核融合 × Googleで商用化へ加速 、TAE Technologiesが2億5,000万ドルを調達

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Image credit:TAE Technologies

ピックアップ:TAE Technologies Exceeds Fusion Reactor Performance Goals By 250% As Company Closes $250 Million Financing Round, Totaling $1.2 Billion To Date

ニュースサマリ:カリフォルニア州に本拠を置く「TAE Technologies」は7月、2億 5000万ドルとなるシリーズGの資金調達を公表している。Google、Chevron Technology Ventures、米州住友商事会社、TIFF Investment Managementが出資した。調達した資金は次の研究用原子炉「コペルニクス」の建設に投資する。

話題のポイント:TAE Technologiesは、1998年に設立された最も手軽に手に入れられる材料をもとに商用核融合炉を開発する会社です。核融合とは元素を組み合わせて大量のエネルギーを放出するプロセスのことを指します。核分裂とは異なり、有害な副産物やメルトダウンのリスクなしに炭素フリーエネルギーを提供する可能性があります。核融合開発は何が難しいのか、課題解決にはどんなアプローチがあるのかは以下の記事を是非ご覧ください。Amazon CEOのジェフ・ベゾスが投資するGeneral Fusionの紹介と共に説明しています。

TAE Technologiesが取り組む手法はGeneral Fusionと異なり、高度なビーム駆動型逆転磁場配位型(FRC)と呼ばれる独自のプラットフォームを採用しています。加速器物理学とプラズマ物理学を組み合わせた「閉じ込め方式」です。これらを採用することで安全で豊富な水素ーホウ素に基づく燃料サイクルの追求に取り組んできました。TAE TechnologiesがGeneral Fusionも採用する従来kからの重水素ートリチウム(D-T)燃料を避ける理由は3つです。

  • 環境に配慮した燃料であること
  • 豊富な資源
  • 経済合理性

核融合は核分裂に比べて反応の難しさからも分かる通り、自然発生しにくいという観点から安全性が高いと言えます。ただし、反応そのものの安全性が高いだけで扱う燃料自体が危険な物質であれば厳重な管理が必要となります。というのも、D-T核融合で使用する3重水素のトリチウムは半減期12年の電子を放出して崩壊する放射性物質です。つまり体内に入ると内部被ばくを起こします。

現在検討されているトリチウムを扱う構造物の材料はステンレスであることから、試算通りであれば崩壊熱で融解する心配は少なく、仮に事故によって電力供給が止まっても漏れ出すことはありません。しかし、リスクを極力排除するためにも安全な代替材料があれば望ましいと言えます。

また、トリチウムは自然界にほとんど存在しない物質で、世界中に20kgしかないと言われています。そのため人工的に作り出す必要がありますが、トリチウム増殖炉の開発計画はITERの必要予算の拡大で進んでいない状況です。トリチウム増殖炉の開発費、核融合炉に加えてトリチウム増殖炉稼働時にかかる電気代を加味すると減らしたい固定費が存在します。

これらの課題からTAE Technologiesが採用したホウ素は、洗剤やその他の工業製品に使用される非放射性元素で、地球上で最もクリーンで最も豊富な商用核融合ソリューションの燃料源と言えます。

Image credit:TAE Technologies

この資源利用を支えるのが約1億ドルを投資して開発した粒子加速器技術です。

線形に構成可能で物理的に小型化できるため、スケーラブルで費用対効果の高いデバイスが可能になります。現在広く使用されている他のエネルギー源の数分の 1 のコストで、人口密度の高い都市部を含め、電力需要が存在する場所ならどこでも原子炉を設置できるのです。

2014年からはGoogleと提携して、機械学習、データサイエンス、高度な計算を研究に適用し、商用核融合エネルギーへの進歩を加速させています。以前は1カ月以上かかっていた必要なプログラム手順を、事実上一晩で達成できるようになりました。さらに実験データから高い洞察を生み出すアルゴリズム開発も進み、年間600を超える実験が効率化され、商用化への速度が指数関数的に速くなることが予想されています。

すでに1,100を超える特許が認められ、12億ドルの民間資本を調達し、現在新たな国立研究所規模のデバイスを構築しているTAE Technologies。今後も核融合開発の最前線にいる同社に動きがあれば続報をお届けいたします。

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