OpenAI は4月29日、「ChatGPT」で利用可能なジャーナリスティックコンテンツを拡大するために、イギリスのニュース日刊紙「Financial Times」と戦略的パートナーシップを締結したと発表した。

この提携により、Financial Times の記事は、ChatGPT 上の関連するクエリに対して、必要な要約、引用、リンクとともに表示されるようになる。FT サイトからのすべての情報は、正当に帰属すると、両社はプレスリリースで指摘した。

このパートナーシップとライセンス契約は、チャットボットで利用可能なコンテンツの質を高めるために出版社と協力するという、OpenAI のもう一つの重要な動きを示している。AI 分野の他のプレーヤーも、トレーニングデータセットを強化し、パフォーマンスの向上を実現するために同様の動きを見せている。

OpenAI が FT と提携する理由

OpenAI が2022年11月にリリースした ChatGPT で生成 AI をメインストリームの注目の的にして以来、AI 企業は AI モデル用のトレーニングデータを無断でウェブからかき集めるのではなく、お金を払ってライセンスを得るべきではないかという論争が起きている。

しかし、多くの AI 組織は、最新かつ最も信頼できる情報を使って自社製品を改善しようとする競争の中でそうし続けてきた。フランスの競争監視委員会は最近、出版社や通信社のコンテンツで Gemini チャットボットを訓練したとして、Google に通知なしに罰金を科した。

現在、OpenAI はこのハードルを回避し、積極的に出版社と提携することで ChatGPT のリーダーシップを維持しようとしている。

最新の FT との提携では、研究所は同サイトの帰属記事を ChatGPT に表示するだけでなく、同誌の読者向けに新しい AI 製品や機能の開発にも協力する。

コンテンツがモデルのトレーニングにも使用されるかどうかは正確には不明だが、FT の公式声明は、ジャーナリズムを取り入れることで、OpenAI モデルの「有用性」を向上させる手助けをすると記している。

OpenAI の COO Brad Lightcap 氏は声明の中で次のように述べた。

我々のパートナーシップと FT との継続的な対話は、AI が報道機関やジャーナリストに力を与え、世界中の何百万人もの人々のためにリアルタイムの世界一流のジャーナリズムで ChatGPT の体験を豊かにする、創造的で生産的な方法を見つけることです。

FT 側は、FT はヒューマンジャーナリズムにコミットし続けており、今回の提携はその活動の範囲を広げるための努力だと考えていると強調した。

FT グループの CEO John Ridding 氏は次のように述べている。

我々は、人々が新しい方法でコンテンツを発見する際に、開発ループの内側にいる機会を大切にしています。どのような変革的な技術にも、大きな進歩の可能性と大きな課題がありますが、時間を戻すことは決して不可能です。FT のコンテンツとブランドを守るために適切な保護措置を講じながら、これらの製品が形になっていく中で、質の高いジャーナリズムを表現していくことが重要です。

OpenAI のこれまでのメディアとのパートナーシップと出会い

今日のニュースに先立ち、OpenAI は、世界で最も古く、最もよく読まれているニュースワイヤーサービスのひとつである AP 通信と提携し、そのアーカイブコンテンツを大規模言語モデル（LLM）のトレーニングに使用している。

同様の契約は、Politico や Business Insider などの一流ブランドを所有するドイツのメディア企業 Axel Springer や、全米で40以上のメディア組織を支援する American Journalism Project（AJP）とも結ばれた。

「The Information」は1月、OpenAI がメディア企業とライセンス契約を結ぶために100万米ドルから500万米ドルを支払っていると報じた。

しかし、これらの契約は OpenAI にとってすべてが順調であったことを意味するわけではない。この研究所は、AI モデルのトレーニングに関しても問題を抱えている。

昨年、New York Times が著作権侵害で同社を提訴し、さらに数カ月前には、Intercept、Raw Story、AlterNet という3つのアメリカの新聞社が、OpenAI と Microsoft が著作権で保護された記事を盗用して ChatGPT を開発・運営しているとして、別の訴訟に加わった。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

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