「念じれば伝わる」——AI翻訳スタートアップのUnbabel、思考を文字化するウエアラブルデバイス「Halo」を開発

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Image credit: Unbabel

話題のポイント:ジェネレーティブ AI の登場は、各業界の企業の在り方、働き方を大きく変えるほどのものだったことは言うまでもありません。特に OpenAI を発端とした文章理解、文章作成に関するインパクトは相当なものでした。

ChatGPT が発表されてから1年弱が経過する中で、検索エンジンや各種ツールに組み込まれ、筆者視点で見ても、今ではなくてはならない存在となっています。そんなジェネレーティブ AI がいよいよハードウェアの利便性向上にも貢献し始めました。

言語翻訳スタートアップ Unbabel が、ユーザが思考だけでコミュニケーションを取ることを可能にするウエアラブルデバイス「Halo」を開発したのです。このデバイスでは、脳がインターフェースとして機能し、筋電図(EMG)システムとジェネレーティブ AI を組み合わせ、ユーザの思考をリアルタイムでテキストメッセージに変換します。

この技術の背後には先ほども触れた通り、EMG システムとジェネラティブAIの組み合わせがあります。Haloは、柔軟なスリーブに埋め込まれた E-Skin EMG インターフェースを使用しており、ポルトガルのコインブラ大学の Printed Microelectronics Laboratory との協力のもとで開発されました。

ユーザのスマートフォン上で動作するモバイルアプリを使用して、受信および送信のための中央ハブにアクセスします。デバイスは初期段階にありますが、将来的にはさらにミニチュア化される予定だといいます。

TechCrunch の Mike Butcher 氏は、Unbabel のオフィスでこの技術のデモンストレーションを受け、彼が考えたコーヒーの種類に関する質問の答えが、Halo の AI の声を通じて彼のイヤホンに送信され、その後、テキストメッセージとして彼に返されました。その体験は驚異的だと表現しています

さらに、Unbabel はリスボンの Champalimaud Foundation と協力して、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者向けの研究を進めています。この技術は、話すことができない患者のための新しいコミュニケーションインターフェースとしての可能性があり、今年のクリスマスまでに最初の ALS 患者に提供される予定です。

Unbabel の Halo にまつわるミッションは、4年前に始まり、企業が多言語で顧客とのコミュニケーションを取ることを目指してきました。CEO の Vasco Pedro 氏は、この技術の最も革命的な側面として、ユーザがコミュニケーションを望む場合のみデバイスが反応する点を挙げています。

脳とコンピュータのインターフェースが人間の能力を増強するための大きな可能性を持っています。ジェネレーティブ AI の転換点とも言えるこの技術をもとに、さらに分野の発展を進められるのか期待が集まります。

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