AIでクラウドを変えていくGoogle、開発者と一般ユーザそれぞれのメリットを解説〜Google I/O 2023から

Google I/O で「Duet AI」を紹介する Google Cloud CEO の Thomas Kurian 氏
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5月10日に開催されたカンファレンス「Google I/O」では、AI に関するさまざまなニュースが飛び交っており、Google のポートフォリオ全体にジェネレーティブ AI がいかに深く組み込まれているかを強く感じることができる。

要約すると、Google は10日、大規模言語モデル（LLM）「PaLM 2」を発表した。このモデルは、Google のサービス全体に劇的な変革をもたらすであろう。特にクラウドは大きな推進力を受ける分野の一つとなる。Google は、クラウドの開発者とユーザの生産性を高めることを目的とした新しいインターフェースを通じて、ジェネレーティブ AI をクラウドに深く統合している。このインターフェースは「Duet AI」と呼ばれる Google の技術によって実現され、その基盤として PaLM 2 モデルを使用している。

Duet AI for AppSheet で自然言語を使って業務アプリケーションを作成
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AIを搭載した新しいインターフェースには、開発者が Google Cloud で動作するアプリケーションのコードを書くのを支援するコードアシスト機能などが初期セットとして用意されている。また、クラウド開発者がクラウドアプリケーションの構築とデプロイに役立つソリューションを見つけるのを支援する、新しいジェネレーティブ AI チャット支援機能も存在する。AI搭載機能の初期セットを締めくくるのは、自然言語のプロンプトでどんなユーザでもクラウドアプリケーションを書けるようにするノーコードソリューション「AppSheet」である。

Google Cloudの開発者対応およびアウトバウンド製品管理ディレクター Richard Seroter 氏は、VentureBeat に対し次のように述べている。

Duet AI for Google Cloud は、クラウドインターフェースに AI アシスタントを追加するというのが本質です。Duet は PaLM 2 ベースのモデルですが、その後、Google Cloud のコンテンツに特化して拡張し、微調整しています。

Duet AI がクラウドの管理・開発方法を完全に変える可能性

Google Cloud Storage のバケットを作成するためのコードを自動生成するコードアシスタンス機能
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クラウドを初めて利用する人も経験豊富な人も、クラウドには多くの複雑な要素が存在し、特定のオペレーションをどのように実行すべきかについて混乱することがよくある。

Seroter 氏は、個人が新しい車を購入するとき、まず車のマニュアルを読む必要はなく、ただ乗り込んで運転するのが普通だと冗談を言った。しかし、クラウドの場合、ユーザは説明書を読む必要があり、しかもその説明書は膨大な量に及ぶ。

Duet AI の目標は、クラウド上でコードを展開し、アプリケーションを管理する最適な方法を学ぶプロセスに、会話的な体験をもたらすことである。つまり、ユーザが StackOverflow の回答や Google の検索結果、YouTube 動画をスクロールする代わりに、ユーザは質問するだけで、クラウドコンソールで直ちに答えを得ることができる。

もし、コンソール内のチャットに、始め方やエキスパートの実践の改善など、良い実践方法を引き込むことができれば、適切な方向に誘導してくれるでしょう。この力強く素晴らしいクラウド体験に怖気づく人々にとって、これは本当に強力なものとなるでしょう。（Seroter 氏）

Duet AI は、Google Cloud のデータで学習

現代のクラウドは、仮想マシンだけでなく、さまざまな種類のコンテナなど、開発者がアプリケーションのデプロイを検討するための多くの異なる選択肢で構成されている。

Seroter 氏は、クラウド展開の複雑さが、Google が Duet AI を Google Cloud に関する情報で特別に微調整する必要があった理由であると指摘している。

私たちが作成した全てのコードサンプル、全てのリファレンスアプリケーション、全てのブログ記事、YouTube 動画の記録はもちろん、100万ページを遥かに超えるドキュメンテーションを全て探し出しました。（Seroter 氏）

PaLM 2が持っているような一般的な情報に頼るのではなく、Duet AI は Google Cloud に関する正確な回答を提供するために、適切な特定の文脈情報を持っている。

Duet AI の未来は、Day 2 の運用と SRE にある

Duet AI for Google Cloud の初期展開は開発者に焦点を当てたもので、今後数カ月で「Day 2」と呼ばれる運用、つまり継続的なクラウド管理に拡大する予定である（ソフトウェア開発の用語では、コードの開発およびデプロイは通常「Day 1」の運用と呼ばれ、継続的メンテナンスは Day 2）。

Seroter 氏は、Duet AI for Google Cloud の今後のバージョンでは、2日目以降もクラウドアプリケーションを稼働させるためのサイト信頼性エンジニアリング（SRE）とアーキテクチャレベルでのベストプラクティスを支援する予定であると述べている。さらに Seroter 氏は、Duet AI がクラウドコストの最適化を支援し、組織がクラウドインフラストラクチャとアプリケーションの導入・管理方法をより効率化できるようになる未来も見ている。