生成系AIでストーリーテリングも変わる「Scriptic」、Amazon Alexa Fundなど出資/GB Tech Trend

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Image credit: Scriptic

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

今週の注目テックトレンド

GB Tech Trendでは、毎週、世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。

没入型ストーリーテリングプラットフォーム「Scriptic」が570万ドルの資金調達を実施しました。今回の資金調達ラウンドではBitkraft Venturesがリードとして参加、Amazon Alexa FundやTower 26なども出資しています。同社は謎解きやホラー、恋愛などをテーマにしたインタラクティブコンテンツを楽しめるアプリを開発。テキストチャット、ボイスメモ、動画コンテンツを楽しみながら、ストーリーを視聴者自身の選択で進めていきます。

今回の調達の背景には、生成系AIツールの導入が挙げられます。Midjourney、Runway Gen-2、ElevenLabs、Murf.aiといったAIツールを活用し、テキスト、音声、画像、動画コンテンツを自動生成する機能を実装しています。AIの導入によって、たとえばシナリオライターの人件費を抑えることができるといった制作チームの効率化が達成されるだけでなく、視聴者とのリアルタイムなやり取りが生成系AIによって実現するのもポイントです。加えて、コンテンツを自社制作チームだけに頼るのではなく、AI制作ツールとしてパッケージ化し、外部のクリエイターに開放することでコンテンツ制作のエコシステム構築にも動き出しています。

ストーリーテリングプラットフォームは以前から注目されている領域で、Andreessen Horowitzをリードに1,000万ドルの資金を獲得した「Whatifi」などのプレイヤーがすでに存在しています。Whatifiは視聴者がストーリー選択できるクラウド投票をキラーコンテンツとしていましたが、コンテンツ制作のコストがネックになっていた印象です。対して今回ご紹介したScripticは、ストーリー制作のコストを生成系AIによって効率化したのが差別化要因になっています。

また、本ラウンドにてAmazon Alexa Fundが参加している点にも注目です。同ファンドも、音声ストーリーテリングのスタートアップに過去出資しており、たとえば「NovelEffect」が挙げられます。同社は絵本の効果音をAlexaデバイスから出してコンテンツの没入感を上げるサービスを開発しています。AlexaはSiriとは違い、かなりオープンな開発者エコシステムを構築しており、Scripticが開発しているコンテンツクリエイター向けの生成系AIツールと、なんらかの連携を模索しているのかもしれません。

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