Image Credit: Impossible Foods
ベジタリアンだが甘くて肉汁たっぷりのお肉の味がするハンバーガー。これこそ Impossible Foods の目指す高い目標だ。この目標を同社は「Impossible Burger」というもっともな名前の食品によって達成したようだ。このバーガーは、一昨年、昨年とアメリカ全土のレストランでヒットした。そしてこの度、料理人と消費者双方からのフィードバックを得て、レッドウッドシティの Impossible Foodsは、Impossible Burger 2.0という名の改良版レシピを売り出す予定だ。
Impossible Foods の設立者で CEO の Patrick Brown 博士は、ラスベガスで行われた2019 Consumer Electronics Show で今回の新しいバーガーを発表した。このショーで、同社は、Las Vegas Convention Center の近くに停めたキッチンカーから1万2,000個以上のパティを参加者にふるまう計画だ。
Brown 博士は次のように語った。
最新の Impossible Burger では、味、栄養、また何にでも味が合うことなど、筋金入りの肉好きたちにとって大事な条件すべてが揃っています。これは植物由来の肉で、食物連鎖における動物へのニーズをなくし、グローバルな食品システムを持続可能なものにします。
では今回の新バーガーでは何が変わったのだろうか?Impossible Foods によれば、新しい植物由来の肉は、同じ量の牛ひき肉と同じだけの鉄分とタンパク質を有しているという。さらには、この人工肉にはコレステロールが含まれておらず、4分の1ポンド当たりで脂肪分はわずか13グラム、240カロリーだという。平均的なミートパティでは、コレステロールが80ミリグラム、脂肪23グラム、290カロリーだ。
新バーガーはまた、あらゆるひき肉料理に可能な限り近づけられている。初代のバージョンの Impossible Burger はレストランで鉄板焼きするように作られていたが、新バーガーのパティでは、当初の麦タンパク質に変わって大豆タンパク質を使うことにより、調理過程を通して食感とジューシーさが維持されるという。
VIDEO
Impossible Burger 2.0はまた、グルテン、ホルモン、抗生物質を含まず、コーシャ認証、ハラール認証もされている。また初代バーガーと同様に、肉の脂っこい味を出す分子であるヘムを含んでいる。科学に疎い方のために言っておくと、ヘムとは、ヘモグロビン(脊椎動物の血液中で酸素を運ぶ赤いタンパク質)のうち非タンパク質部分を構成するものだが、Impossible Foods は、イースト菌を遺伝子操作し発酵させて、大豆レグヘモグロビン(ヘモグロビンの等価物)を作ることによって、ヘムだけを分離させている。
今回のバーガーは味のテストでも成功を収めている。Impossible Foods によれば、1,000人以上の西海岸、中西部、中部大西洋沿岸地域の自称「ヘビーな肉食家」たちが、目隠しをした上での味の試験で、Impossible Burger 2.0の方を好んだ。とある大手食品チェーンのよく知られた脂身20%のミートパティとの比較で、好感度を試験者たちに数値で表してもらったところ、新 Impossible Burger は牛肉由来のバーガーと同じだけの得点を得た。
Impossible Foods のチーフサイエンスオフィサーである David Lipman 博士は、次のように語った。
外部の研究者たちが行う、消費者を対象とした味のテストに加え、Impossible Foods 自社の味の科学者と感覚器官の専門家たちが、1週間に少なくとも100回の味テストを行っています。常に Impossible Burger をより良くしたいという私たちの追求はとどまることを知りません。牛肉では全く太刀打ちできないでしょう。
さて、どこで、そしていつ、Impossible Burger 2.0を手にすることができるのだろうか?同社が記者らに伝えたところによると、この新バーガーは2月4日以降、大手食品流通業者によってアメリカ国内のあらゆるレストランで楽しむことができるようになるという。
新バーガーを提供する予定のレストラン一覧は以下の通り。
Chef Tae Strain’s Momofuku CCDC (ワシントン DC)
Chef Traci Des Jardins’ Jardinière と School Night (サンフランシスコ)
Chef Brad Farmerie’s Saxon + Parole (ニューヨーク)
Chefs Mary Sue Milliken と Susan Feniger’s Border Grill (カリフォルニアとネバダ)
Chef Danny Bowien’s Mission Chinese Food (ニューヨーク)
Chef Chris Cosentino’s Cockscomb(サンフランシスコ)と Jackrabbit (オレゴン州ポートランド)
Chef Tal Ronnen’s Crossroads Kitchen(ロサンゼルス)
Chef Michael Symon’s B Spot burger restaurants (オハイオ)
Chef Sarah Schafer’s Irving Street Kitchen(オレゴン州ポートランド)
Chef Jeremy Kittelson’s Linger(デンバー)
Chef Tony Priolo’s Maillard Tavern (シカゴ)
Chefs Ken Oringer and Jamie Bissonnette’s Little Donkey(ボストン)
Hospitality entrepreneur Kyle Brechtel’s Copper Vine(ニューオーリンズ)
Chef Jennifer Carroll’s Spice Finch(フィラデルフィア)
Chef Pete Blohme’s Sunset Pointe(アラバマ州フェアホープ)
Impossible Foods によれば、3月までに、現在 Impossible Burger を提供している香港とマカオの100を超えるレストラン、そしてアメリカの5,000の場所(Umami Burger、Bareburger、Wahlburgers、The Counter、Fatburger、Gott’s、White Castle など)で、新しいバーガーが販売されるという。加えて、数か月後にはシンガポールにも Impossible Burger 2.0を上陸させる予定だとしている。その後さらなる市場が続く。
そして、もしも自分で調理する方が好きという方がいれば、良い知らせがある。Impossible Burger 2.0は、年内にアメリカの高級食料品店でも売られるようになる予定だ。
同社の栄養・健康部門バイスプレジデント Sue Klapholz 博士は言う。
Impossible Burger のファンは、少なくとも動物肉と同じだけ栄養のあるグルテンフリーのバーガーを食べたいという望みを、声高にはっきりと示しています。私たちの新製品は、栄養にも地球にも妥協することなく、肉の好きな人たちが求めるすべての味をお届けします。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】