「Get in the Ring」大阪予選が開催——稲作による脱炭素化、ドローン用パーキング、核融合商用炉開発の3社が世界決勝へ

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Image credit: Masaru Ikeda

Get in The Ring はオランダで2012年に始まったピッチコンペティションだ。ピッチをボクシングに見立て、スタートアップはバリュエーションによりライト級・ミドル級・ヘビー級に分かれ、リング上でピッチでの対戦に 臨む。それぞれの級で選ばれた各都市予選の勝者は、年に一度の世界決勝に出場できる。

これまでの世界優勝者には、Ant Financial(螞蟻金融)が2016年に1億米ドルで買収した、眼球の血管パターンによるバイオメトリクス認証のスタートアップ EyeVerify(アメリカ)、アバターによる手話通訳スタートアップ MindRocket(ヨルダン)、人間の尿から土壌改良のためのバイオ煉瓦を作り出す Liquid Gold(南アフリカ)など有望スタートアップが名を連ねる。

大阪では、Osaka Innovation Hub が2016年から予選イベントを開催するようになり、2023年12月18日、8回目となる予選が開催された。ライト級・ミドル級・ヘビー級のセミファイナリスト6チームが集結。それぞれの級の日本予選優勝者(ファイナリスト) には今年開催される世界決勝(開催地と日程は未発表)への出場権が提供される。

このイベントで審査員を務めたのは、

  • 廣田隆介氏(MUFG Innovation Partners 戦略投資部 副部長)
  • 宗原智策氏(Nordic Ninja VC マネージングパートナー)
  • Phillip Seiji Vincent(フィリップ・誠慈・ヴィンセント)氏(Plug and Play Japan マネージングパートナー・イーストアジア/日本代表取締役)

レフェリーは、Nathan Bryan(ネイサン・ブライアン)氏(ガイジンズ 代表取締役) が務めた。また今回、このイベントにはアストラゼネカ、EY Japan、FUJITSU ACCELERATOR が協賛し、EY Japan、FUJITSU ACCELERATOR からは該当者に、PR TIMES からはファイナリスト全員にスポンサー賞が授与された。

<ライト級(バリュエーション50万ユーロ未満部門)優勝> Green Carbon(東京)

Image credit: Masaru Ikeda

Green Carbon は、農家と協力して脱炭素化を進め、企業向けにカーボンクレジットののワンストップ・ソリューションを提供している。同社は、農家に技術的・資金的サポートを提供し、企業にはカーボンクレジットの手段を提供することで、温室効果ガスの削減と農家の副収入獲得の支援を目指している。

Image credit: Green Carbon

同社のクレジットの創出から販売までを一括してサポートするプラットフォーム「Agreen」は、クレジット収益をシミュレーションし、登録・申請手続きを簡素化することができる。JAXA の衛星データを活用して農業由来のカーボンクレジットの品質向上を目指し、ブロックチェーン技術を使用して取引所を運営し、信頼性の高い取引を促進している。

<ミドル級(バリュエーション50万〜250万ユーロ部門)優勝> Skyscape(大阪)

Image credit: Masaru Ikeda

Skyscape は、創業者である Asa Quesenberry(エイサ・クエセンベリー)氏が、建築や都市計画を学んだ後、アメリカとカナダでドローン業界での経験を積んだ後に日本で設立したスタートアップだ。5年前に大阪で経験した台風による関西空港の被害から、航空インフラの重要性とその機能不全が引き起こす悪影響に気づき、新航空インフラ Vertiport(垂直離着陸用飛行場)の運用展開に焦点を当て、Skyscape をを設立した。

Image credit: Skyscape

Vertiport は、気候変動への対応や地域社会の支援などさまざまな活用が可能だ。同社では、土地所有者や不動産会社と提携して Veriport 施設を提供し、それを通じてドローンサービスやエアタクシー、緊急対応などのパートナーサービスを展開する。ユーザからは施設提供に対する手数料を徴収し、それを土地所有者や不動産会社とシェアするビジネスモデルを採用している。

<ヘビー級(バリュエーション250万ユーロ以上部門)優勝> Ex-Fusion(大阪)

Image credit: Masaru Ikeda

EX-Fusion は、大阪大学発のスタートアップで、レーザー核融合商用炉の実現を目指している。同社では、2029年までに技術実証プラントの完成、2035年までに核融合商用炉の実現を目指している。地球温暖化、脱炭素化、エネルギー安全保障の問題に対処し、カーボンフリーで豊富かつ安全なエネルギー源を見つけることが必要とされている中で、同社ではその解決策としてレーザー核融合技術を提案している。

Image credit: EX-Fusion

レーザー核融合とは、重水素と三重水素(トリチウム)を含む燃料を強力なレーザーを照射することで圧縮・点火をし、核融合反応を生み出す仕組みのことだ。同社はレーザー、プラズマ物理学、システム工学などの専門家約30人のチームで構成されている。これまでの実績には、強力なレーザーの開発、適応光学の研究、液体金属を使用したエネルギー回収技術の開発などがある。工業生産、がん治療、災害管理などへの応用も期待できる。

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