北京発・仮想通貨ウェルスマネージメントスタートアップのBankorus、富裕層向けにAIベースの投資プラットフォームサービスを提供

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Bankorus CEO Greg Van den Bergh 氏
Image credit: Bankorus

個人富裕層(HNWI)、すなわち100万米ドル以上を投資に使える個人の資産額は、ビジネスコンサルティング会社 Capgemini によると、世界で総計63兆米ドルを超えた。ただ、富裕層は一般に思われるほど頻繁に仮想通貨に投資しているわけではないようだ。

最新の算定によれば、63兆米ドルもの投資可能額があるにも関わらず、仮想通貨資産に使われたのは500億米ドルに過ぎないという。

本日(2018年2月27日)、中国初のロボアドバイザーを作り上げたフィンテック企業の Bankorus は、仮想通貨資産管理ソリューションのローンチを発表した。

仮想通貨への投資に関心がある富裕な個人には数々の難題が待ち受けている。まず、個人富裕層は、時代遅れで中央集中型のシステムを使うような金融機関に資産を預ける習慣がある。こうした投資家らは、仮想通貨に投資しようとする際、サービス利用権が得られないこと、データ漏洩の消えることのないリスク、コストのかかるハイタッチ式プロセス、高いコンプライアンスコスト、不統一な報告基準といった様々な問題にも直面する。

仮想通貨への投資がメインストリームの選択とならないのは、主としてこうした問題が原因だが、Bankorus はその状況は今後変わると信じている。

Bankorus の CEO で共同設立者 Greg Van Den Bergh 氏は筆者にこう語った。

世界経済フォーラムの調査によれば、2025年までに、個人富裕層の全資産の少なくとも10%が仮想通貨の形に分散するということです。(資産管理業界での長年の実地経験に基づいた)私たちのプラットフォームにより、そのペースは加速すると考えています。今後5年で個人富裕層の全資産の10%が仮想通貨に変わると私たちは見積もっていますし、さらにその後の10年では、全資産の25%が仮想通貨に変わることでしょう。

Bankorus はユーザに対し、資産のポートフォリオを多様化させること、従来の財をデジタル資産に変えること、仮想通貨の貸付を容易に行うこと、デジタル資産をグローバルに取引することを可能にする。システムの土台となっているのはもちろんブロックチェーン技術だ。この技術により、Bankorus はコンプライアンスを十全に維持しつつ、投資者の代わりにデジタル資産を購入することができる。Bankorus のプロトコルは、NEM ブロックチェーン上のオープンソースの API で、それによりスマートコントラクトの導入が可能となっている。

Bankorus は、投資家がより良く確かな情報に基づいた投資決定を下せるよう、3つの AI ベースのアルゴリズムを用いる予定だ。その3つとは、現在中国で3,000人の参加者が利用するファイナンシャルプランニング・エンジン、投資家が自らの望むポートフォリオを作成できるポートフォリオ・エンジン、ブロックチェーン上に保存されたデータを用いてリアルタイムにリスクを計算するリスクマネジメント・エンジンである。

リスクマネジメント・エンジンとファイナンシャルプランニング・エンジンが協働して、ユーザの予測を反映したポートフォリオを作成する。

2013年に北京で設立され、以前は MiCai(弥財)の名で知られていた同社は、中国、アメリカ、ヨーロッパの世界トップクラスの裕福な顧客20万人超を相手に、現在300億米ドル相当の資産を管理している。また、Roland Berger、Bain、Microsoft といった世界的なコンサルティング企業とも提携している。Bankorus の諮問委員会は、世界的なコンサルティング企業 Roland Berger の CEO である Charles-Edouard Bouée 氏、Morgan Stanley Private Bank の元 CEO である Chris Van Aeken 氏、NEM Foundation の会長 Lon Wong 氏など、資産管理やブロックチェーン分野の数多くの専門家を含む。

さて、中国による ICO 禁止とそれに関係のあるスタートアップは、Bankorus にいかなる影響を与えているのだろうか?

Van Den Bergh 氏は次のように語った。

我々の理解では、ICO 禁止策は、詐欺行為でお金を騙し取る者を禁止し、投資家を保護するほか、好ましくない ICO により起こりうる金融リスクないし金融危機をコントロールする目的で行われているもので、ブロックチェーン技術のポジティブな効果や、実世界の問題を解決するために正しくブロックチェーンを応用している真面目な諸企業に影響を及ぼすものではありません。Bankorus は、厳しく規制された業界である金融業界にかなり統合されていますし、仮想通貨資産管理ビジネスをグローバルに行うために必要なすべてのライセンスを得ています。Bankorus は最大限に活動できるよう国の規制と法律を遵守しています。

Bankorus の今後はどうだろうか。

Bankorus は、個人富裕層顧客向けの世界ナンバーワンの仮想通貨資産管理プラットフォーム、一流の仮想通貨マーケットプレイス、そしてトップの担保付仮想通貨資産の貸付マーケットプレイスになることを目指します。2018年にはブロックチェーンを活用して資産管理に対するより良いソリューションを生み出すような、エキサイティングな出来事が数多く起こりつつあります。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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