経営管理のための予実管理SaaS「DIGGLE」、4億円をシリーズA調達——2020年の製品刷新が分岐点、2年後に300社導入目指す

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DIGGLE の皆さん。最前列左から:CTO 水上駿氏、CEO 山本清貴氏、COO 荻原隆一氏
Image credit: Diggle

経営管理のための予実管理 SaaS「DIGGLE」を提供する DIGGLE(旧称:タシナレッジ)は7日、シリーズ A ラウンドで約4億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、DNX Ventures、Archetype Ventures、三菱 UFJ キャピタル。これは、DIGGLE にとって、2017年5月に実施したラウンド(シードラウンドと推定、5,500万円を調達)、2018年10月に実施したラウンド(プレシリーズ A ラウンドと推定、1.5億円を調達)に続くものだ。

DNX Ventures は、2017年5月のラウンドと2018年10月のラウンドの両方(当時、Draper Nexus として)、Archetype Ventures は2018年10月のラウンドに参加していた。DIGGLE のこれまでの累積調達額は、約7億円に達した。DIGGLE は調達した資金を使って、プロダクト開発や人材採用、マーケティング・セールスの強化を図る予定だ。

オラクルやインフォアなどで、倉庫管理やサプライチェーン向けの ERP 販売に携わっていた山本清貴氏(現在 CEO)らにより、2016年6月に設立。その後、2017年7月にローンチした DIGGLE は、管理会計の基本的な業務である予実管理をクラウド上で提供するサービスだ。予算作成、予算実績対比といった2つの業務を主に効率化し、予算や財務に関連する数値を入力することで専門知識がない人でも、データを集計して KPI や予算を作成できる設計となっている。

「DIGGLE」
Image credit: Diggle

DIGGLE はローンチ当初スタートアップの利用が多かったが、現在では大企業のユーザが増えている。市場の変化が加速しアジャイルな経営が求められる中、現場に負担をかけずに全社から迅速に情報を吸い上げ、経営資源の再配分をはじめとするリアルタイムな経営判断が、あらゆる事業体で喫緊の課題となっているからだ。DIGGLE ではこうしたニーズに応えるべく、2020年初頭、株主に「3月末までに熱狂的なユーザを増やす(山本氏)」とコミットして営業活動を一時停止、社内合宿でプロダクトの大幅な見直しを図った。

CEO の山本氏が顧客の声を聞き、それを CTO の水上駿氏がプロダクトに反映するという活動を約3ヶ月にわたって繰り返し、多い時には月に24回のマイナーアップデートを実施したという。この努力が功を奏し、ユーザは順調に増え始め、荻原隆一氏が COO としてチームに参画したことで、より堅固なサービス提供体制が確立されたという。大きな山を一つ超えたことで投資家からの信頼も厚いものとなり、今回の資金調達に至ったとみられる。

DIGGLE では今後、年内を目処に、より大規模なデータの処理が可能と なる機能改善リリースを予定しており、それ以降も、データの一元管理とプラットフォーム上でのコミュニケーションを促進する機能開発を推進する。また、2023年12月までに、チームのメンバー数も現在の約30名から約60名体制へと拡大を図る。マーケティング・セールスの強化を通じて、2024年12月までに、導入社数300社とグロース市場上場企業の25%利用を目指すとしている。

この分野には、ALL STAR SAAS FUND らが支援する、経営管理業務効率化ツール「Loglass」を運営するログラスなど複数のスタートアップが存在する。ログラスは今年4月、シリーズ A ラウンドで17億円を調達した。

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