期待される「複合現実(MR)」デバイスーーVarjoは4,000万ドル調達、Metaは10月にお披露目へ

Image Credit : Varjo

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

Appleの新VR(仮想現実)デバイスの登場が期待される中、先行するライバルたちの動きも活発化してきている。この市場で大きく他を引き離しているのがMetaだ。同社CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は現地時間6日、年次のバーチャルリアリティ・カンファレンス「Meta Connect」を10月11日に開催すると発表した。CNBCなど報道各社は、このカンファレンスの中で同社が次期VRデバイスを発表することになると確実視している。

話が持ち上がっているのが「Project Cambria」としてこれまで話題になっていたヘッドマウントディスプレイ(HMD)だ。現在のMeta Quest2が先月100ドル値上げして大きな話題になったが、このハイエンドモデルは 800ドル近くになるという話も出ている。

大きな変更点として期待されているのが高解像度のディスプレイと、目や顔のトラッキング、そしてカラーパススルーを実現するための外部カメラ機能の強化だ。実際の顔の表情がトラッキングできれば、仮想空間におけるアバターの表情はより表現豊かなものになるだろう。

そしてパススルーが使えるようになると、HMDを装着しているユーザーは現実世界をディスプレイに投影できるため、仮想的なオブジェクトと重ね合わせた「複合現実(ミックスド・リアリティ)」の世界を楽しむことができる。同社はこの公開に合わせ、Metaはメタバース版ソーシャルネットワーク「Horizo n Worlds」のアップデートについても語る予定とされている。

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この複合現実の世界で際立った世界を見せているのがフィンランド・ヘルシンキ拠点の Varjoだ。同社は9月に新たなシリーズDラウンドの資金調達を公表した。調達した資金は4,000万ドルでEQT VenturesやAtomico、戦略的出資となったVolvo Car Tech Fund、Lifeline Ventures、およびフィンランド政府系列のPEファンドであるTesiという顔ぶれが出資している。

同社が2020年末に発表したフラッグシップのモデル「XR-3」と「VR-3」はそれぞれ約6,500ドルから3,400ドル(さらにそれぞれ年間のサブスクリプションが必要)と高額だが、人間の網膜と同様の解像度を与える複合現実デバイスとしてデビュー当時、 大きな衝撃を与えた。 さらに昨年には新たなAero(約2,000ドル)もリリースしており、こちらはフラッグシップモデルほどの解像度はないものの、レビューではほぼ同等の現実感を与えるデバイスに 仕上がっているようだ。

実際の空間に仮想的にオブジェクトを置くだけでなく実際に目の前に「見える」解像度で表示されるため、主にエンタープライズの製造現場などで利用が進んでいる。TechCrunchの取材で同社は、車体などの設計と製造、エンジニアリング、教育、ヘルスケアなどの分野に焦点を当てており、Volvoに加えて、Lockheed MartinやBoeing、Aston Martin、Kiaなど、Fortune 100にリストされた企業の約25%を顧客として抱えていると 回答している。

米調査機関のIDCが6月末に出したレポートによると、HMDのメーカー別ではMetaのQuest2が牽引する形で90%のシェアを獲得しており、ByteDanceのPicoが4.5%とこれに続いている。VR-HMDの出荷台数は2022年に増加傾向で、年間の販売台数は昨年比26.6%増加の1,390万台に到達するとの予想が出ている。

彼らが提供するのはここの数字に出てこない極めてエンタープライズ向けの特化したデバイスではあるものの、複合現実がどのようなものになるかを示している。

Metaでこの開発を牽引するReality Labs 部門には、約1万7,000人の従業員(全社員は 83,553人 )が 在籍しており、 2021年には100億ドル近くの 投資が明らかになっている。 先月開示された第2四半期の決算発表では4.5億ドルの売り上げに対して28億ドルの損失とまだまだ投資フェーズであることを示しており、今回発表が期待される次期デバイスとメタバース・ソーシャルネットワークがゲームチェンジャーとなるかどうか、注目が集まる。

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