グラフィック、マーケティングキャンペーン、ブランドポスターなど、デザインの過程で最も時間がかかるのは、実はクリエイティブ開発だ。ジェネレーティブ AI はその手助けになるだろうか？

フランスのスタートアップ Pimento は、ジェネレーティブ AI を使ってさまざまなデザインアイデアを生成し、クリエイターがより多くの参考となるインスピレーションを得て作業できるようにし、作業効率を高めて作品制作を加速させている。

ジェネレーティブ AI でムードボードを強化、クリエイターの作業効率を加速

グラフィックデザインであろうと商業広告であろうと、クリエイティブワーカーが作品を考える際、クライアントから提供された写真、ロゴ、製品写真に加えて、Pinterest、Canva、Figma などのプラットフォームから追加素材を収集し、関連素材をすべて集めてボードのようにコラージュしたものをデザイン分野で「ムードボード」と呼ぶ。

ムードボードには通常、色、フォント、画像、その他の参考となる要素が含まれており、クリエイティブな仕事をする人たちが自分の仕事にインスピレーションを与えることができる。ムードボードの最も重要な機能は、デザインをするときに素材を参照でき、制作過程で方向性を見失わないようにすることだ。

ムードボードは、クリエイターの頭の中にあるアイデアを効果的に視覚化することができる。また、一緒に仕事するデザインチームのメンバー間のコミュニケーションにも有益だ。デザインに対する全員の要素やアイデアを一緒に追加することができるので、より多様なインスピレーションの方向性を示すことができ、全員がデザインについて同じ考えを持つことができる。

Pimento のプラットフォームは、ムードボードに基づいている。ユーザは、画像、テキスト、または任意の要素に加え、デザインのスタイル、または結果に表示させたい素材、色、またはテキストに関する説明を提供するだけで、プラットフォームはジェネレーティブ AI を使用して、いくつかのデザイン例を提案する。

生成されるデザインと素材の数は、月額25米〜129米ドルのサブスクレベルによって決定される。最終的なスタイルデザインはユーザの手に委ねられ、ワーカーは提供されるデザイン例に従って画像を組み合わせたり、新しい要素やテキストを追加したりして、理想のスタイルに合ったデザインを作成することができる。

β版は好評、クライアントへのリンク機能が改善される予定

Pimento の創業者2人は大学時代に知り合い、創業者の1人である Florent Facq 氏は、フランス政府のプログラム「Pass Culture」を手伝っていた。Pass Culture とは、フランスの若者が政府の補助金を通じて文化芸術に参加できるようにするプログラムで、彼は芸術文化分野に精通している。もう一人の創業者 Tomás Yany 氏は Pimento の主要な技術開発を担当している。彼は過去には Apple や他のソフトウェア業界で AI 開発に携わっいた。

Facq 氏と vは2022年に Pimentoを共同設立した。

クリエイターがクリエイティブな方向性をより速く探求できるようにすることで、より質の高い作品を生み出すことができる。(Yany 氏)

2人は2023年12月にβ版を発表し、すでにいくつかのアニメーションスタジオ、広告会社、ブランディング会社で利用され、好評を得ている。

また、Pimento は今年、フランスの VC Partech とアメリカの VC Cygni Capital が中心となり、320万米ドルのシードラウンド調達を完了した。Pimento はこの資金を利用して、ユーザがクライアントチームとムードボードを共有できる機能を立ち上げる予定だ。

この機能により、両者間のコミュニケーションや修正のプロセスを考慮し、デザインプロジェクトへのリンクを共有することで、クライアントがすべてのデザイン案を一度に閲覧できるようになり、プロジェクトの完成効率が加速し、両者間の往復のコミュニケーション時間が短縮されることが期待される。

しかし、AI が生成したインスピレーションはそのまま作品となり、著作権の問題は発生するのだろうか? これは、Pimento が今後注意すべき点かもしれない。

【via Meet Global by Business Next（数位時代） 】 @meet_startup

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