東大松尾研発のELYZA、新LLMとAIチャットボットを公開——グローバルLLMとも性能で善戦

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新たな LLM を紹介する ELYZA 代表取締役 CEO 曽根岡侑也氏
Image credit: Masaru Ikeda

ELYZA(イライザ)は、AI で知られる東京大学松尾研究室のメンバーがスピンアウトして創業したスタートアップで、LLM の研究開発と LLM の社会実装に注力している。同社は12日、都内で記者会見を開き、グローバルモデルに匹敵する日本語の大規模言語モデル(LLM)を開発したと発表した。これまで特定企業に向けて提供されてきたモデルを、「ELYZA LLM for JP」として汎用パッケージ化し他企業にも API 形式で提供する。また、この LLM を使ったチャット形式のデモサイトも同日から提供を開始した。

このモデルは、ELYZA が公開している日本語ベンチマーク「ELYZA Tasks 100」、Stability AI が提供しているベンチマーク「Japanese MT-Bench」の自動評価で、現時点で公開されている日本企業の LLM のパフォーマンスを大きく上回ったという。また、OpenAI の「GPT-3.5 Turbo」、Anthropic の「Claude 2」、Google の「Gemini 1.0 Pro」などに匹敵する性能を達しているという。ELYZA LLM for JP は今春から、順次、API サービスや共同プロジェクトとして提供される予定だ。

新 LLM の性能比較を紹介する ELYZA 代表取締役 CEO 曽根岡侑也氏
Image credit: Masaru Ikeda

ELYZA は独自に開発した LLM 以外に、オープンソース公開された LLM の日本語化も行なっている。オープンソース LLM として知られる Meta の「Llama 2」を日本語化し、「ELYZA-japanese-Llama-2-7b」としてオープンソース公開していたが、今回パラメータ数をさらに700億にまで増やした「ELYZA-japanese-Llama-2-70b」を公開した。これは、産総研の生成 AI 開発支援プログラムに ELYZA が採択され、AI スパコン「ABCI」の計算能力が一定期間に独占的に割り当てられたことで開発を実現した。

ELYZA はこれまでに、日本の約20社と業務改善の PoC や導入を進めている。具体的な顧客は、JR 西日本グループ、マイナビ、森・濱田松本法律事務所、明治安田生命、東京海上日動、スマートニュースなど。JR 西日本グループでは、電話問い合わせ内容の要約、マイナビでは求人原稿の執筆、東京海上日動では「お客様応対業務」における問い合わせ応答時の文面作成や推敲に利用されている。ELYZA では今後、汎用 LLM をベースに、業界や企業などに特化した LLM も開発・提供していくとしている。

「ELYZA LLM for JP」のデモサイト

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