エネルギー革命はイギリスの小さな諸島からーー潮力発電機開発のOrbital Marine Powerが800万ポンドを調達

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Image credit:Orbital Marine Power

ピックアップ:Orbital Marine Power completes operational finance of world’s most powerful tidal turbine

ニュースサマリ:スコットランドを拠点とするOrbital Marine Powerは7月、Scottish National Investment Bankから400万ポンド、12年の社債(debenture offer)によって400万ポンド、合計800万ポンドの調達を公表している。社債の購入についてはAbundance Investmentを通じて1,000名以上が購入に参加したとしている。社債の返還については、同社が開発を進める潮力発電で生成した電力の長期販売を通じて得た利益から返済するとしている。

重要なポイント:スコットランドの北東にあるオークニー諸島は低炭素社会の未来が早く訪れている場所として知られている場所です。とても風が強く、沖に立ち並ぶ洋上風力発電所はすでにオークニー諸島の人口約2.2万人の生活に必要な電力量を優に超える発電をしているそうです。さらに今回取り上げた「Orbital Marine Power」の海洋エネルギーを用いた潮力発電、波の運動エネルギーを利用した波力発電など、まだまだ発電のポテンシャルを残している地域です。

これらを効率的に活用するため公益団体であるCommunity Energy Scotlandがリードする形で、海洋エネルギーの研究機関「EMEC(European Marine Energy Centre)」や事業者がパートナーとなった水素ストレージプロジェクト「Surf ‘n’ Turf」が2017年から実証されています。

このプロジェクトは、クリーンに発電された電力を使って水を水素ガスと酸素ガスに分解させ、水素ガスを圧縮して容器に貯蔵し、スコットランド本土に輸送後、必要なタイミングで燃やして発電に用いるという一連のフローを稼働させることを目的としたものです。送電網と海底ケーブルの容量・コストの問題を、電気を水素に変換して運搬することで解決を図っています。

ただ、現在扱える電力量はスコットランド全体を賄うには微々たるもので、停泊船舶や湾岸施設にに供給するに留まっているようです。しかし今後、フェリー、トラックなどの輸送面の整備、水電気電解装置の増設、発電所の増設による水素ストレージの取り扱い規模の拡大を図ることで、徐々にスコットランド本土の電力消費事情を変えていくはずです。

Image credit:Orbital Marine Power

さて、今回ご紹介するOrbital Marine Powerは「Surf ‘n’ Turf」のプロジェクトと連携して、大規模な浮体式潮力アレイの発電システムの開発を手掛けています。

風力発電も潮力発電も基本的な発電原理は同じで、設置したタービンを回してもらうことでエネルギーを受けます。潮流は風と比べると予測しやすいため、継続して効率的に発電できる点が優位な点です。ただし、これまでの深海に設置するタイプの潮力発電機では常に速く潮が流れる環境での修理が困難でした。

そこでOrbital Marine Powerが開発した「Orbital O2」はメンテナンスにも配慮された設計となっています。浮体モデルにしたことで部品のほとんどを海上に設置でき、水面下にあるパーツもガルウィング方式で持ち上げ可能で特別な作業なしで迅速な対応可能な保守を実現したそうです。

また発電性能においても優れており、2基の1MWタービンを備え、1機でイギリスの約1,500世帯電力需要を満たすことができます。これは火力発電を使用した場合と比較し、年間約2,200tのCO2排出を抑制できるとも言えます。360度ブレードピッチ制御によって機体旋回なしで全方位の潮流から発電できる点も運用面での大きなメリットです。

イギリス全体の電力需要の最大11%を周辺海域の潮流エネルギー利用で満たせる可能性があるこのプロジェクト。イギリスの北にある諸島で始まったエネルギー革命は、小さくも確実に進歩を続け、今一番ホットな地域となりつつあるオークニー諸島をモデルケースに数百万人の電力を再生可能エネルギーで支えようとしています。

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