SaaS間連携自動化のAnyflow、SaaS事業者向けに連携機能をOEM提供する「Anyflow Embed」正式ローンチ

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SaaS 間連携を半自動化するクラウドネイティヴ iPaaS(integration Platform as a Service)の「Anyflow」を開発・提供する Anyflow は13日、SaaS 事業者向けの API 連携組み込み型 iPaaS「Anyflow Embed」を正式ローンチした。このサービスは2年ほど前に開発が始められ、以来ステルスモードでサービスを提供してきたが、13日から正式サービスに位置付けられることとなった。

Anyflow Embed は、SaaS 事業者が他社 SaaS との API 連携を簡単に実現できるプラットフォームだ。作成した連携は、SaaS 事業者が自社サービスのユーザ向けに公開できる。他社 SaaS との連携を自社 SaaS への呼び水としたり、他社 SaaS への連携を求める自社 SaaS のユーザの声に対し、自社内のリソースを使わずに、最短で API 連携の選択肢をユーザに提供できる。

SaaS 事業者は、自社サービスのコア機能の開発に優先順位を置いているため、API 連携にリソースを割くことが難しい場合や、数多くの SaaS と個別に API 連携を開発することが難しい場合がある。相手先他社 SaaS の API の仕様が変更される場合もあり、それをフォローアップし、必要に応じて連携仕様をアップデート・メンテナンスし続けるための工数は小さくないものだ。

SaaS 事業者は、Anyflow Embed を活用することで、最短1週間で他社 SaaS との API 連携を実現できるという。プラットフォームにはノーコードエディターや SDK が用意され、特にプログラマやエンジニアでなくても、迅速に API 連携を構築し、自社 SaaS のユーザに公開できるという。ホワイトブランドで提供されるため、ユーザには自社 SaaS の機能の一部に見える。

Image credit: Anyflow

Anyflow Embed を利用することで SaaS 事業者から Anyflow への料金は発生するが、それを SaaS 事業者が自社ユーザに添加するかどうかは、各社の事業戦略による。公表されている限りでは、本稿執筆時点で16の SaaS が Anyflow Embed を利用していることがわかる(Anyflow はホワイトブランドで提供しているため、利用していることを公表していない SaaS が存在する可能性はある)。

Anyflow Embed が挑むのは Embedded iPaaS と呼ばれる領域で、国内ではあまり事例が見られない。海外では、チェコの Appmixer、イギリスの Cyclr、ドイツの Elastic.io、アメリカの Prismatic Tray.io などがある。中でも2012年創業の Tray.io は、ワークフロー自動化を強みに、これまでに約1.5億米ドルを調達しており、ユニコーンクラブ入り直前との報道がある。

Tray.io は今年5月、大規模言語モデル(LLM)を使ってワークフロー作成を自動化する Merlin AI をローンチした。このように、iPaaS がワークフロー作成ツールのコンテキストを大きく持ち始めると、LLM 導入に進む傾向が最近は顕著だ。日本では昨日、LLM を使ってワークフローを自動化する「Promptflow」開発するジェネレーティブスタートアップ Carnot がプレシード調達を発表したのは記憶に新しい。

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