightstoneが参加し、 Hanaco、 Bonnier、 Haniel and Latitudeらが新たに、また既存投資家としてAtomico、TriplePoint Capital、Mons Capital、Astanor Venturesも同ラウンドに参加している。

話題のポイント:Infarmは「100% Local」をキーワードに、都市部の屋内で通常栽培のわずか1%ほどの面積で垂直農法の栽培環境を整え、新鮮な野菜の提供を実現しています。同社によれば、既にベルリン、コペンハーゲン、シアトル、ロンドンなどの10カ国30都市での栽培・販売を開始しています。不動産価格が高い都市部で展開する事業であるため、未だ経済合理性の取れていない領域であるものの、食料問題は人間が避けては通れない点であるため、市場展望性は衰えないでしょう。

特に同社の農法では、水の使用量を通常農法より95%削減、肥料の使用量を75%減かつ無農薬を実現しており、環境問題にも目を向けたモデルとなっています。都市部で栽培して現地で販売するため、流通コストも90%減を達成しているとする点も注目すべきポイントでしょう。

日本に目を向けると同社は、JR東日本と今年2月に提携し、紀伊国屋店舗にてInfarmプロダクトの日本導入を進めています。これらの動きにより、今後は日本においても都市部スーパーマーケットで垂直農法を用いた販売形式を見かけることも増えるかもしれません。地価の問題から高級食品として扱われることが想定されますが、一般化が進めばあらゆる場所で「100% Local」なInfarmプロダクトが見られることになりそうです。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

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