「世界をグッと身近にしたい」ーー海外留学口コミサイトの「School With」がEast Venturesから資金調達を実施

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スクールウィズは、East Venturesより資金調達を実施した。金額は非公開となっている。同社は、2013年4月に留学の口コミ情報プラットフォーム「School With」をリリースし、7月に法人化した。

「School With」はサービス開始初期からフィリピン留学に集中し、フィリピンにある100を超える語学学校の情報と口コミを掲載してきた。1年半ほどでフィリピン留学に関しては日本最大の口コミサイトとして定着しつつある。

まだまだ成長余地のあるフィリピン語学留学

School With

スクールウィズ代表取締役の太田英基氏は、世界中にいる日本人起業家やクリエイターにインタビューをしてきた経験を持つ。その旅に出る前に、フィリピンで英語留学を経験している。

太田氏「1日6時間のマンツーマンレッスンに、3食寝室付きで月額15万円程という金額で留学が可能なフィリピン留学は、爆発的に留学生数が増えています。フィリピン政府観光省によると、2010年時点では日本人のフィリピン留学渡航者数は年間4,000名でしたが、2013年では年間26,000名にまで急成長しています」

留学生の数が増えることに伴い、学校選びの大きな要素となる留学経験者の口コミ情報源の必要性が高まってくる。韓国は、年間10万人がフィリピンに語学留学をしていることもあり、日本市場も10万人を超えるポテンシャルが十分あると言われている。

太田氏「2013年からは台湾人、ロシア人、ベトナム人など、日韓以外からの留学生も増え、数年後にはアジア全域の留学生がフィリピンで英語を学ぶようになるのはと推測されています。また、企業の語学研修としてのフィリピン留学導入も伸びており、欧米圏での研修をリプレイスする可能性が大いにあります」

成長市場であるフィリピン留学において成長してきた「School With」。今後は、フィリピンに留まらないエリアの拡大を視野にいれる。

太田氏「来年はフィリピンに留まらず、カナダやオーストラリアといったエリアもカバーしていきたいと考えています」

すでに黒字化している事業をスケールさせる

school

「School With」経由で留学の申し込みが入ると、手数料がスクールウィズに入る仕組みだ。留学は1人あたりの単価が高いこともあり、「School With」はすでに事業が黒字化している。

初期はとにかく口コミを集めていたが、次第にマネタイズを意識し、口コミページに「申し込み」ボタンを設置したところ、月に何件かは申し込みが来るようになったという。今年の3月に、「申し込み」の表記を「見積もり」にしたところ、徐々に問い合わせの件数も増え、6月には売上と支出がとんとんになり、以降は黒字化している。

太田氏「月100件を上回る問い合わせがスクールウィズ経由で来るようになっています。現在、フルタイム4人、インターン3人ほどで運営していますが、黒字化はしているため、資金調達は急いではいませんでしたが、攻めれないと思っていました」

寿司を食べながら出資が決まる

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スクールウィズは法人化の際、独立行政法人中小企業基盤整備機構の創業補助金の採択を受けており、以降、自己資金で運営してきた。勝負を仕掛けるためにファイナンスを検討していたところ、East Venturesより話があり、11月28日付けで資金調達を実施した。

太田氏「East Venturesの太河さんとは8年ほど前から面識がありました。たまたま六本木でご飯を食べていたところ、連絡をもらって太河さんとお会いすることに。寿司を食べながら事業の現状などをお伝えしたところ、その場で出資する話が決まりました」

電撃で出資が決まったスクールウィズは、今後人材の採用やマーケティングの強化などを実施し、現在の事業の伸びの角度を上げていく。エリアの拡大の他、留学を終えた人材のキャリア支援など、語学以外に人材領域の事業開発も検討しているという。

自身の体験から出発

太田氏は2010年から「サムライバックパッカープロジェクト」を立ち上げ、フィリピン留学を経て世界を一周してきた。その経験が、現在の「School With」には息づいている。

太田氏「フィリピン留学を経験して、英語ができなかった自分が成長したのは大きな体験でした。日本人は英語は現地に行ってしゃべるのが一番だと思っています。ただ、私の場合自分が選んだ学校は失敗だったという経験があります。

フィリピン留学は費用が安いとはいえ、ひと月15万円という金額を支払います。それだけの金額を支払うのに、学校の質は行ってみないとわからない状態。口コミを集めることで学校のレベルを見える化し、学校のダメな部分の抑止力としても働かせることができるのではと考えました」

school with buzz

二度目の起業へ

太田氏は2005年に「タダコピ」という事業を提供するオーシャナイズの創業に取締役として参画していた。2度めの起業となる今回は、以前とどのような違いがあるのだろうか。

太田氏「2005年当時は、資金調達をするという発想はほとんどありませんでした。ベンチャーは受託か営業代行をして売上を上げ、自社のサービスを開発していたのが、現在では大きく変わっています。

当時の営業系のベンチャー経営者が多い熱量のある感じも私は好きでしたが、現在のように資金調達をしてサービス開発に集中できるようになったことは良いことだと思っています。

資金調達以外にも、ソーシャルメディアの発達により様々な人にコンタクトもとりやすくなり、「Wantedly」などスタートアップに関心ある人が集まる採用サービスもあり、人も集めやすくなったことで、環境が整備されかなり起業しやすい時代になったと感じています」

太田氏自身は、誰を集め、役割分担をどうするかといったチームビルディングの面などで前の起業の経験が生きていると感じているという。今後はさらなる拡大のため、チームのメンバーも増やしていく

フィリピンの語学学校の口コミサービスとしてスタートした「School With」は、対象となるエリアを拡大し、語学以外にキャリア支援まで視野に入れ、勝負を仕掛ける。

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