AIモデルの起用は老舗ファッションブランドには鬼門、中小新興ブランドには切り札に

SHARE:
AI モデル
Image credit: Lalaland.ai

デニムブランドの Levi’s は3月、AI モデル会社 Lalaland.ai と提携し、AI が生成したモデルを使って服を紹介すると発表したが、人間のモデルから仕事を奪うという反発を招き、リーバイスは火消しに乗り出さざるをえなかった。

しかし、このアイデアは、中小のアパレルブランドにとってはチャンスかもしれない。中小のアパレルブランドは、写真撮影にかかる高額な費用に悩まされている。写真撮影にはモデルのギャラやヘアメイク、会場費などが含まれ、これらのコストは中小ブランドにとって大きな負担となっている。

そこで、AI を活用したモデルソリューション企業が登場し、中小ブランドにとって画期的な解決策となっている。例えば、Lalaland.ai や Botikaと いった企業は、月額15米ドルからの料金で AI モデルのサブスクリプションサービスを提供している。これにより、ブランドは自身の写真を撮影し、簡単にテクノロジーに置き換えることができる。

この AI モデルの恩恵を受けているブランドの一つに Blissfully Brand がある。このブランドは、中高年向けの商品を販売していうが、そのモデル探しに苦労していた。しかし、Lalaland.ai の AI モデルを使用することで、ブランドは簡単に商品の写真撮影を行い、ソーシャルメディアでより的確な広告を展開することができるようになった。

さらに、小規模なオフラインブランドはスペースの効率的な活用や在庫の扱いにも悩んでいる。そこで、AR ミラーが注目されている。AR ミラーは内部にスーパーコンピューターを搭載し、消費者が動きながら商品を試着することができる仕組みだ。この技術を導入した Coach の店舗では、通行量が増加し、新規顧客の獲得に成功している

技術の進化により、AI や AR などのテクノロジーはアパレル小売業界のブランドにとって重要な役割を果たすようになってくる。中小ブランドはこれらのテクノロジーを活用することで、費用削減や効果的なマーケティングを実現し、競争力を高めることができるだろう。

image credit: Google

一方、Google は今週から、AI が生成したモデルに服を着せ、バーチャル試着により商品を購入できるサービスを始めた。Google Shopping を利用するアメリカのユーザは、Anthropologie、Everlane、H&M、LOFT などのブランドの女性用トップスをバーチャルに試着することができる。

中国では、ビッグテック出身者らが設立した ZMO.ai が昨年5月、シリーズ B ラウンドで800万米ドルを調達している。SHEIN や Temu など、大量のファッションアイテムをロングテール展開し、かつ SKU 分だけ写真を要しなければならいプレーヤーをターゲットにしていると思われが、本稿執筆時点で ZMO AI Models は、ZMO.ai の Web サイト上で〝This product is currently unavailable(現在利用不可)〟となっている。

Image credit: ZMO.ai

Members

BRIDGEの会員制度「Members」に登録いただくと無料で会員限定の記事が毎月10本までお読みいただけます。また、有料の「Members Plus」の方は記事が全て読めるほか、BRIDGE HOT 100などのコンテンツや会員限定のオンラインイベントにご参加いただけます。
無料で登録する