ホワイトハウスが「AI.gov」を公開、包括的なAI監視に向け歴史的な動き

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ホワイトハウスは30日、「AI.gov」を公開した。AI.gov は、研究者、開発者、一般市民向けにリソースやガイダンスを提供するだけでなく、人工知能(AI)における連邦政府の取り組みや成果を紹介する新しい Web サイトである。

この Web サイトは、バイデン大統領が30日の記者会見で発表したもので、アメリカにおけるAIの開発と採用を促進し、同時にその倫理的で責任ある利用を保証するという、同政権の広範な戦略の一環である。

今後10年……いや、5年の間に、過去50年間で見たことのないような技術革新が起こるだろう。現代で最も重要なテクノロジーである人工知能は、その変化を加速させ、猛スピードで進化させようとしている。(バイデン大統領)

AI.gov のローンチは、バイデン政権が AI に関する初の大統領令を発表し、連邦政府機関に AI システムのテスト、評価、監視のための新たな基準を満たすことを要求したことに伴うものだ。これらを合わせると、AI を責任を持って活用するためのアメリカ政府によるこれまでで最も重要な行動となる。

AI ガバナンスの新時代

この Web サイトは、AI の安全・セキュリティ基準、公民権ガイダンス、労働市場への影響に関する情報源となる。また、連邦政府内の AI 職の採用プロセスを合理化することも目的としており、公共部門の AI 人材を育成するための真摯な取り組みを示している。

この Web サイトの主な機能は、政府の新しい「国家 AI 人材急増戦略(National AI Talent Surge)」のポータルである。この戦略では、政権の価値観に従って AI システムを構築し、管理する技術専門家を迅速に募集することを目的としている。

この Web サイトでは、10月にバイデン大統領が署名した大統領令によって設立された「国家人工知能イニシアチブ(NAII)」など、政府が AI の研究開発にどのように投資しているかについての情報も提供している。NAII は、連邦政府の AI 活動を省庁や業界横断的に調整し、加速させるとともに、学界、産業界、市民社会との協力を促進することを目的としている。

さらに、6月に超党派の法案によって提案された「国家人工知能研究リソース(NAIRR)」などを通じて、信頼できる倫理的な方法で AI を導入・利用する方法についてのガイダンスやベストプラクティスを提供している。NAIRR は共有クラウド・コンピューティングプラットフォームを構築し、AI の研究者や学生に高品質なデータセット、コンピューティングリソース、教育ツールへのアクセスを提供する。

ホワイトハウスはバランスの取れたアプローチを強調

AI.gov のローンチは、AI における世界的な競争と協力、特に2030年までに AI で世界のリーダーになることを宣言している中国との競争が激化している中で行われた。この Web サイトは、人類の利益のために AI を発展させるというアメリカのコミットメントとリーダーシップを示すと同時に、共通の課題や機会について他の国や国際機関と協力する意思を示すことを目的としている。

この Web サイトはまた、包括的で透明性が高く、説明責任を果たす国家 AI 戦略を策定することの重要性と緊急性に対するバイデン政権の認識を反映している。バイデン大統領は記者会見で次のように述べている。

AI の将来性を実現し、リスクを回避するためには、この技術を管理する必要がある。私の考えでは、これを避けて通ることはできない。AI は管理されなければならない。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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