地図でお金を稼ぐ「マップインフルエンサー」に注目——Atlyが1,800万ドル調達/GB Tech Trend

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1,800万ドルの調達を発表した「Atly」
Image credit: Alty

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」掲載された記事からの転載

今週の注目テックトレンド

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5月31日、地図スポットに投稿した口コミ・お気に入りスポット情報をシェアできるサービス「Atly」が1800万ドルの資金調達を実施した旨を発表しました。同社はリアルロケーション版Reddit(米国版2ちゃんねる)とサービスを位置付けています。

Atlyではレストランからハイキング先、公園のトイレから遊園地に至るまで、あらゆるスポットに対してGoogle Mapのように口コミ投稿ができます。単におすすめスポット情報を投稿できるだけでなくクリエイターが自分のお気に入りスポット情報をシェアできる機能も実装。また、Atly上には多数のマップインフルエンサーが存在しており、自分のマップURLをファンクラブ会員にのみ公開・販売して、収益化をしているとのことです。

TechCrunchの記事によると、Atlyは2019年に125万ドルを調達してサービスをローンチ。5カ月前にも1,675万ドルのシリーズAラウンドを実施しました(累計1,800万ドル調達)。現在は12万ユーザーと6500以上の地図コミュニティを有しています。

さて、地図サービスではSnapchatを開発するSnapが買収した「Zenly」が思い浮かびます。Snapchatでは、少数の本当に親しい友人や家族だけで構成される小さなコミュニティが無数に集まって巨大なソーシャルネットを構築するハイブ戦略(蜂の巣のように小さなコミュニティの集合体を成すSNS成長戦略)をもとにプロダクト開発がされており、この戦略方向性とZenlyの親和性は高かった印象です。

別のサービスでは小さな子供を持つ親御さん向けSNS「Winnie」が挙げられます。「このレストランにはお子様ランチがある」「ここの公園は遊びやすい」などのGoogle Mapには載らない、親ユーザーが欲しがるスポット情報が集まった特化型地図SNSとして成長しました。

今回紹介したAtlyは、ZenlyやWinnieのようなソーシャル性だけでなく、インフルエンサーツール(もしくはクリエイターツール)としての利用価値も強く押し出しつつあります。これまで無料が当たり前とされていた地図情報でお金を稼ぐ、マップインフルエンサーのためのツールとして市場認知されつつあります。友達を作るというよりは、好きなインフルエンサーのおすすめスポット情報を参考にする「地図版Substack」のポジションを獲得したのがAtlyであると理解するのが早いでしょう(Substack:有料メルマガでライターが収益を稼ぐためのコンテンツ発表・収益プラットフォーム)。

投資家がベンチマークとするのは、カレンダー領域で同じような動きをしたのが1.97億ドルもの累計調達を誇る「IRL」です。Google Calendarにコミュニティ要素を付け足した「ソーシャルカレンダー領域」を切り拓いた同社は、Atlyの将来的な成長規模の目安となるでしょう。

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