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VISAで福利厚生「miive」に目から鱗、学生起業家だからできたそのワケ

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ニュースサマリ:プリペイド型の福利厚生サービス「miive(ミーブ)」は2月17日に第三者割当による増資を公表している。引受先になったのはサイバーエージェント・キャピタルとジェネシア・ベンチャーズの2社。調達した資金は5,000万円。資金は開発と人材採用に使われる。 miiveは福利厚生を一括管理するSaaS。企業側は従業員に対して付与したい福利厚生サービスを選び、自由にカスタマイズして提供するこ…

ニュースサマリ:プリペイド型の福利厚生サービス「miive(ミーブ)」は2月17日に第三者割当による増資を公表している。引受先になったのはサイバーエージェント・キャピタルとジェネシア・ベンチャーズの2社。調達した資金は5,000万円。資金は開発と人材採用に使われる。

miiveは福利厚生を一括管理するSaaS。企業側は従業員に対して付与したい福利厚生サービスを選び、自由にカスタマイズして提供することができる。メニューはVISA加盟店であれば全て利用可能で、社員は渡されたVISAプリペイドカードを使って提供される福利厚生を利用することができる。ポイントチャージ方式で、企業が従業員に対してポイントを付与し、食事など負担が求められる場合には従業員がセルフチャージとして自己負担分のポイントをチャージして利用する。ユーザーあたりの課金で1名利用するごとに880円が必要になる。

同社の創業は昨年7月。従来の福利厚生はサービス企業が提供する固定のものが多く、企業が自由に設計する場合には管理などが煩雑で課題があった。その点に注目した学生起業家の栗田廉氏が創業し、サービスは4月下旬に公開予定となっている。

話題のポイント:久しぶりのバックオフィス系でおもしろそうなサービスです。福利厚生は交通費や家賃補助、最近よく聞くようになったのはリモートワーク下での食事補助ですね。どれも一部を企業側が負担することで従業員の方々の労働環境を向上させるのが目的です。

福利厚生の面倒をクラウド+プリペイドで解決

サービスとしても、大きな冊子でおなじみベネフィットワンのような老舗から、OKANやKONPEITOが提供する補充型の社食サービス、Wantedlyが提供するPerkなどいろいろな形が出てきているようです。ちなみにWantedlyが決算書で出している福利厚生市場の試算は約1,000億円程度になります。

miiveの面白いところは、福利厚生の面倒な側面に着目した点です。企業が福利厚生を適用しようとした際、交通費などのありきたりなものは別として例えば社員の部活動を支援したいと思って補助を出そうとしても、その購入の費目や負担割合、購入したものの精算処理などを考えるとかなり手間がかかります。

一方、従来からあるクーポン型の福利厚生は一見、便利なように見えて実際はほとんど使われないようです。同社代表の栗原廉さんの調べによると3割ぐらいしか使われていないというお話ですが、過去、私も同様のパターンで確かにフィットネスを使おうかどうしようか迷って結局使ってなかったなと思い出しました。

miiveは企業が福利厚生を用意する際の面倒と、従業員の方が利用した後の処理の面倒をクラウドとプリペイドで解決しようとしています。ここでもうひとつ面白い点がVISAの加盟店を福利厚生の対象にしたところです。

福利厚生は健康保険料などの法定福利費を除いてかなり自由に設定が可能です。食事などのように負担割合が決まっているものはありますが、基本、企業が社員に対して平等に提供することができれば問題ありません。

開発中のクラウドサービスは、VISAに加盟している店舗から選べるメニューが用意されており、旅行や食事、健康などの項目からその企業独自の福利厚生をカスタマイズできるようになっています。従業員はそこから利用したいサービスを選んで後日精算すれば企業側も誰が何を使ったのか一元管理できます。

この精算管理で活躍するのがプリペイドカードです。VISA形式で、企業は所定のポイントをチャージして従業員に提供し、利用者は店舗でそのカードを使えばポイントが減る仕組みです。前述の通り、食事など自己負担が発生する場合は、自分で事前に自己負担分のポイントをチャージしておく必要があります。

ここで少し疑問が湧いてきます。例えばコンビニで食事以外のものを購入したらどうなるのでしょうか?栗田さんの説明では、VISA側ではあくまで加盟店IDでのみ管理されるので、企業側は何を購入したかはわからないそうです。ただ、現実的には領収書などの提出を別ルールで定めればそういうズルはできないようになります。

学生起業家だから思いついた福利厚生の穴

栗田さんはなぜ福利厚生という穴を狙ったのでしょうか。公開取材で投資したCACの北尾崇さんとジェネシアの水谷航己さんに話を伺いましたが、栗原さんは特に福利厚生のスペシャリストというわけではなく、最初の持ち込み時点では別のデリバリーサービスを考えていたそうです。

ただ、彼自身、就職活動で内定を貰った企業の福利厚生には違和感を感じており、そこから調べていく内にここに潜んでいる課題に気がつくようになったというお話でした。当初の持ち込みアイデアから福利厚生関連を調べなおして今回のアイデアにピボットするまで1.5カ月ほどということですのでさすが。若いっていいですね。

通常、こういった経費系のサービスを考えると海外でBrexの躍進にあるように、フィンテック寄りになることが多いです。ただここの分野はラクスやマネーフォワード、freeeなど群雄割拠の市場になっており、ある意味、新しいプレーヤーの必要性はそこまでありません。経費精算ではなく「福利厚生」という似て非なる市場に、従来とは異なるアプローチで挑んだのがmiiveです。これは企業の勤務経験がない人ならではの発想だなと思います。

実際にサービスがリリースされて企業のフィードバックが集まったところでまた機会あれば話を聞いてみたいと思います。

※本稿はClubhouseでの取材内容をご本人に同意いただいて記事化しています